週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(31)

2003年3月(2)

3月29〜30日
山はまだ、早春に冬が同居している。朝晩は縮こまるほどに寒い。
日差しにはやわらかさが加わっているけれど、野迫川は梅も咲いていない。

今回の作業予定はkiiさんが建具作りや防護柵作り、私はログ周辺などの清掃、整備。
kiiさんにとって建具作りはまだ不慣れの分野。試行錯誤の連続で思うようにいかないらしい。
ガラスも用意して野迫川入りしたが、なかなか取り付けまでは到達しない。
製作枚数を重ねる毎に上手になっていくだろう。チェーンソウワークのように...。
←仮のドア
あくまでも「とりあえずの仮のドア」
出来栄えは云々しないことが条件だけれど、桟の位置
のバランスが悪いと、私にクレームをつけられている。
「確かに。。次回に直します。」とkiiさんはしおらしい。

このドアの手前はキッチンになり、ここは解放にするの
でドアは付けないのだが、キッチンができるまでの暫定
的措置。
今までコンパネを打ち付けて戸締りしていたので、ずい
ぶん楽になった。

「早くこうしていたらよかったね。」
「スッキリして家らしくなったね。」

一つクリアーするたびに快適になる。
窓枠のホゾ穴開けをしている。 デッキもスッキリ
「窓枠のホゾ穴開け。」
天井板を貼る前はブルーシートで明るかったロフトが、今は真っ暗。おまけに窓部分にはコンパネ。
「これでは洞穴みたい。あんまりだね。」と、窓作り。
時間がないので今回は嵌め殺しでヨシとし、後刻、夜なべ仕事で完成させるつもりらしい。
何しろロフトのベランダや階段周辺の手すり付けなど、幼い子どもの危険防止に最低限しなければならないことが
山積している。
時間がないと呟きながら、kiiさんは作業に没頭している。

「デッキもスッキリ。」
木挽き台が置かれ、板作り作業で木屑だらけになっていたデッキを掃除する。
このデッキもログウォールを積むために楽なようにと仮に張ったものだから、いずれきっちり作り直すのだが、
友人が運んでくれた頑丈なコンテナ材(3000×270×38)は、ログに関わる多分野で活躍している。

椅子代わりの酒箱をご覧になって、「なんという酒飲みか。」とは想像しないでいただきたい。
代用できるもの、仮でよいものには手を掛けず、今はログの完成が最優先事項なのだから...。

デッキの掃除をしながら心が痛む。
ここまでの予想外の時間の推移は、ログの南面をずいぶん傷めてしまった。
ログは塗装を待っているが、これは私の受け持ち。この春の楽しみな作業である。

3月22〜24日
仕事の都合で21日(祝)の夜から野迫川入り。
この週末で何とか天井板張りは完成まで行きたいと、燃えているkiiさんに引きずられっ放しである。
22日、シートを張っての作業はやりにくい。 ←22日
予報どおり悪天候。
考え考えしながら、シートを張って段取りするのに半日
を要してしまった。
雨の日の丸太足場の作業は非常に危険である。
作業が進まないのも当たり前、ハラハラしながら見守る。
kiiさんは昼食もソコソコで板張り作業に取り掛かる。
シートを張っての作業なので、止むを得ず軒先の段か
らの作業になった。
頭がつかえてやりにくそうだったが、休憩もせずに頑張
り、夕刻までにここまで張って時間切れ。
「ア〜ッ、腰が痛い!!」
下りてきたkiiさんの第一声だった。
23日
今日に備えて、昨夜は早寝だった。
9時前には、向かいの山から聞こえる鹿の声を子守歌に、ぐっすり眠っていた。
従って朝はウグイスたちより早起きをし、6時には段取りに取り掛かっていた。
昨日とは違い、雨の心配がないのでシートを跳ね上げるが、作業のし易さは格段の違いである。(画像(1))
トントンと響く音もリズミカルである。
時々ドスンと音がするのは、道具を落とした時。
下で作業をしている私に、「keiさん、ごめん。取ってくれる?」とお呼びが掛かる。

kiiさんは、声を掛けても聞こえないほどに根を詰めていただけあって、進み具合も格段で、僅かを残して日没
になる。(画像(2))
23日、本日の作業開始。 23日、日没で作業終了。
23日(1)
本日の作業を開始した。
23日(2)
日没で作業終了。(ロフト北側)
24日
天候は落ち。午前中には仕上げて雨仕舞いをしたいと、kiiさんは朝から気合が入っている。
朝食後のコーヒーも飲みかけで、心ここにあらず...。
いつの間にか作業に戻っている。
24日、天井板張り完成!! 最後の一枚を張り終えて放心状態のkiiさん。
24日(1)天井板張り完成!!
(ロフト南側)
24日(2)
最後の一枚を張り終えて放心状態
何とか雨が降り出すまでに張り上げて、養生のシート張りもバッチリ完了。
kiiさん、お疲れ様でした!!
二人とも今回は、庭を眺めることを忘れるほどそれぞれの受け持ちで頑張った。(と思う...。)
クッション付きの養生シートを張る。 大分片付いてスッキリしてきました。
24日(3)
土足禁止になりました。
24日(4)
少しは「住まい」らしく見えるかな??
午後はロフトに溢れた道具を片付け、掃除をする。
そして、クッション付きの養生シートを貼る。(画像24日(3))
「これからここで寝れるんだね...。」「やっと、やっとだね...。」
寝具を運び上げながら、ジンワリと嬉しさがこみ上げてくる。
今までは食べるのも眠るのも同じ場所で、おまけに道具や機械も混在していて、木屑も散らばっていて、落着か
ないことこの上ない有様だった。
「これからは寛げるねえ...。」顔を見合すたびに、同じ言葉を交している。

ログの一階部分の掃除、整理、整頓が今回私に課せられていた作業だった。
町の倉庫に7年ほど入れっ放しだった食器棚やテーブル、チェストが、カビやネズミの餌食になりそうで、ロフトで
寝れるようになったのを機に思い切って運び込んだのである。(画像24日(4))
本当ならキッチン部分が完成してから搬入したかったのだが、本を点検した際に、本よりも家具類のダメージが
きついことを発見して相当に慌てたのである。
この場所は書棚を作り付ける予定だけれど、仮置きにしては、何だか妙にしっくり落着いてしまったような...。
機械や道具類とはまだ同居しているが、「棲み家」と言えるようになってきて、山暮らしの夢が一歩近付いたような
気がする。

いつもはオシャベリな帰路の車中なのに、何故かこの日は寡黙な私たちだった...。
  
                                                                                  
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