週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(92)

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2007年9月(3)22〜24日
土曜日は種々所用があり、昼過ぎに野迫川入り。
今日は仲良しの妙子さんご夫婦が来訪予定で、ほんとうは早朝に大阪を出たかったのだが...。
それでも久しぶりにおしゃべりができると、
昨夜から楽しみにしていた。
やがて到着されたお二人は何故か作業着姿。「実は草引きのお手伝いをする予定でお邪魔したの。」に感激する。
ログはまだしも、しんどいだけの草引き作業に名乗りを上げてくださる人などいない。
遊びには行きたいけれどきつい作業はまっぴらご免、という御仁がなんと多いことか...。それはこちらがご免でござる。
したがってコツコツ一人で作業してきたのだが、先に畳を搬入してくださった折に、荒れ放題の有様を見て憂慮されたのかもしれない。思わず手を合わしたくなるほどに嬉しかった。
なんと、綺麗に...。 どこもかしこも草ボウボウだが、このエリアは見違えるほど綺麗になった。
几帳面な幸雄さんの性格が、草引きにも滲み出ているようだ。
妙子さんと私は庭内の草引き。
植物に詳しい妙子さんは、引く草、引かない草の区別もよくご存知だから説明など必要ない。
どんどん作業を進められるのだが、それがまた的確で早い。
話を弾ませながら、二人とも手はテキパキ動いている。私たちって千万言の褒め言葉を贈りたいほどの働き者だと独り自賛する。「一人より二人、凄い片付きようだねぇ!」とkiiさんが感嘆詞である。
夜には帰られる予定だったが、無理やり泊まっていただく。
泊まることができない長い時間を経過して、事情が許されるようになり、今回が妙子さんちの野迫川倶楽部宿泊初体験だった。ご都合も無視して、スミマセン...。
こんな日を密かに願っていたものだから、私たちのほうが嬉しくてワクワクしてしまい、たくさん手抜かりをしてしまったけれど、お許しあれ!
幸雄さんと妙子さん
妙子さんとは、「いつかゆっくり、夜更けまで話したいね!」と言いながらもう何年経ったろう。
昔語りに夢語り、気心の知れた友と酒を酌み交わして語らう時間は、ほんとうに和むものだ。

幸雄さん、妙子さん、草引き応援部隊の再びのご来訪を、心よりお待ち申し上げております♪

作業予定を気遣って翌朝早くに帰られたお二人を見送り、さぁて今日も頑張らなきゃ...。
其々の作業に集中し、気付いたら昼前。
お昼ご飯は残り物でかき込むように手早く済ませ、三時までとことん突っ走る。
息切れ寸前の丁度よい時間に、村の町子さんご夫婦が立ち寄ってくださった。
「いやぁ、福の神だね!」これ幸いとばかり、「お茶にしましょ。」
そうでもなければ、まだまだ走り続けてバテてしまうのがいつものパターンなのだ。
林道を歩く福田さんとkiiさん
お茶の後は、T大学の先生に依頼されていたホトトギス探索に同行していただく。 お世話をお掛けしました。

24日はあいにくの雨。午後からの作業の段取りが狂ってしまうのが辛く、朝から天気予報ばかり眺めている。
眺めても回復するわけじゃないのに未練がましい。
某取材の打ち合わせ班来訪。総勢8人にビックリした。 そうこうしているうちに、午前中に予定していた某案件に関する取材の打ち合わせ班が到着。
打ち合わせなのにカメラも数台、それを見て一気に緊張する。
受け答えするkiiさんを離れて眺めながら、久しぶりに開拓当初からのことを思い返していた。
長い時間が経過したけれど、よくぞここまで来たものだと。
時が過ぎれば、苦しかったはずのことさえ楽しい思い出になっている...。
危機に遭遇したことも数知れず、途方に暮れて青くなったものだったが、今は笑い話にしてしまえることが嬉しい。

悪天候は作業には支障をきたしたが、乾ききっていた大地には慈雨になったことだろう。

雨は止まずに降り続き、諦めていつもより早めに野迫川を引き上げる。

2007年9月(2)15〜17日
「連休なのだから突っ走ろうね。」と言いながら、仕事関係の所用を一件片付け、買い物を済ませて野迫川入りしたのは午後も遅め。今週をハードに過ごしたkiiさんはヘロヘロ気味で、この午後だけは少しゆっくりと過ごそうということになる。
早めに風呂に入り、夕食もゆったりと...。といっても相変わらず秋刀魚や手羽先の定番バーベキュー。
「ちょっと飽きてきたね。」とのたまうkiiさんだが、旬の秋刀魚は今しか食べられないと、私は毎週飽きもせずに登場させている。産地によって味わいも微妙に違うような気がして、今日のは当たりだった。北海道産にもいろいろあるだろうに、漁場名表示でもされないものかといつも思う。

