週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(32)

5月30〜6月1日
30日(金曜日)は珍しく仕事が早めに終わり、食材の用意もそこそこに野迫川に飛び出した。
台風4号が接近しているのが気になって矢も楯もたまらずのkiiさんと、明日の朝に出ようという私の間に一瞬
冷たい空気が流れたが、そこは野迫川行きたい病の私たちのこと。
何しろ、ずうっと日帰りが続いていたために作業はまともに進んでいない。
おまけに、この週末はまたも雨で進捗状況は行く前から推察できるのだが、山の空気に包まれているだけでも
心地よいというものである。
大阪は風が強かったが、1時間も走ると至って穏やか
で、半ば拍子抜けしながら野迫川へ...。
しかし、野迫川村に入る辺りから強風が木々を揺らし、
東、南、西と三方が開いている野迫川倶楽部はいかに
と心穏やかならず...。
さて、到着したとたんにkiiさんの絶叫が響く。
kiiさんの胸騒ぎが当たっていた!!
シートがまくれ上がり、大きな音を立てて翻っている。
「夕食用の芹を摘んでね。」などと、気楽なことを言って
いたがそれどころではない。
買い置きの厚手のシートを張り止めし、オーバーシート
を張る。足場が悪いのできつい作業である。
この画像で、kiiさんはシートの中にもぐりこんでいる。
このあとすぐに、ひどい吹き降りが来た。
立ち木のままで皮を剥く。実験段階。 二泊三日は雨の中。野迫川の雨は、まだ冷たい...。
小降りをみては僅かな作業をする。
ログに付け残していた数本のボルトを埋め込んだり、仮設窓を
仕上げたりと、普段 なかなか取り掛かれない細かい作業を、
この際片付ける。
日曜の午後から、やっと少し止み間ができる。
kiiさんは台所用の材を伐採する準備。
元口で35cm、高さは20mの杉である。
立ち木のまま皮を剥いて水分を抜く。
これは、初めての試みなので数本に止めおく予定。
伐り倒したままで枯らすと、この季節は虫が付き易い。
立ち木のままで枯らすのは初めてだが、木にとって一番良い方法
は何かと模索中なのである。
(画像をクリックするとおおきくなります。)

この木立の中は、ミョウガや三つ葉、アジサイなどが数多く植えら
れているが、kiiさんはきっと、一番ダメージが少ない方法で伐採し
てくれると信じている。プレッシャーがきついかな??
これは前回に伐採して皮を剥き、寸法切りした桧。

この背割りも、止み間をみての今回の作業。
一番右側の材をダイニングのメインにもってくる予定だけれど、
かなり歪んだこの材は、いい雰囲気を醸し出してくれるだろうと
かなり期待している。

梅雨に突入するけれど、給排水の配管工事と基礎工事は、
晴れ間をみて何とか片付けたいと思っている。
何しろそれが済まないことには、先に進まない...。

「とにかく屋根を張らなきゃね。」
今回の台風で、危うくログ内が水浸しかというヒヤッとする体験を
させられた私たちの思いは、ここで一致したのである。

5月18日
連休以降、日帰りの野迫川行きが続いている。
日帰りは作業がまったく進まない。
特にkiiさんの担当分野は、道具を出して作業を始めたと思ったらもう帰り支度ということになるので、仕方なく
ゴソゴソした簡単な片付け仕事に終始している。
それでも今回は、気になっていた案件を片付ける。
先に伐採してあった大黒柱用の桧を必要寸法に切り、引き出す。
野迫川倶楽部の一番奥まった、足場の悪い場所から引き出すので簡単にはいかない。
ワイヤーと卜伝君の力をフルに活用しての作業になる。

