週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(87)

大きな画像とリンクしています。

2007年5月(2)
ベランダ完成で気が抜けている、と言いたいところだがなんのなんの...。
kiiさんは一時休止していた小屋の解体作業に取り組んでいる。
この小屋だが、壁面はコンパネにボンドでタイルを貼り付けたのだが、ビスも釘も錆び付いてしまいなかなか外せない。
「バンバンと叩き壊したらいいじゃない?」と私は簡単に言うのだが、その叩き壊すことさえ手間取っている。
そこでまた厭言が飛び出すということを、予測しておくべきだった。
「壊すなんてことは考えないから、頑丈に作ってあったものね。いったい誰のせいでこうなったのですかね?」
そうです、判っています。図面を勝手に書き換えたのは私でござる。
作業中のkiiさん。これはLKの裏側 面白くもない解体作業に、コツコツ取り組むkiiさんはお気の毒様。
私は草引き&スギナ摘み&スカンポ仕事で大忙しである。

土曜日は奈良の田中君が訪れ、またまたコンテナ材を運びこんでくれる。
「ありがたいね。」と感謝の気持ちいっぱいである。
今回は金曜日の夜に野迫川入りしたkiiさんと、土曜の昼に電車で山に向かった私の別行動だった。
土曜日の朝、kiiさんから弾んだ声で電話が入る。「keiさん、花山椒が旬だよ!!」
その言葉に胸躍らせ、駅への道すがら地鶏を調達する。
花山椒を摘むkiiさん 花山椒。ほんとに小さい。 花山椒の時期はほんとうに短い。
週末だけの山行きでは、出会えることが滅多にない貴重品である。
昨年は次の週末辺りかと楽しみにしていたら、もう時期を逸していた。
その週の天候とも微妙に関連して、難しい。
二人で一時間も摘んで、たったこれだけ。
(1)花山椒を摘んでいるkiiさん。(2)花山椒。(3)摘んだ花山椒
夕暮れの一時間、二人で花山椒を摘む。懸命に摘むのだが、小さいのでなかなか溜まらない。
美味しさへの予感をじわじわと感じながら、この時間も前菜だと自身に言い聞かせて手を休めない。

実は花山椒は懐かしき母の味である。
亡母は可愛がってくださった目上の人から教わり、そして母から私へ...。
ただ、花山椒が手に入らないまま、幻の一品になってしまっていた。
倶楽部には山椒の木が現在15株ある。
花山椒の鍋を食べたい・・・その思いだけで増やしてきたのである。
「何本かあれば充分じゃないの。邪魔だよ。」というkiiさんに、「切ってはダメッ。」と言い続けてきた。
そのうちの何株かはもうかなり大きくなり、一昨年からようやく花をつけ始めたところである。
でも、その年は僅かな収穫だったから、チョッピリ味わうだけだった。
美味しいけれど、このぐらいでは...とかなり欲求不満で一年を経、昨年は前述のように花の時期には巡り合えなかった。
鍋の具材は花山椒と地鶏だけ。 花山椒があれば鶏の鍋!! それも断固、地鶏に限る。
高価だけれど、地鶏でなければ花山椒の個性には負けてしまう。
具材は地鶏と花山椒だけ。亡母の教え通り、スープは手を抜かずにしっかり作る。
ただし、この鍋には絶対に、そう絶対に柚子コショウを欠かさないのが私流。
「こんなに美味しいものがあったのか!!」と、kiiさんはすっかりはまり込んでしまった様子。
この春の旬というよりは、瞬の恵みに出会えたことを心から感謝している。

この鍋は捨てるところがない。
残ったスープは炊きたての熱々ご飯にかけていただく。雑炊にしてしまっては、スープがあまりにも強すぎる。
俗にいう「ぶっかけめし」、これが一番美味しい。

この鍋にショックを受けたのか、翌日から、kiiさんの山椒の木をみる目がまるっきり変わったことを感じる。
これでもう、口が裂けても「邪魔ものだ。」などとは言わないだろう。
それどころか、春の山菜の序列がすっかり変わったのではないかとも覗え、私は可笑しくて堪らない。

来年もまた、花山椒に出会えるかしら...。

ところで、ドジといえばドジだったのだが、不注意から左手が腫れ上がっている。
スギナを採取する際、手袋をはめていては摘みにくくつい外してしまった。
時間と競争するように作業をしている身、少しでも能率をあげるためにと魔が差したようなところがある。
草むらに手を入れたとたんに切り裂くような激痛が走った。
スギナと共に触れていた草が千切られ、そこに薄茶色の1.5cmぐらいの虫が居たことは見たのだが、あまりの痛みについ放り出してしまった。刺すというものではなく、噛み切られたような鋭い痛みだった。
どうせ痛い思いをさせられたのだから、再び遭遇することがないように始末すればよかったのだが、咄嗟のことでそんな頭は働かなかった。小さい子どもたちは草むらにはあまり入らないが、それでもこんなことがあったのではあまりにも可哀想で、撲滅作戦を敢行しなくてはならない。
形態の記憶と症状から、カバキコマチグモではと推察するが定かではない。 さて、何処におわすか...。
顔は右半分がお岩さん。犯虫はブヨ。杉林の中で一斉攻撃を受けた。
今年は暖冬だったせいか、毒虫の発生がきついような気がする。
農薬は使わない我が庭、「鳥さん、頑張って!!」と大声でエールを送っている。

