週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(82)
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2007年1月
年末・年始休暇は静かに明け過ぎた。
12月31日に山に入り、元旦の朝は初日の出を拝みに行き、2日に一時帰阪。
翌日はお隣さんへ新年のご挨拶に伺い、そのついでに野川の弁天さんに詣でただけで、7日に引き上げるまでひっそりと過ごしていた。
暮れに忙しすぎたのでこの休暇はとにかくゆっくりしたかったのだが、そんな気持ちが治りかけた風邪を引き戻したのかもしれない。
2日間はイノシシの荒らした後始末に追われたが、その他はずっとグズグズ・ゴロゴロしてしまった。
kiiさんは私と違って意欲満々。
2日までは私に引きずられるようにして呑んで食べて寝て、映画と読書三昧の日々を過ごしていたが、「飽きちゃった。こんなのはもう疲れた。」とさっさと作業を始めてしまった。なんとも冷たい...。

解体工事中のkiiさん kiiさんが暮れから取り掛かっていたLK内の小屋の解体は、思いのほか手間取っている。
そのせいか、追われている気持ちになり、安穏としていられないのだと言う。
躯体を留めるビスは10cm、釘は9cm、素人細工の所以か、それもご丁寧に沢山打ち込んである。
錆びたビスは電動のドライバーもなかなか言うことを聞いてくれないのだ。
「それに、バラした材はできるだけ再利用したいし、時間が掛かるのは仕方がないんです。」
解体などいとも簡単にバンバンバンてお終い、と思っていたのは浅はかな私である。
「だいたいが、こんなに馬鹿丁寧(ゴメン)に作らなくてもいいんじゃないの?」
「普通は、何年ももつようにとしっかり作るものでしょ。解体するなんてことは念頭にはなかったもの。誰のせい??」とヤブヘビになってしまった。
そうです。勝手に図面を書き換えてしまう私が一番いけないのです。
実は・・・書き換えたい部分がまだあると言ったら卒倒されそうなので、お口チャックで我慢しているのだけれど...。

解体工事1 これは小屋内に作り付けた二段ベットの上段
ログで寝られるようになるまでの間、狭いけれど
ここがベットになっていた。私はこの上の段で寝ていたのだが、生来ドジなもので、睡眠中に転がり落ちたことがある。
下はコンクリートだったが幸い怪我はなく、kiiさんが慌てて手すりを付けたのだったが、そんなことも今は懐かしい。
長い間お世話になった小屋だから、解体するkiiさんの胸にも様々な思いが去就していることだろう。
解体工事2二段ベットが取り除かれた 解体工事3小屋北面が撤去された
特に、昨年この小屋に巣を作ったオオルリ夫婦と、そこから巣立った三羽の雛たちのことは忘れられるものではない。
今も愛らしい姿や声がふっと脳裏に甦る。
6日、小屋の北面の壁がようやく撤去。
小屋があったためにこの部分には柱が組み込めないままだったのだが、刻み込んであった土台のホゾ穴に、これも刻んであった柱を入れ込む、今回はこの作業までをなんとしてでも終わらせたかったのだとか...。
ジャッキで柱を持ち上げている ログウォールを積み棟を上げるためには滑車を大いに利用したが、今回は自動車用のジャッキがお出ましである。
ジャッキで柱を持ち上げながら掛矢で少しずつホゾ穴まで寄せる。
ジャッキをずらしながら叩き込みジリジリと寄せ、を何度も繰り返す。
kiiさんの掛け声で掛矢を叩き込むのは私。kiiさんは様子を見ながら調整する。少しずつ移動させて、うまく収まったときには思わず拍手。「後から柱を入れ込むのは大変だろうなとは思っていたけれど、やはり素人には難しい作業だった。」とkiiさんは呟く。
カケヤで入れ込んでいる 完成してほっと一息
今回はどうにか上手くいったけれど、同様の作業がもう一本控えているんだよね。
小屋の解体はまだ残っているが、取りあえずの懸案事項が片付いて、ホッとした表情のkiiさんだった。
上村さんご夫婦 この日、たまたま奥の別荘地の上村さんが見えて、「お久しぶり!夜は一杯やりましょうか。」ということになる。
夕刻に始まった宴会は話に花が咲き、11時過ぎまでの楽しい時間を過ごす。
地域の様々な話題、山菜や野草のこと、獣たちのこと、住宅設備のことなど話は尽きない。

なかでも設備については大いに関心がある。
1kmほど奥にある別荘地なのだが、倶楽部よりも2、3℃は気温が低く、雪も融けにくい。
彼の地の設備の失敗談は、私たちにとっては大いに参考になるのである。

その際に話題に上ったひとつが、かまどを作りご飯を炊いているということ。
いざという時には、電気の世話にならなくても煮炊きや暖を取れる設備は、絶対に必要だと常々思っている。
興味津々の私たちに朝ごはんのお誘いをいただき、翌朝イソイソと出かける。
上村さんお手製のカマド 手作りのかまどが家のそばに設えられ、伺ったときにはもうご飯が炊き上がった後。
ここでピザも焼くのだとか...。

もともと手作りの工夫が上手なご夫婦なのだが、周囲にあるものを上手に利用して、野外生活を楽しんでいる様子は素晴らしい。
タイムスリップしたようです。 ちゃぶ台も懐かしい
室内に入ると、先ほどまでかまどに乗っていたという釜が鎮座していて、懐かしさに思わず声を上げる。
丸いちゃぶ台も、目にしたのは何十年ぶりだろう。
不要のときは足をたたんでしまえる重宝な道具も、いつの間にか不用品の仲間入りをして久しいが、日本人の昔の知恵というのはこんな道具一つにも生かされていたと今更のように感じる。
ちゃぶ台の上には鮭の塩焼きや卵焼き、雪の中で摘んだチンゲンサイのおひたしや大根おろし、納豆に漬物、熱々の味噌汁に薪で炊いた美味しいご飯...。 ご馳走様でした♪


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