今日も、美味しいね♪ ひと頃と違って、火の傍らに居ても暑さをまったく感じない。
何しろ先週から、夜は毛布を使っているぐらいである。
日中はじっとりと汗ばむ暑さだが、日が落ちると気温は急降下して肌寒さを感じるほど。
秋の虫たちの賑やかな合奏を聞きながら、静かに夜は更けていく。
前日にゆっくりした分を取り戻さなくてはと、翌日は早朝から動き出す。
作業予定はお互いにビッシリだが、果たして半分もこなせるか...。

まだ薄暗いうちから作業に取り掛かる 私は相変わらずの庭仕事。
kiiさんは崩れかけているログへの階段を作り変える。雨ざらしの階段は、誰が被害者になるか・・・というぐらいにボロボロになっていた。
風防室を作る際に階段も一緒に作る予定で、つい先延ばしになっていたのだが、なかなかまだそこまで進めないでいる。従ってまた間に合わせだが、怪我をする前に作らなくてはと第一案件になっていたのである。
しっかりとして、以前より立派なものが出来上がった。
ログへの階段が出来上がった

今日も早朝から頑張っている プールの側面はもう解体したが、土台部分がいい作業場になっている。
解体しなくてはと言いながらつい利用している。今日はロフトの作業を...。
ロフトに畳を敷いたが、建物に畳を合わせるのではないから調整が必要になる。追々ということになると、段差部分で畳が傷んでしまうので、高さを均しておこうということらしい。
頭をひねりながら有り合せの材を使うのだから大変だが、なかなかいい具合に出来上がった。
ロフト内の床工事中。畳との段差調整のため。
案件は山積だが、今回はここまでで精いっぱいになった。
この日、二人とも午前5時前には起き、私は即動き出していた。
ジャム作りもしなくてはならず、日中は草を引きたいという訳で、早朝を有効に使うことにしたのだ。それに、火の番は涼しい時間帯のほうが楽だということもある。二つの鍋を火に掛け、片方は大人用、もう片方は子どもたち用。ブルーベリーの頭にある星の形をした冠が舌に触り、食べにくいという幼子のために、ミキサーに掛けて漉してジャムにする。大人用になら、こんなに手の込んだことは絶対にしない。3時間も火の傍から動けないのは辛いけれど、楽しみに待っている子どもたちの顔を思い浮かべながら励む。
ブルーベリージャムを作る。
夕刻、終いごとをしながら流石にバテ気味の二人。「ちょっと働きすぎだよね。」と異口同音なのが笑える。

ところでオオルリはもうこの地を去ったのだと思っていたのだが、どうも朝夕に聞こえる澄んだ声がそうではないかと気に掛かっていた。鳴き方は高らかな囀りとは変化しているが、声があまりにも似ている。
たまたまkiiさんもひょっとして...と考えていたらしい。
この朝高い梢で鳴く鳥に、急いでカメラを取りに走ったのだが、間一髪で飛ばれてしまった。
飛んだ姿に青が見えたような気がして興奮する。
もう留まっているはずがないとして意識の外に置いてしまい、見過ごしてしまったことに、早起きしたお陰で気付いたということかもしれない。
カメラを傍らに置き、注意して様子を見ようと思っている。オオルリ氏に会いたくて、当分、5時起きの私かも...。

2007年9月(1)
暫し更新を休止させていただき、申し訳ありませんでした。
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8月は娘母子の来訪で大忙しだった。
何しろ週末だけの山の住人だから、準備や整備、後片付けにもかなりの時間を取られる。
それでも、夏休みを楽しんで帰った子どもたちの笑顔を思い出すと、ほのぼのとして温かいものがこみ上げ、草だらけの庭にも進捗状況の滞った家造りにも替えられないと思うのである。
プールではしゃぐ子どもたち 今日ぐらいは曇りになってプールはお休みしたい、などと思うのは大人ばかりで、夏の休暇中は一日の休みもないほどプール日和が続いた。
谷の水は冷たいので、早めに入れ替えては日向水にする。
今年の、大きくて深めのプールに最初は隅から離れず臆し気味だった下の子も、後半になると大胆になりだす。

子どもたちの笑いさざめく声がこだまして、久しぶりに賑やかな倶楽部だった。
夏の休暇の後半、仕事が入っていたkiiさんは野迫川から大阪まで通勤。
朝5時には家を出るのだから、大変だったはず...。
町で寝泊りすれば往復時間分が楽なのに...。野迫川は汗ばむこともなく気持ちよく寝れるからとのことだったが、本音はじいじの車の音を聞きつけ、暗闇に向かって大声で出迎える子どもたちの声が聞きたくて、に違いない。「じいじぃッ、おかえりぃ!!」「まってたのよ〜!!」には、どれほどの疲れでも飛んだことだろう。
楽しかった日々を胸に甦らせているのか、プールの解体工事をしながら寂しげなkiiさんだった。
プールを解体中のkiiさん
さて、時は移りまして...。もう早や9月になってしまった。
日中は町並みに気温が上昇するが、朝晩の気温が急降下する山の庭はじっとりと露が降りる。
適度な湿り気と高温とくれば、勢いよく繁茂する草。見るだけでクラクラとして卒倒しそうになる。
引いた草の大きな山が数を増やすことに快感を感じさせるという次元はとっくに過ぎ去り、とにかくすごい...。
庭どころか、ブルーベリー畑もミョウガ畑も、一帯が草に埋もれている。
このエリアも、これまでに幾度も、雑草一掃大作戦を敢行しているのだが追いつかない。
努力を惜しんでいるつもりは毛頭ないが、あぁ、週末開拓民の哀しさよ。
「もっともっと、頑張らないといけないのよね。」と自身に問うてはみるが、所詮二本の腕では如何ともし難い。