2007年5月(1)
GW前半(29〜30日)は二人とも突っ走った。
前半でロフトベランダ作りの目鼻をつけてしまいたいkiiさんと、いただき物のダンボール3箱分を含め、大量の花苗の植え付けに走り回る私と...。
食事は時間無視、いい加減、お腹がすいたら仕方なく食べ、暗くなるまで作業に没頭し、腰折れスズメのようになりながら、這って階段を上るほどよく働いた。
縦桟のホゾを作っているkiiさん 縦桟のホゾ作りをしているkiiさん。
下端(ハナ)と手摺上部ではホゾの位置が違うのと、両端の屋根と接する斜め部分などもかなり複雑なようで、時折「アッ、しまった!」などという声が聞こえる。
日が暮れる頃にはようやく全部が出来上がる。
日暮れ頃、ようやく出来上がる

縦桟の組み込みが始まった 翌日には縦桟を組み込み始める。
「なかなかいいじゃない!!」
庭仕事をしながらも、ときどき見上げては監督に変身する。
夕方には大方が組みあがる。
床材も削り込みを済ませて仮組みする。
フンフン、デザインどおりだな...。
思ったよりスムーズに出来上がり、拍子抜けの私。
「その分刻みでは苦慮したのですけどね。」とさりげなくkiiさん。
「アッ、しまった!」が」連発だったことを思い出して内心ニマッとするが、そんなことはおくびにも出さない私である。
床材の固定と塗装は後日に廻し、取りあえず第一段階の予定は完了。
ホッとするkiiさんを横目に、私の作業は永遠に終わりそうにないとため息。

連休後半の3〜4日は仕事関係で8人の来客があった。
4日の夕方、嬉しいお客様が来訪。花友達の妙子さん、幸雄さんご夫婦。
おやつと花苗の差し入れも嬉しかったが、久しぶりにお二人の笑顔を拝見できて疲れも一掃である。
短い時間だったが庭を巡り話に花を咲かせる。
妙子さんと花の話をしだしたら、止まることがない。
連れ合いたちは、「仕方が無いなぁ。」と諦めの心境になっているのだろう。
相当に頑丈そうでしょ♪ お二人から元気を戴いて、5日はまたまた走り回る...。
雨の予想だったが、いけるところまで何とか頑張りたいと、、kiiさんは早朝から作業開始。
私は来客の後片付けに追われていたが、昼前、kiiさんの「完成だよ!」の声にロフトへ上がってみる。
床材を固定し塗装も完了。
びくともしない頑丈なベランダが出来上がっていた。
完成した手摺にもたれて、庭を見下ろすkiiさん

外観、スッキリになりました。 頼りない応急間に合わせの手摺を見慣れてきたせいか、スッキリした外観はまだ馴染みがなくて、他所の家のように見える。
「早くこう出来たらよかったけれど、週末だけの哀しさよだね。」
これでまた一歩前進。
週末開拓民の道は険しく遠いけれど、怯むことなく驀進しましょうぞ!!

2007年4月(3)
思川が咲いています。 嬉しい報告がある。
思川が咲くのと前後するように、今年もオオルリが帰ってきた。
鳴き方で「アッ、去年のオオルリだ!」と判る。

画像はkiiさんがお気に入りの「思川」
LK内に巣を作り慌てさせてくれた一年前のことが、まるで昨日のことのように思い出される。
オオルリ一家は勿論だが、私たちにとっても緊張の日々であった。
果たして今年は帰ってきてくれるかと、春の気配を感じだしたころからそれが私たちの最大の関心事だったが、先の週には鳴き声も聞こえず落胆を隠せずにいた。
私たちなりに気遣ってはいたのだが、彼らの受けたストレスは相当なものだったのだろう。
もう来ないのかもしれないと諦めの心境になりつつあった。
それがどうだろう。咲き出した思川と、オオルリの高らかな澄んだ囀りが、私たちを迎えてくれたのである。
抑えた、しかし飛び上がりたいほどに喜びを込めたkiiさんの声が「きてる!!」
指差す紅玉の木の辺りにはオオルリ奥さんがいる。こんなに嬉しいことがあっていいのだろうか...。
これは雄鳥の鳴き声、これは雌鳥だねと、ソワソワ度が増している二人である。
今年はLKは勿論だが庭内にさえ巣作りは望めないかもしれない。
でも、暫し作業の手を止めて聞き入ってしまうほどに美しい囀りを、また聞かせてもらえたことが何よりも嬉しい。
倶楽部周辺には年々来訪する鳥が増えているようで、様々な鳴き声に二人とも喜びを隠せないが、落ち着いてウォッチングをする余裕がないのが残念である。
それでも時折は、図鑑を片手にして、新しい出会いに胸を躍らせている。
今回は雨の予報で、しかも珍しく当たる気配。
僅かばかりの晴れ間をみて、kiiさんはロフトベランダの手すり工事を続行中。
連休までには片付けたかったらしいが、日帰りが多かったのでそれは無理というもの。
←下場の端(はな)材をウインチで吊り上げているところ。
端材に刻んであるホゾ穴に本体のホゾを入れこむ。「オオ、何とバッチリじゃないの。」「珍しくね...。」
kiiさんも満更ではない様子。修正なしでこんなにうまく収まるなどということは、滅多にあるものではない。
右画像は収まった端材を上から見たところ。金具で留めつけてある。
端材の刻みは縦桟(正式には何と呼ぶのか?)をはめ込むためのものらしい。
縦桟は90ミリ角なので、出来上がりはかなりダイナミックになるだろう。
廃材がどのように生かされるか...乞う、ご期待!!である。
さて、要望のデザイン通りに出来上がるだろうか...。


週末開拓民奮戦記へ戻る  ハンドカットのログハウス(86)  夢の轍のTOPへ