週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(34)

7月5〜6日
5日(土)夜遅くに野迫川入り。またまた先週と同じパターン。
遅い夕食はkiiさんがミニステーキを焼いて腕を振るう。野菜は倶楽部で育ったスナックエンドウとパセリ、青ヂシャ。
採りたての野菜は甘くて美味しい。ドレッシングもマヨネーズも何にも要らない。

天気予報では雨雲は北に上がり近畿南部は晴れるはずだったが、甘かった。
夜更けから降りだした雨は明け方には激しさを増し、当たらぬ予報を罵りながら地団太を踏む。
段取りがみんな狂ってしまった...。

今回はkiiさんにとっては嬉しい出来事が一緒に野迫川入りした。
埃だらけの自動カクノミ 先週たまたま、古い知り合いの大工さんと出会う機会があった。
「お久しぶりです。」「もう15年ぶりぐらいかなあ。元気にしてたか?ワシな、
もう79になったんやで。」から始まって懐かしい話に花が咲く。
「ヘエ、山でそんなことしてるんか...。何でも楽しんでやりや。」山のことな
ども話して一段落した頃、大工さんがポツンと寂しげに言った。
「そろそろ道具なんかも整理しとかななあかんのや。もう年やよってな。」
ワシの道具を見せたろかと倉庫に連れて行かれ、整然と整頓された道具や
機械類の思い出話をしながら指差した。
「こんなんは使うとこあるか?」
指差した先には真っ白に埃をかぶった左の画像の工具があったのである。
その瞬間、私の目は多分キラリと光ったに違いない。
これこそkiiさんが欲しがっていた「自動カクノミ」、通称ホゾ穴掘りではない
か。
←埃だらけの自動カクノミ
「もう使われないのですか?」取りあえずは冷静を装って一応聞いてみる。
「道具ってなサラを買うときは高い、売ると二束三文やから売る気はないんや。二束三文で買うた中古屋は、商売や
よって高く売るけどな。使える人に貰てもらうのが道具もワシも一番しあわせなんや。」
仕事を愛してきた人の言葉には重みがある。
「出直すか?今、持って帰るか?」の言葉に、考えるより先にすかさず口を突いて出た。
「ありがとうございます。喜んでいただいて帰ります。」
「夏には倉庫の整理をするから、いらん道具を纏めて置いとくわ。電話したるから、取りにおいでや。」
工具はなんでも嬉しい。
特に木工に関する道具は、これから先の山の暮らしでどれほど重宝することか...。
自動カクノミの試運転 「自動カクノミ」を見たときのkiiさんの表情をお見せしたかった。
喉から手が出るほど欲しかった道具で、中古道具の店を時折覗いては「古ぼけ
ているのに高いなあ。」と、いつもため息をついていたのである。
心の中の優先順位ではトップにありながら、現実の優先順位に席を譲っていた
ことはよく判っている。
埃を払い油を差し手入れをしながら、kiiさんの顔はほころんでいる。
待ち望んでいたおもちゃを手にした子供のように...。
「こんなに綺麗になるとは思わなかったよ。」
「中古道具の店で見たどれよりも立派になったね。」

さて試運転。
「自動カクノミ」は快調な音を立てて動く。
家造りには勿論のこと、建具作り、家具作りにさぞ威力を発揮してくれることだ
ろう。
(画像をクリックすると大きくなります。)

6月28〜29日
28日(土)夜遅くに野迫川入り。こんな週ばかりが続いている...。
おまけに雨ときたら作業はまったく進まない。

夜来の雨は止まず、けぶる山並みを眺めながらコーヒーを飲み今日の作業を思案する。
「今年はほんとうに雨が多いねえ。」
「6月に大阪で完全に晴れたのは幾日もなかったよね。」 「大阪より野迫川のほうがもっと雨が多いしね。」

