週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(96)

大きな画像とリンクしています。

2008年2月(2)
またまた雪景色の野迫川だった。
kiiさんは体調が少し良くなり気力も回復した様子。
明るい気持ちで野迫川入りした私たちだったが、落胆すべき事態が発生していた。
ギャ!!ど、ど、ど、どうして...!?」そのkiiさんの声といったら...。
谷の融水は、ジョイントを修理し、遊び部分も作って外れることが無いようにしたのだ。
帰阪前にはゴンゴンと勢いよく流れだし、「フ、フ、フ、今度は極楽の湯に入れる。」と倶楽部を後にしたのだった。
ところがいったいどうしたことだろう。その水が止まっているではないか。
前回修理した箇所を確認に行くが異常なし...。では、どこか??
「水源地まで見に行くのは雪が少し融けてからにしよう。」なんて、kiiさんはサッサとこの作業を放棄してしまった。
落ち葉が溜まって取水口が詰まっているだけならいいが、不安は胸の底に渦巻いて消えない。
住んでいたら即座に対処できることも、週末だけでは大事になるのだからそれが辛いところだ。
失意のうちの昼食は味もわからず、喉を通りにくかった。
ヤトイザネをはめている それでも気を取り直して、天井板張り作業を始める。
どうも相方がいるほうが楽なようで、私も真面目に手伝いをする。
というか、雪が降っているので外の作業ができないから...。
板を持ち上げたり、サネを入れ、叩き込んだり。
監督しながら見ていて作業を呑み込んでいるせいか、自身では結構役立つ存在のつもりだが、果たしてどうだろう。
kiiさんには「煩いばっかり...。」などと思われているかもしれない。
厚み38ミリの長尺の板は結構重い。
このサネにミゾを入れ込むのが、実に難しい。 長くて重いので、上げるのに四苦八苦。
全長3200mm巾280mm厚さ38mmの板は重い。
天井板をサネに入れ込むのがまた難儀な作業。何しろサネもミゾも見えないのだから簡単には入らない。
「素人がそんなに簡単にできたらどうするのよ。大工さんの長い年季を考えたら、難しくて当然なんだよ。」と慰めあいながら必死である。
何とか入れ込んだ後は、隙間がなくなるまで板を叩き込む。これもスンナリとはいかない。
ゆとりがありすぎたらサネの役目を果たさないものね。
束を切り欠いている。 複雑に留めつけられた金具部分を板に写して切り欠いていく。 頭が痛くなりそう...。 いったいどうするのだろう、と密かに案じていたのが束と桁や桁との接合部分。
kiiさんの頭の中ではどうということはなかったらしいが、いくら説明されても私には見えてこなかったのだ。
束の下部分を切り欠き、板が治まる様子を眺めながら「ヘェ〜ッ」
束だけでもややこしいのに、これらの部分には種々の金具が使われているので頭が痛くなるような複雑さである。
それにしてもこの接合部分で、特に大黒柱付近では複雑を極めているのでかなり手間取っている。
kiiさんには悪いけれど、こんなに上手く納まるものだとはまったく思っていなかった。
kiiさんは、「天井と屋根裏の床を同時に作っているんだから、そりゃぁ手間が掛かるものさ。」と事も無げ。
これでもすんなりいっているほうだと言う。
ほぼ半分が張りあがった 上ってみると広い。相当の収納スペースになりそうである。
屋根裏の高さが低いのが難点だが、これは最初にこの部分を使うことを想定していなかったのだから仕方がない。それにLKの天井高が高いほうがいいか屋根裏の高いほうがいいかを考えると、住まいを優先したいと納得。でもLKの天井高2900mmはちょっと取りすぎだったかな。
ようやく半分近くが張りあがった。
「思うようにできなかったなぁ。」とkiiさんが呟く。「いったいどこまで張り上げる予定でいたの?」
相変わらず多めに予定を組んでしまうところが、可笑しいやら厚かましいやら、である。
窓が一部入り天井が出来上がってくると、ずいぶん家らしく見えるものだ。
野迫川は例年になく雪が多いが、それもサラサラではなく、たまさか三月に降るような湿った重い雪である。
これが難儀なのだ。
こんな風に積もる。ネットも切れそう...。 ブルーベリー畑の防鳥ネットに積もり、一面に白い屋根を作ってしまう。
雪屋根の下は日がまったく差さず凍えそうな冷たさ。
ネットの骨組みが雪の重みで壊れだし、見るに見かねて雪落しと相成った。
バシバシと雪を叩き飛ばして濡れながら一時間、いい運動量である。
このところ、こんなことも私の作業になっている。
お日様に当たると、思いなしか、ブルーベリーの小さな芽も元気を見せるような気がする。
いつも思うことだが、放りっぱなしでは美味しい果樹は実らない。
そのためには人知れず手を掛けているものだ。
それを、収穫の時期だけを見て、手を掛けずとも簡単に実っていると勘違いする人たちがいる。
そんな言葉を投げかけられた時は、kiiさんと二人でうんざりしながらこっそり顔を見合わせてしまう。
花たちにしても然り。咲いているその一瞬の美しさを引き出すために、一年間地面を這いずり回っているのだ。
まぁ、なんといっても好きなことをしているのだから苦のようで苦ではない、いうなれば苦を楽しむ心境かもしれない。
だから、ブルーベリーを引きむしるように摘む人や枝を平気で折る人、芽吹きを待っている花たちを踏む人には、どういう神経なのだろうといぶかしみ憤怒の思いさえ感じるのだ。自生、植栽を問わず深い愛情を抱いているからこそ、傷められたときの辛さは言葉では言い表せない。

