週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(105)

大きな画像は暫時お待ちください。

2009年1月(3)
相変わらずの銀世界で、童心に返って雪遊びを楽しんだりしている。
今日もソリ遊びをしながら、ふっと見上げた二人の視線が中空で留まった。
背筋をゾクリと寒いものが走る。
同じものを見ているのだと瞬間に判った。
敷地内にはまだ150本ほど、伐採していない杉がある。
ピーセンピース工法で納屋&書庫&ホビールームを作る際に、利用しようと考えている。
伐採してしまうと畑や果樹園作りが楽になるのだが、作業が追いつかないままに伐採しても杉丸太本体を傷めてしまうので、まだ生えたままで置いてあるのだが...。
その杉たちの南面に張り出した枝に雪がたまり、大きくしなっているではないか。
正月休暇の際のようにサラサラの雪なら問題はないのだが、今回のように湿った重い雪が降り、しかも気温が低いので融けないときては、風が少々吹いたぐらいでは枝に降り積もったままで落ちもしない。
カケヤで幹を揺らしてみたがまだこの通り。


気象予報ではしばらくこの天候が続くという。
このまま降り積もれば、倒れる先はログ。
危険な木は4本あり、どれがログを直撃するか検討もつかない。
さてどうするか。
暫時思案の後に、「伐ろうか...」「エ〜ッ!!」
ごく普通の状態のときでさえ、伐採には危険が伴う。
それを今回のような悪条件の元では、いったい何が起こるか予測もできない。
雪が再び激しく舞い出したのを見てkiiさんが決断する。
「留守の間に何があるか判らない。伐ろう!!」
準備して伐採するまでの、それから二時間の画像はない。

雪の加重でどのような倒れ方をするか予測できないから、チェーンソ−を使うkiiさんも、手回しウインチを回し続ける私も、声を掛け合いながら必死だった。
20メートルを超える杉がドドゥッと倒れる様は壮観だが、こんな状況の下ではそれを見届けている余裕もない。
ニセアカシアの木を犠牲にするよと言われたけれど、雪の重みでやはりセオリー通りにはいかず、少しずれてその横の白梅「白加賀」を直撃した。
移植後ようやく元気を取り戻し、昨年からまた実りだした白加賀だったが、今年はたくさんの花芽を付けて開花を待っていたのだ。
「ごめんね...」「白加賀にはすまないことをしたね...」思わず木肌を擦る二人だった。

「お互い、怪我がなくてよかった」「これで一安心だ」
苦楽を共にしてきた手回しウインチとチェーンソ−。
開拓の当初三年間はこの道具で伐採し、ユンボの卜伝君で根を起こす日々が続いた。
たくさんの杉を伐採する辛くて長い日々を、この道具たちと共に乗り越えてきたのだった。
夫婦でもない、友人でもない、同志としてのお互いを感じ始めたのはその頃だったろうか...。
緊急処理の無事を喜びながら、そんなことをふっと思い出していた。

帰路、雪の重みに耐えられず倒れている杉を何本か目にした。
「伐ってよかったね」とホッと胸を撫で下ろし、安堵したことだった。

事後報告

翌週、多少不安な気持ちで野迫川入りした。相変わらずの雪景色である。
「どこもかしこも真っ白だね」
のんびりしたkiiさんの声を聞きながら私は固まっていた。
「ア、ワワワ...」言葉が続かない。
視線の先を見たkiiさんも固まっている。
先週、雪害で危険な四本の杉を急遽伐採して帰阪したのだが、その際、「あれも危ういかな」と一瞬頭を過った一本があった。
枝の積雪状況から見て、これはまぁ大丈夫だろうと伐採しなかったその一本が、上から三分の一辺りでボッキリ折れている。
二人は雪の中を50メートル力走。走った、走った...。しかし、危なかった。
危機一髪...。
前回にあの4本を伐っておかなかったら、やはりログの屋根を直撃していたに違いない。
あの時、よく伐採する決心をしたものだと安堵のため息を漏らす。
雪がこんなに恐ろしいものだとは、降らない地域の人には見当もつかないに違いない。
そうなのだ、枝に降り積もった雪は、太い杉でもへし折ってしまうのだ。
雪に伴うアクシデントでペースダウンにはなっているが、それでもリビングキッチンの下地作業は少しずつ進んでいる。
このコンパネの上に、化粧が施されることになる。(右画像)
作業の工程を思案しているkiiさんの背中にポツリ。「あのね、冷蔵庫の位置、変えてもいい??」
しばし沈黙のkiiさん。やがて振り返って言う。
「変えてもいい??じゃなくって、変えるよ!!なんでしょ」まぁ、早く言えばそうなんですけどね。
毎度ご迷惑をお掛けいたします。

2009年1月(2)
埃が溜まった天井の梁を拭いている。
天井にはペイントをしたくない私と、薄めの色を塗ろうというkiiさんの間で折衷案がまだまとまっていないので、せめて埃だけは取ろうということらしい。
なぜかというと、これは次の作業への足がかり。
梁の中心部を少し削ってなにやら細工している。
やがてテーブル上に電気器具が取り付けられた。
これは思い入れがあって手放せずにきたもの。
ログには似合わないけれど、LKに取り付けようと、kiiさんはずっと決めていたらしい。
私は引いていたのだが、取り付けてみると意外にいい。
壁面上部がエコカラットになる予定だから、これは似合うかもしれない。
蛍光灯が入って、ガラスカバーをはめ込まれる。
暖かくなり明るくなって、薪オーブンが設置されてもう一つ暖かくなったら、ここから動けなくなりそうだ。


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