週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(85)

大きな画像とリンクしています。

2007年3月(4)
前の週はドジをしたので、「注意肝要!!」と万事にかなり慎重になっている二人である。

24日(土)は雨の中を野迫川入りした。一日中冷蔵庫の中に居たような先週と違い、なんという暖かさだろう。
土色ばかりだった庭に急に緑が目立つようになる。花が咲くことは嬉しいけれど、雑草の勢いたるや...。
悩み多き季節の到来でもある。
寸法に合わせて切りそろえている 土曜日は一日中雨で外部作業は出来ず、日曜日は早朝から作業に飛び出したkiiさんである。
ここまでは片付けておきたい、いや、片付けておかなければという強迫観念めいたものをどうしても消せないところが、週末のみの作業の辛いところ。
前回に取り付ける端材と手すりの刻みが完了しているので、今回は本体部分の刻みに取り掛かる。
これは寸法に合わせて切り揃えているところ。
この部分は相当にしにくそうだった

大まかな部分は丸ノコでカット 暖かいといっても朝晩は冷え込む。厚着で作業に取り掛かった二人だったが、太陽が顔を出すと一気に気温が上昇し、この後は一枚ずつ脱ぎだす。別々の作業をしているのに、行動が同じだと大笑いである。
本体の丸太への刻みをしている。
大まかなところは丸ノコで落とし、後はノミで細かい作業をする。
夕方には細工が出来上がり、切断面に塗装をする。
ウン、なかなか綺麗!!
ログ側の刻み完了。塗装も済んだ。
この後はこうして、こうなってね、と作業次第を説明してくれるのだが、いまひとつ掴め切れていない私である。
作業は掴めていないが、完成図は浮かんでくるというところがいい。私のいい加減なひどい画を参考にして、仕上げるほうも大変だろうが、きっちりしていないからやりがいがあるでしょと澄ましている。
次回は組み方が始まりそうだが、ミョウガの植え替えが挟まるので進捗状況は停滞かも。
大切なギョウジャニンニクを、食べたのは誰だ? 見回りをしていたkiiさんが慌てて飛んできた。
「行者ニンニクが齧られてる!!」
行者ニンニクはコシアブラやコゴミ、シオデと並んで倶楽部の大事の子なのである。
kiiさんが血相を変えるのも無理はない。
しかしまぁ、こんなに癖のあるものをかじったのは何者だろう。
応急処理
行者ニンニクが食べられたのははじめてである。
カンゾウを避けて食べてあるところをみると、目的は明らかに行者ニンニクか...。
ならば全部食していないのはどうしてか...。一度に食する量としてはこれぐらいで効能は充分だと身体が教えたのか。
推理は巡る。
これは味をしめてまた食べに来るかもしれないと、慌てて応急のネットを張る。
オオナルコユリやチャイブやシオデもみんな一緒くたになってネットの中だが、取り敢えずは一安心。
何事も、後手後手の応急処理でその場を凌がなければならないのが辛い。
「次から次へと、飽きもせずに楽しませてくれるものだね。」と笑いながら、山で暮らすことの大変さを噛みしめている。

ところで、この週末は「ウソ」の姿を見た。kiiさんは「ウッソ〜」と言うだろうと待ち構えていたら、やっぱり。
座布団を10枚ぐらい引っこ抜いてやらなきゃ...。
大事にしている桜「思川」の枝に止まって何をしているのかと思ったら、どうやら蕾を食べているらしい。
「これだけは触らないで、お願い!!」と手を合わせたい心境だが、彼らは一向に気遣う気配もない。
首筋の赤が印象的だったが、写真はぼけてしまった。
鳥は動きが激しいから写真はほんとうに難しい。
先頃からはミソサザイが高らかに歌っているし、お初の鳥たちに会えたり、声を聞かせてもらえるのがほんとうに嬉しい。
今年もオオルリが帰って来てくれるかと心待ちしているせいか、作業の合間にも鳴き声や姿に敏感になっている。