真っ白い庭を見やりながら、早く土に触りたいと思う。

2008年2月(1)
9日(土)の昼には野迫川入りしたのだが、前日の雨で少し濡れたkiiさんは風邪気味。
久々に風邪薬のお世話になり、だるそうな様子。
折角の連休なのに出鼻をくじかれて生気がない。

野迫川はまたまた雪。深いところでは30センチはあろうかというほど。
到着後、雪の上に轍や足跡が付く前に写真を撮っておこうと近づいたときだった。
入り口のお茶の木の傍らから大きな黒いものが走り出したのには、吃驚して思わず「ギャッ!!」と叫んでしまった。
なんと、なんと、今まさに食事の真っ最中だったらしいカモシカ君が、一目散に逃げ出したのだ。
彼も吃驚しただろうが、私たちも腰を抜かすほど驚いた。真昼にそんなところに居るなどとは思いもしなかったのだから...。
このカモシカは先のブルーベリー畑を襲い、我が庭を縄張りにしている輩に違いない。
しかし野生の動物って朝も昼もお構いなしに食事をするものかな。
食いちぎられたお茶の木を眺めながら、その厚かましさに呆れる。
配線工事中 雪が降っている上に風邪引きだしと、外部の作業は中止にする。
事情があり、ゆっくり休んでもいられず、昼食後は天井板を張り出すための準備に取り掛かる。今日のkiiさんは電気屋さん。
電気コードを天井裏になる部分にきちんと張り留める作業で、これを片付けなければ天井板を張り出す訳にはいかないのだ。
これが今日中に片付けておかなければならない優先事項だった。
実は到着後に由々しき事態が発生していることに気付く。谷からの水が止まっていたのである。
今回で三度目になるのだが、同じ場所で引き水のパイプのジョイントが外れていたのである。
この現象は冬場の雪が積もった時ばかりに起こるが、どうもパイプの遊びがないことが影響しているらしい。
含めて対策を考えなければならないと言いつつ、こちらはとにかく雪が降り止み天気が回復してからのこととする。

