週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(84)
大きな画像とリンクしています。   

2007年3月(2)
土曜日を有効利用したくて金曜日から野迫川入りした。
いつもは五條から山入りするが、今回は橋本経由。
橋本には大きな酒店があり、酒類は勿論多いのだが、置いてある調味料の豊富さには唖然とさせられる。
お気に入りの三河味醂や千鳥酢、湯浅醤油が切れていたので、それらを購入するのが今回の目的。
我が家の場合、この店は酒類よりも調味料調達目的で利用することが多い。
何しろ一軒の店でほとんどが揃うというのが嬉しい。
ただ、油とダシ系は弱く、選択肢が少ない...。
「ここに「景山さんの菜種油」と八戸の「ぶったまげた鰹だし」があれば、もう何も言うことがないのだけれど...。」と、毎回同じことを考えている。
カートを押しながら、コンソメの大缶や豆板醤の大瓶入り、パプリカ、ターメリックと、ついつい手が出る。
奥左から三河味醂・千鳥酢・湯浅醤油 この店では珍しい調味料を発見することがしばしばあり、いい勉強をさせて貰っている。
今回は飛騨・高根村の「うま辛とうがらし」なるものを見つけた。
天然熟成20ヶ月と書かれているが、どんな味わいかと楽しみである。
目を見張るほどだった香辛料の品数が減っていて、売れ筋しか残されていなかったのはとても残念。いつまでもウロウロと巡り続ける私を、陳列棚から引き剥がすのに、kiiさんは相当苦労しなければならなかった。毎度のこととはいえ、お許しあれ!!
土曜の朝、目覚めると山はまるで冷凍庫。霜が分厚く真っ白に降り、やる気を減少させるようなマイナス気温である。
これが通常通りなのだが、暖かさに慣れた身には厳しい。
それでも、太陽が顔を見せ始めると一気に気温が上りだし、今度は一枚脱ぎ二枚脱ぎ...。
顔を真っ赤にして、暑いとぼやくのだから身勝手なものだ。
手すりに使う材を作っている kiiさんは引き続きロフトのベランダの材料調達。
材料調達といえばいとも簡単そうだが、うちの場合は木を伐り皮を剥きというところから始まるので、否応なしに時間が掛かる。
今回は手すりに使う材作り。(画像左)
夕方近くに刻みに入る。
日が翳ると一気に気温が急降下する。
冷たくて手先の作業はかなり辛そうである。(画像右)
刻みがはじまった
日曜日は天候が崩れるとの予報が出ていたので、とにかく土曜日に出来るだけ走っておこうと、私は休憩どころか昼食時間も惜しんで動き回る。
相変わらず、イノシシに蹴散らされた石を組みなおし、穴ぼこを埋め、その合間には草を引き、植え込みもする。
先週痛めた右肩をかばいながら必死に作業する私を、kiiさんはこれまた必死にセーブするのだが、私ときたら、いつの間にかこっそり作業に戻ってしまうのだからどうしようもない。しまいにはkiiさんも呆れ顔である。
何しろ、「やらねばならぬ、やらねば先に進まない。」が、絶え間なく呪文のように響いているのだ。
表の柵にペンキ塗り完了 おまけにペンキ屋さんにも変身する。
以前に缶に少しずつ残った塗料(キシラデコール)を貰ってあったのだが、それを全部混ぜ、表の柵に塗る。
いったいどんな色になるのかと不安だったが、残り物のブレンドにしてはいい色になった。
臭いが苦手で、うちのログにはキシラデコールは使っていないのだが、効能は高いようで水をよく弾く。
高価だが確かに外部にはいい塗料だと思う。
しかし、塗布する間ずっと息苦しくて、好きなペンキ塗りを楽しめなかったのも事実。
どちらを取るかと問われたら、やはり耐久性を取るべきなのだろうが...。


日曜日は目まぐるしい天候で、強風。雨、霙、挙句には雪が舞う。
ロフトのベランダを解体する 外部に電動の道具を出して作業するのは無理だと、“間に合わせ簡易ベランダ”の撤去に取り掛かる。(画像左)
幼い子どもたちの安全のために取り付けたものの、諸々の作業に追われ、そのままで時間が推移してしまったが、ようやく完全なものになる。
古い手すりを外した後のなんとも頼りない様子。(画像右)
解体後の頼りない様子。雪が舞っている
悪天候では致し方ないのだが、もう少し作業を進めておきたかったとの思いが強く、二人とも心残りで山を離れる。