4.7mに切られた桧が、皮を剥いて3本並んでいる様子はなかなか美しい。
桧が漂わせるいい香りを、胸いっぱいに吸い込みながら木肌に手を滑らせる。
「3本のうちのどれにする?」とのkiiさんの問いに、躊躇なく、一番元口に近い少し歪みのある部分を指差す。
太くてちょっと歪んだ桧が、LDKの真ん中にドンと立っている様子を想像すると楽しい。
(肝心の「三本の桧」は写すのを忘れてしまった...。)
と、こんなことが今回の作業である。
それにしても、木に触れているときのkiiさんは、これ以上ないというぐらい和んでいる。

私は相変わらずの庭仕事。
植付けも草引きも楽しくて仕方がない。
「庭に居れたら私はごきげん!!」なのである。

5月3〜5日
今回の連休はカレンダー通りより少なく、作業はあまり進行しなかった。
前夜仕事で遅くなった私たちは、さすがに真夜中に大量の荷物(花や木、野菜の苗が多いが。)を積み込む
元気がなく、ウズウズしながら朝を待つ。目覚めれば天気よし、気分は爽快なり。
「10時過ぎには野迫川に着けるね。」「湿気が少ないから、北海道の気候みたいで気持がいいね。」
ウキウキしながら心はもう山に飛んでいる。
ところが、である。家を出てスムーズに走れたのは15分ほどでたちまち渋滞に掴まり、どうしてこんな所から混
んでいるのかさっぱり判らないままに時が過ぎ行く。
戻って別のルートを使おうにも反対車線もビッシリの状況で、こんなことなら昨夜のうちに荷物を積み早朝に出発
するのだった、とは後の祭りである。
通常2時間弱の所要時間のところを、5時間半もかかってしまう。
これで一日目の予定はまるっきり狂ってしまった。
そのかわり、翌日は早朝から夕闇が濃く迫るまでしっかり働いた。
今年初めてのドラム缶風呂を楽しみ、kiiさん特製のニンニクステーキに舌鼓を打ち、「純粋蔵」のお湯割りに
ほろ酔い気分になった頃にはもう10時を回っていた。
伐採風景(1) 伐採風景を二枚。
今回のkiiさんの懸案がLDKの大黒柱
を伐ること。
大きな空間になるので、補強のために
柱を使おうということになり、数少ない
桧の一本が充てられることになった。
選択権を与えられたものの、悩んでし
まう。
少し歪みがあるほうが面白いと選んだ
一本は、kiiさんも内心「これかな。」と
考えていたものらしく、「珍しく気が合う
ね。」と笑ってしまう。
急な斜面の作業はかなりきつい!!
(画像をクリックすると大きくなります。)
伐採風景(2)桧が倒れていく
久しぶりの伐採は、やはり壮観。
高さ20m、元口30cmの木でも迫力がある。
今回は手回しウインチの替りに、卜伝君が伐採の手助けをしてワイヤーを引く。
野迫川倶楽部では、卜伝君も土木工事だけで納まっていられない。
ログの積み上げにはずっと駆りだされて威力を発揮したが、「私たち同様、ロートルでも頑張ろうね。」と頬擦り
したくなる。ロートルユンボの卜伝君は私たちの腹心の友なのである。
岩牡蠣は美味しかった!!磯の香りを胸一杯に...。 5日は知人が昼食の差し入れに寄ってくれた。
海のものが大好きな私たちに食べさせたいと、
岩牡蠣を採りに行き、わざわざ4時間を掛けて届けて
くれた。
その時点で、作業は必然的に放棄された...。
美味しい岩牡蠣はクーラーボックスにいっぱい有った
のだが、食べるに忙しく、満腹になってやっと
「そうそう。」と思い至りカメラに納めたもの。
山菜の天ぷらとミツバの辛し和えを作り、山の幸、海
の幸を楽しむ。何と贅沢なことだろう...。
それにしても、海のものはほんとうに豊かな気分を味
わえる。山の幸も好きだけれど、海の幸がより好きな
私たちが、なぜ山の暮らしを選ぶことになったのか、
考えると不思議な話である。
  
                                                                                  
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