kiiさんはその日一晩中シャックリに悩まされ、三隣亡。だんだん声まで変わってくる。
相棒が体調を崩すとお酒も食事も美味しくない、あずましくない。健康第一だと改めて思うことだった。
N○K取材班 今回は、10日にN○K系列の撮影が予定されていた。
野迫川村紹介の一環として、協力させていただいたのである。
作業風景なども撮るとのことで、工程からいって先の電気工事が昨日中に必須だったのである。
午前9時からの撮影予定が、雪で一時間遅れで始まる。
天井板を張りだす
体調を崩しているkiiさんを密かに気遣いながら、ハラハラ、ドキドキ。
何しろ二人とも、昨夜のシャックリで寝不足である。kiiさんは勿論だが、同じ部屋に居て私も寝れるものではなかった。
「最悪のコンデションだけれど頑張ろうね!」「迷惑をかけられないしね。」内心は結構悲壮だったのだが...。
N○K取材班撮影風景 フラッシュを使えず画面が暗いが、撮影風景を撮影する。
私は興味津々でウロウロ。かなりお邪魔虫だったと思うが、知らないことを知るということは楽しいものだ。
それでも、kiiさんがメインの間は平常心だったが、カメラがこちらを向きだしてからは大いに参った。
N○K取材班撮影風景
回り続けるカメラの前で応答するなどという芸当は、素人にとっては実に難しい。緊張してあがり、顔が引き攣りっぱなしだった。出番は短時間になるとは聞いているけれど、「できるだけカットしてね。」とお願いする。
ゲストと談笑 昼食風景で当日のゲストと談笑するkiiさん。
美味しいもの談義で話が弾む。
食いしん坊が集まるとその話題が尽きない。

撮影終了は一時半。皆さんお疲れ様でした!!
お疲れ様でした♪
感想・・・「寒くって着膨れの季節だったのがイヤだったな。雪景色もいいけれど、春の花盛りの時ならよかったのにね。」
と私。「なんといっても春が一番いいのにね。花も山菜もたくさんあって。」とkiiさん。
静止画像とはまた違った緊張感があり、いい経験をさせてもらえたと思う。
終了後は、妙に疲れてぼんやり過ごしてしまう。「まっ、雪だしね。」と、今回は言い訳もしやすい。
ここでジョイントが外れていた 連休の最終日は懸案のジョイントの修理。
高さは5メートルほどはあるだろうか、滑り落ちないでと下でハラハラしながら見守る。
実は下に居るのには事情があり、部品や道具が落ちてきたらロープに繋いで引き上げれるようにするのが私の役目。
今回もしっかりお役が回ってきたことである。
思ったよりスムーズに修理が出来たのに吃驚するが、何しろ三度目だものねという言葉だけは呑み込んでおいた。

白樺が一本、また倒れた。
根元がカミキリムシに食害されていたもので、雪の重みに耐えられなかったらしい。
いつもはしばれようが雪だろうが「小さい春探し」をするのだが、哀しくて庭に出る気にもなれない失意の二人だった。

ところで、kiiさんお願い、早く風邪を治して天井を完成させてくださりませな!!

2008年2月
FIXが入った。気分だけでも暖かい。 2月一週目、FIXが入った。
一枚ぐらい割れるかもしれないと心配していたが、残る三枚も上手く切れて、拍子抜けするほど順調に行ったのが何か落ち着かない気持ちにさせる。
「上手くいったらどうしてあかんの!?」とkiiさんはのたまうが、何処かに落とし穴があるのではないかと思ってしまうのだ。
しかし、いいものだなぁ...。中から表から、何度も出たり入ったりして眺めている。
コーキングをしている 嵌め込まれたFIXに変性シリコンでコーキングをしている。
これで完成。
4枚分を両側からコーキングするので、結構な量と時間が掛かる。
「上手いものだね。」「茶化さんといてよ。」
私は傍らで監督をしながら、ガラスに映る景色にさえ見惚れている。
ウン、なかなかうまいよ!!


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