アキアカネがたくさん飛び出して、その背が真っ赤に色付いてきたというのに、その頃になると例年鳴りを潜めるシロフアブが今年はまだ居座っている。その数はそう多くはないが、ますます獰猛になっているような気がする。
卑怯にも、懸命に草を引いている側面や背後から襲いかかり、衣服の上から刺しまくるのだからたまったものではない。ジーパンの上からでもおかまいなしだ。本人、イヤ本虫は大丈夫なものかなと要らぬ心配までしたくなる。
というわけで、脇腹や背中をかきむしっては、kiiさんが言うところの「珍妙な舞い」を披露している私である。
搬入された畳 過日、妙子さんご夫婦が新古畳(こんな言葉があるのかな)を15枚搬入してくださった。
板敷きに布団は疲れるので、せめてイグサの薄べりでも敷きたいと思っていたので、有難いお話だった。
畳表は焼けているが床は未使用だけにしっかりしていて、それも今風のスタイロ畳ではなく昔の作りというのが嬉しい。
懐かしい光景
早速干して、ロフトに使わせていただく。
畳は1920mm×940mm、今のサイズとはまったく違うのが驚きである。しかも一枚32キロもあり重い。ウインチで吊り上げてロフトへ持ち込むのだが、慣れない形状は持ちにくくて手こずりkiiさんと四苦八苦。
疲れか、畳敷きの快適さか、多分その両方なのだと思うが、その夜は夢も見ずに爆睡した二人だった。
製材機を作り出す 僅かな間を見つけては、kiiさんは製材機作りに取り掛かっている。
以前のものは老朽化してしまい、また多少改善したい向きもあるようで、あれこれ試行錯誤している。
それに伴い、久々にホゾ穴明け機も登場。
「ウン、快調。バッチリだな!」といかにも嬉しげである。
楽しげに道具を触っているkiiさん
今年、LK内の小屋の撤去作業に思いのほか手間取り、その後、ロフトのベランダを完成させたが、以降は草刈りをはじめとして、仮設トイレの移動などの諸々の作業に追われていた。
ここへ来て、家造りはようやく次の段階への準備に入りだした。リビングキッチンの天井と床の仕上げが次なる目標。
小屋の撤去後、一部残されている壁面の板張りも、寒くなる前になるべく塞ぎたいとの考えから、製材機作りも急いでいるようだ。

ところで、町の住まいのネット環境が変るような...。現在は住棟内LAN方式なのだそうだが、100Mbpsの光になるらしい。アンケート用紙を前に、かなり複雑な心境である。
山暮らしをすることに何の躊躇いもない私だが、ただ一つ、ネックになっているのがインターネット環境である。
野迫川村は、未だにフレッツISDNの世界しか与えられていない地域だということ。
ネットを介在せずに情報の交換や収集、選択をはじめとして、買い
物さえままならない、そんな状況が構築されつつある現代において、光どころかADSLにも取り残され、スッポリと抜け落ちた、いや抜け落とされて地方がある。
近隣の町村には光が通じているところもあると聞いたが、この村まではなかなか届かないようだ。

田舎に高速回線は不要か?

一部ソフトに関しては、いまや、ダウンロード以外には手に入れる方法がないという時代が来ているのに、せめてフレッツISDNから一歩だけでも進んだシステムを取り入れてもらいたいと思うのだが、関係機関に「お願い」してはいるけれど、小さな声はなかなか取り上げてはもらえない。
フレッツISDNの、気が遠くなるようなアップ&ダウンロードの所要時間を思うと、目の前が真っ暗になる。
街はどんどん設備が進化し、通信環境も安価で提供されるのだが、地方は捨て置かれている現況である。
それでは、ますます過疎になってしまうではないか。

交通手段や文化施設をはじめ、諸々の不便をかこつ地域だからこそネットが必要不可欠なのではないか。
たとえばWebラーニングにしても、田舎にこそ必要なものだとは考えられないだろうか。
確かにネットにはマイナス面も多々有るが、使いようによっては知的好奇心を満足させ、活性化にも役立つに違いない。
携帯が繋がらないことも不便だけれど、ネットが一番問題じゃないかという来訪者の声を聞くたびに、そんな思いを新たにしている。
人が等しく文明を享受し文化の息吹を感じることができない国の有り方、各種の恩恵や利便性が都市にのみ集中している現状には憤りを感じる。町と地方を行き来している身だからこそ、見えてくる事柄もある。

都市の中の富裕層と貧困層だけではなく、都市と地方の格差も、いろいろな分野でますます拡大しているというのが口惜しい。


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