カミキリムシの被害を受けている数本の木を手入れし、今回持ち込んだ20株の山葡萄を裏の山に植え付ける。
困難を極める急な斜面の作業に、これは私一人では無理だと判断してkiiさんが植付けに参画。
私は藤、アケビ、ヤマイモなどのはびこる蔓や雑草を取り除き、植付け場所を確保していく。
20本を植え付けるのに一日中掛かってしまった。
二人とも足腰ビシバシのヨレヨレ状態になり、今が適期のお茶用のドクダミを摘む余裕もない。
たくさんの宿題を残したまま、今週も過ぎてしまった。 マッ、こんなときもあるものだ...。
←ヤマブドウの苗(...?)
この山葡萄については些か仔細あり、
改めて風光る庭の「コーヒー片手に...」にて。

晴れ間にオニヤンマやシオカラトンボが飛びはじめた。
心待ちしていたトンボたちに、思わず歓声を上げる。
ブヨに悩まされるのも、もう少しの辛抱である。

6月21〜22日
21日(土)夕刻に野迫川入り。
翌日は早朝から作業に掛かれるので能率アップするのだが、到着した時間帯は既に夕闇が迫り、宿泊準備(電気
を引いたり...。)や夕食の用意に慌しい。
遅い夕食をとっていると、近所(といっても歩く30分だけれど。)で山遊びをしている方が訪れる。
「ホタルが飛んでいるよ。」
そのひと言に吃驚して飛び出し、夕食の最中だったことは頭からすっぽりと抜け落ちてしまった。
例年7月に入らないと確認できなかったホタルが、暗闇でチラチラと飛んでいる。
数はまだ少ないが、今年はなんと早いこと...。 思いがけないホタルをしばし楽しむ。
これから当分の間は、週末の夜は散歩の時間になる。

日付が変わる頃から雨が降り始める。
雨音を聞きながら明日の作業の展開に思いを巡らせる...。
掘り方の追加工事。流し台などが設置される予定。 翌朝早くから、小降りの中を朝飯前のひと仕事。
流し台の設置部分を広げるための追加工事の掘り方。
もちろん発注者は私。
またまた、いとも簡単に「そのほうが広くなっていいでしょ!!」
我が家の場合は「台所は女の城」ではない。
一緒に用意して一緒にいただく。
終の棲家なのだから、二人が自由に動き回れる広さが欲しかった。

今回の基礎工事はダイニング部分が28.86u、浴室、洗面、トイレ部分が
9.27uの計38.13u。
もちろんコンクリートは手練で完遂する予定である。
何しろ二人だから、ミキサー車に来てもらう訳にいかない。
忙しない思いをするならと重労働のほうを選択したのだが、ドタバタコンビの
こと、いかが相成りますか...。
怪我をして以来、何があるか判らないことを思い知り、よほどのことがない限
り友人たちの手を借りようとしないkiiさんだが、それもよく理解できる...。
バラスを敷き、ランマーで叩いて地盤を固めた バラスを敷き詰め、ランマーで叩き込む。

ランマーは重く結構重労働で、滅多なことでは根を上げない
kiiさんも流石にグッタリ。
でも、これでしっかり締まって安心である。
鉄筋を曲げているところ
基礎に使う
鉄筋を曲げる。

        
 曲げた鉄筋→

曲げた鉄筋
鉄筋を組んでいる。 運び込んだ鉄筋は長さ4m×直径9mmのもの50本、12mmの
もの10本。
午後からは土砂降りになったので、kiiさんはテラスで鉄筋を曲げ
たり組んだりの作業。
傾斜部分なので種類が多く時間が掛かるが、雨の日の作業には
最適かも...。

私は相変わらずの庭仕事。草引きに精を出す。
雨具を着装すると汗で冷えるし、着ないとずぶ濡れで冷える。
どちらもいいことはない。
結局、風邪をひいてしまいグズグズしている。
何をしているやら...。
  
                                                                                  
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