2007年3月(1)
作業はボッチラ、ボッチラとは進んでいるが、目覚ましい進捗状況ではない。
冬場で身体が動きにくいことも一因なのだが、12月からこちらは仕事の都合で日帰りも多かったことと、なんといっても大仕事を終えた後の気が抜けた状態からなかなか脱却できなかった...。
それでも、そろそろピッチを上げなきゃ、と決意している。
幸いこの週末はポカポカ陽気の好天気に恵まれ、二人とも作業には前向きに取り組むことが出来た。
チェンソーで縦挽きした後、プレナーを掛けている kiiさんはロフトのベランダを作るべく、材料の用意を始める。
幼い子どもたちが訪れたときに、危ないからと間に合わせで取り付けたのだが、流石に傷んできて、きちんと仕上げなくちゃと気になっていた。
屋根が完成してからというもの、応急の手すりがなんとも見苦しく目立ち、案件は多々あるものの、晴れた日は取りあえずこの作業に取り組もうと相談がまとまる。
切り倒した杉を運び出し、皮をむき、細工をする。
これは端を隠すための材を作っているところ。
縦挽きの面に直角に、円鋸でカットする
ところで、倶楽部の一番下方には開拓当初に伐採したまま、ログに取り組む決意が生まれるまでに傷んでしまった丸太の山が未だに片付かずに捨て置かれている。ずっと懸案事項ではあるが、手が回らない。
これらはもう板に加工もできず、また焼却するにも簡単な量ではなく、家造りが最優先だと見て見ぬ振りをしているのが現状である。
当初からログハウスを造る計画だったのなら、こんなに粗末なことをしなくてもよかったのだろうが、素人がまったく習うこともせずにハンドカット&セルフビルドなどできる訳がないと思っていた。結果、大きなログを二棟建てられるほどの杉を、むざむざこんな状態にしてしまったのである。
もっとも、この有様を嘆いて自力で建てようという気持ちになったのだから、一概にどうとは言えないのだが。
積み上げてある丸太を切断している この打ち捨てられた丸太は、思い悩んだ末、イノシシに荒らされて見るも無残になっている庭の修復に使おうということになる。
とにかく、少しずつでも消費しなければ先に進まない。
kiiさんに30〜40cmに小切って貰う。
彼のチェンソーは大きすぎて私の手に負えず、私のものは電動で小さいため、このぐらいの太さの丸太になるとまったく役立たずなのである。
kiiさんの手を煩わせたくはないが、仕方がない。
ツルハシで土をほぐし穴を掘り、丸太を15cmほど埋め込み並べていく。
切断した丸太をこんな風に利用してみた。
横に寝かせた丸太では簡単に蹴散らされるのでこんな方法を考えてみたが、しっかり踏み固めて動かしにくくしても、イノシシ軍団は造作もなく破壊工作を敢行するに違いない。
いずれはレンガや石で動かせないようにするつもりだが、取り敢えずはこんな作業で庭全体を修復していけば、丸太の30本分ぐらいは片付きそうである。
しかし、30本ぐらい減ったからといって、この量がどうなるものでもないのだが...。
掘り返され穴ぼこになっている箇所も修復して均し、雑草も引き抜きながらの作業だから捗らないけれど、それでも手を掛けただけのことはある。
このツルハシを振るう作業で右肩を傷めてしまい、かなり不自由をしているが、まだまだこれが続くのだから早く治さなくては...。

晴れた日は鳥たちの囀りを楽しみながら外部作業に勤しみ、雨の日はLK内の小屋の撤去作業を続けている。
所狭しと置かれていた道具や材料を移動した 2月の後半は、小屋の壁部分に積み上げられていた沢山の道具や材料の片づけをしていた。(画像左)
小屋の撤去作業をするためにはこんなことも絡んでくるから、進捗状況が悪くなるのは仕方がない。
壁面はこのままバンバンと外したらいいのにと思うのだが、「タイルを外したら後のコンパネは使える。限りある資源は大切にしなくては。」とのkiiさんの意見である。先の、丸太を粗末にしてしまったという深い後悔の念もかなりあるのか、kiiさんは材を上手に使っているようだ。
小屋のタイルをハツッている。
道具や材料を撤去していると、壁面にへばりつくようにしてたくさんの黒い塊があり吃驚させられる。
恐々近寄ってみると、なんとテントウムシ越冬隊である。(画像下左)
カメムシは嫌いだが、テントウムシは可愛い。
農薬を散布しない我が庭や畑では、彼らや鳥たちには絶大の信頼を置いている。
一見不気味だけれど、テントウムシたち。 雨の日、ログ内を整理していたら手書きの簡単な図面が出てきた。
(画像右)
これはポスト&ビームで造るリビングキッチンで、この図面の右手にフルログの部分が繋がっている。
浴室・洗面所は150mm厚のブロックで積み上げてあるが、外装はレンガタイル貼りになる予定。
LKのラフ図面
作業の合間には春のお楽しみ。
春先のこの時期にだけ口に出来るのがカンゾウのヌタ。これはkiiさんの大好物である。
このぐらいのときが一番柔らかくて美味しい。
甘草というだけあって草の持つ甘味もほんのりとあり、またこの緑が早春を感じさせてくれる。

ヤブカンゾウの新芽 我が家は白味噌を使わないので味噌の色は濃いが、味わいは上々だった。
倶楽部にはヤブカンゾウしかないが、ノカンゾウも調達してきて、味わいを比べてみよう...。
ニッコウキスゲやユウスゲも同じような食し方が出来るんじゃない?とkiiさんは狙っているようだが、これだけはキッパリ拒絶している。
ヌタにしました

2月の日曜日、堺市に住む福田さんご夫妻が訪ねてくださる。
久しぶりだったので、顔を合わせるなり話が弾み、日があるうちから大宴会になる。
2月の日曜日、福田さんご夫妻と。 本日の献立はお刺身10種、それも半端な量じゃない。(特に本マグロのトロが絶品なり♪)
あわびのステーキ、ウニ、伊勢えび、フグとカニの鍋、他にもいろいろ...。
前夜、「ご馳走を持っていくからね。」との電話があり、私はそれに甘えて、おからの炊いたんやセリの白和えなど簡単なものしか用意していなかったのだが、食べきれないほどの海の幸を堪能させていただいた。
「朋ありて、旨い肴と酒があれば、嗚呼それだけで、それだけで..。」
心からご馳走さまでした。
    

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