週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(83)
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2007年2月
確かに今年は暖冬だが、そうは言ってもこの季節のこと、山の空気は冷たい。
日が翳るとたちまちのうちに気持ちは萎え、ストーブの傍らが恋しくなる。
特に朝晩などは身体がなかなか温もらず、作業に取り掛かるのもゆっくりだし、切り上げもついつい早くなる。
焦らない、焦らないと自らを納得させているが、これは多分に、作業が進捗しないことへのささやかな言い訳でもある。
久しぶりのチェンソーワーク 「冷たいけれど、やらねばならぬ...。やらねば先に進まない。」
kiiさんはリビングキッチンの残された柱一本を作る。
チェンソーでの縦割りも慣れたものだ。(左画像)
久しぶりに軽快なエンジン音が山に響く。
チェンソーワークをしているときのkiiさんは、ほんとうに楽しげである。
プレーナーを掛けて表面を仕上げる。(右画像)
いかにも楽しげ♪
寒いけれど、時々覗いては見物する。kiiさんのこの一連の作業を見るのは実に楽しいのだ。
慣れているせいだろうが手際がよく、本人の気分のよさがこちらにも伝わってくる。
慣れているからなおさらのこと、作業にはいつも細心の注意を払っている。その頑固さには敬意を表するぐらいだ。
夕方には刻みが出来上がる。末口250mmの柱はダイナミックである。
この柱を入れ込んだ後に、小屋を最終的に解体する。
現在は小屋の屋根の一部に束を立てて、この柱部分の代用にしている。
柱一本ぐらい、後先になってもどうということはないと思うのだが、何しろ慎重居士のkiiさんなのである。
ロートルの卜伝君がお休みなので、シートを掛けて今日の作業は終了かと、私はお茶の用意をしにログへ戻る。
出来上がった柱。間近で見ると結構ダイナミック。 暫しの後、「オシッ、オシッ!」と息の荒い声が聞こえてきて、慌てて外に出る。
なんと仕上がった柱を肩にしたkiiさんが、ログへの階段を上っている。
秋の終わりに伐ったこの杉はまだ相当の重さがあり、作業台に二人で乗せるのさえ呻いてしまったのに、いくら二面を削いだとはいえ、一人で運ぶなど狂気の沙汰だと私は怒りまくる。
「腰を痛めたらどうするの。過信もほどほどになさい!!」と、きつい調子になる。
立てかけるために手を貸したのだが、その重さたるや...。 
「せっかく作ったのだから、中に入れたほうが濡れなくていいし...。」
しょぼんとして恨めしげなkiiさんだった。
それでも、この柱が出来たお陰で次の作業へとが進みやすくなる。

晴れた日中には、藪陰で飛び回るウグイスの姿がよく目につく。
作業の手を止めては二人でジイッと見入っている。
ずいぶん気の早いことだが、今年は春の訪れが近いということかもしれない。
早春の農作業の手順をあれこれ考えながら、だんだん追い立てられる気分になってきた私である。
今年はミョウガ畑に相当手を掛けなければならない。
一番大きいミョウガ畑はもう6年ほど根切りも植え替えもしていない。流石にぎっしりと根が混み入り、収穫するミョウガは年々小さくなり収量も減少している。これがこの春一番の懸案事項である。

土地改良事業に全力を尽くして大驀進中のイノシシ軍団は、相変わらずの猛者振りを発揮しているが、最近では私もいささか大らかな精神をもって眺められるようになってきた。
kiiさんは「諦めの境地になりましたか?」というけれど、そういうわけでもない。
固くしまった土壌に空気を入れてくれているのだと思えば、寛大にもなれるというものだ。
おまけに、春先の雑草取りも幾分し易くなったと考えれば有り難い。
まぁ今のところ、その手段は相当に荒っぽいので、願わくはもう少しお手柔らかにと言いたいところである。
    

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