2007年3月(3)
17〜18日は、寒波が居座って日中の気温が4℃から上がらず、終日冷蔵庫の中に居るような寒さだった。
強烈な霜に、顔を出し始めた草花たちもうなだれ、なかなか立ち直れないでいる。
相変わらずの刻み作業 kiiさんは指が凍えると言いながら、前回同様の刻みを続けている。
私は長い動線を石を運んでいるのだが、息が上がっては傍らで一休み。
コンコン、コツコツと刻みの音を聞いているのは楽しい。
完成した手すりと端材。(右画像)
ホゾ穴がたくさんでかなり複雑そうだが、これで注文したデザイン通りかと首をひねる。
「その顔は、信じてないね!?」
正直に答える。「・・・ウ、ウン。」
手すりと端の刻みができあがった
雲の切れ間から陽射しが覗くと「あぁ、三月だね。」と思わせる明るさなのだが、今回は太陽はかなりむずかっているようで、なかなか顔を出してくれない。
暖かい陽だまりで鳥たちの声を楽しみながら作業するのとでは、進捗状況は格段落ちる。
手すりがあるというだけで安心感が違う いかに簡易だったとはいえ、手すりの外れたベランダでの作業ははなんとも危うく見える。
「落ちないでね!」と下から見上げて繰り返す。
ベランダに張ってあった床板を一部撤去している。
左端はログ内が吹き抜け部分になるので、梁が入っていなかったのだが、常時は使用しないロフトのベランダだとはいっても、2メートルのスパンに支えがないのは頼りなく、補強を入れようというわけである。
既に組み上げられているLKに、小屋を解体して柱を入れ込む作業でつくづく感じたことだが、後からの作業というのはやりにくいことこの上ない。確かに新規の工事と比較して、リフォームには手が掛かるものだ...と妙に納得している。
下からハラハラ 頼りない梯子の上で、重いチェーンソウを使われるのは恐い。
下で支えながらハラハラする。(左画像)
グラッと揺れるたびに背筋を冷たいものが走るが、なんとか納まってホッとする。(右画像)
次回は本体の端部分に丸ノコで刻みをいれるとのことで、面倒でも足場をきっちり作ってほしいと懇願している。
うまく納まってホッとする
ところで、人は常日頃習性にしていることを無意識のうちにしているものだけれど、時折、無意識すぎて覚えていないということがないだろうか?
健忘症とはちと違うようだが(と思いたい!!)、今回はメチャクチャのドジをした。
帰阪して夕食を済ませ、kiiさんは既に高いびき。私は本を開いていた。時は11時半。
思い出したようにフッとkiiさんに声を掛ける。
「簡易台所の再点検って、してもらったよね。灯油ストーブ、消してあった?」
「ウ〜〜ン、今回は見てないけど...。空気が冷えていたから点いていなかったんじゃないかな。」
町の家を発つときも、山を出るときも、二人の目で見れば大丈夫といつも再点検を心がけている。
何しろ片道二時間弱。すぐに見に行ける距離ではないから、用心を重ねているのである。
どちらか終いごとをした者が、もう片方に「お願いね。」と声を掛けるようにしているのだが、そういえば、今回は二人とも帰る間際までバタバタしていて、声を掛け合っていなかった。
「プロパンガスの元栓は完全に閉めたことを覚えているけれど、灯油ストーブを消したっけ??」
昼食後、寒かったから空気を温めておこうと一瞬思ったのだが、また作業に戻って走り回り、それからが記憶からスッポリと抜け落ちている。「考え込んでいてもどうなるものでもない、見に行こうよ...。」とkiiさん。
という訳でその日二度目のドライブと相成った次第である。
夜中のドライブは車が少ないからスイスイ走れるが、一往復半もさせられるのはたまったものではないだろう。
ひたすら小さくなる私に、kiiさんは「共同責任だから...。」と温かい。

夜の山道は真っ暗で冷え切って、獣たちの世界。なんと6頭の鹿に遭遇した。
二頭連れの鹿は片方が惚れ惚れとするような見事な角を持つ雄鹿で、恐がりもせずに悠然と車の前から消えていくのに吃驚する。
雌鹿の一頭は、車と接触するまでに近づいても逃げようとしない。
恐怖で固まってしまったという雰囲気ではなく、「フン、なによ!」と堂々としていることに唖然とさせられる。
最近は食事場にされている我が地だが、こんな厚かましい(?)様子ならもう「勝負は負けよね。鹿に軍配だ。」と思うことしきりだった。

心配して出かけた倶楽部だったが、ストーブはきちんと消してあった...。徒労と疲労のkiiさんに陳謝!!
限られた僅かな時間なのに、毎回大盛りの作業を抱えてしまい、余裕がなくなるのも一因だと反省する二人である。

    

週末開拓民奮戦記へ戻る  ハンドカットのログハウス(84)  夢の轍のTOPへ