週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(36)

9月6〜7日
昼前に野迫川入り。昼食後は、kiiさんは前回に残してあった10本ほどの杉の伐採。
私は相変わらず草引き。
「何のダンスをしているの??」とkiiさんに笑われるぐらいに、今はアブが悩みの種。今年はアブが多い。
ブヨにはやっと耐性ができてきたけれど、アブさんにはまだ弱い。腫れあがってお岩さんになっている。
「お岩さんの出番は夏だろう...。」と意地悪なkiiさんの言葉に、異常な残暑が恨めしい...。

ウドやタラの花が盛りで、野迫川倶楽部は蝶たちの天下である。
二人ともついつい蝶と戯れてしまい、しばしば作業を中断する。
おかげで作業が遅れてしまい、暗くなってからやっと汗を流し、相変わらずビールを呑みながら夕食の用意。今夜の食事は、にわか雨を避けてログの中でいただく。
楽しい夕食時間
出掛けに急遽献立を変更したので、忘れ物だらけ。
我が家のステーキには絶対に欠かせないニンニクを、すっかり忘れてしまった。
「今回はまぁ、それなりに...。」のステーキに、オクラ
とシメジのソテーを添える。
サラダには、太子屋の木綿豆腐や四つ葉のスモークチーズも...。
デザートは京都の友人が送ってくれた、ほんのり甘い
マクワウリ。
山の食事は簡単が一番と言う人もいるが、私は仕事を持っていて日常が手抜きなので、せめて山の食事だけはまともに作りたいという思いがある。
私たちにとっては、日常の食事は生きるためのもので、山の食事は楽しむためのものなのである。

翌朝は案件があって村の知り合いのお宅にお邪魔した。
忙しくてなかなか会えない人なのだが、この朝はたまたま在宅されていて、申し訳ないと思ったが
午前9時の訪問になった。
砂とバラスを入れるために、建材屋さんを紹介していただくつもりで伺ったのだが...。

砂をすくいあげる 「オウッ、うちの倉庫にあるのを使えばいいよ。遠慮せんでいい。その代わり自分で積んで自分で運ばなあかんけどな。2トンのダンプがあるから、使えばいいから...。」
私たちはただ絶句してしまった。

「場所を教えとくワ。」と気さくに案内してくださる。
掬い上げるためのこの車(何と言うのか聞きそびれた)の
使い方も教えてくださり、「いつでも持って行きヤ。
それじゃ...。」
私たちはあっけにとられて目を白黒。
ダンプに砂を積む お言葉に甘えて早速運ばせていただく。

初めてのことで操縦はぎこちなかったが、だんだんに慣れて様になってくる。
それでも、端で見ている私はハラハラ。

砂よりもバラスはすくいあげにくく、少々手間取る
砂とバラスの小山 何とか無事に運び込んで、砂とバラスの小さな山ができた。

「これを見たらゆうちゃんはキャアッ、うれしいって早速登って遊ぶだろうね。」
「砂場遊びが大好きだものね。」
そう言ったまま、後は言葉も無くしばし放心状態。

少々疲れたことと、基礎工事に向けて両者諸々の思いが湧き上がっていたことと...。
なるべく甘えずに何事も二人で切り抜けてきた私たちは、思いがけないご好意に戸惑いを隠せなかった。
日頃男気のある人だとは知っていたが、顔見知りの間柄で立ち話をする程度。
それに、こんなふうにしていただくことには私たちは慣れていない。
「手で基礎コンを練るのは大変じゃろう。ダルマ(ミキサー)があるから使えばいいよ。なんの、遠慮なん
かいらん。」とまで言ってくださる。
ありがたいことである。
バラスを入れてこねることができるダルマを、お借りできるのはほんとうに助かる。

「あんたら、ほんまにようやるなあ!!」の言葉が温かく心にしみて、そして少々こそばゆく、それがまた励みになる私たちだった。

サアッ、これで基礎コンに取り掛かる準備は出来た。
鉄筋を組みベースのコンクリートを打つ。そして、仮枠を作りボイド缶を設置すれば基礎コンを打てる。
後は、私たちの体力とお日様頼みである。

8月31〜9月1日
前回に痛めた左足甲がまだ回復していないので、基礎工事はお預け。
何しろ二人三脚の開拓民は、戦力が欠けるとどうにもならない。

日中は37度を記録し、じっとしていても汗が滴り落ちる。
ログ内も30度あるのだが、カラッとしてるので幾らかは過ごしやすい。
朝晩との気温差は20度近くになり、体調がついていかない。
それにしても、この残暑の異常さはどうだろう...。
もう少し早くにこの暑さが来ていたら、野菜や米の収量も多少は好転したかもしれないのにと思う。

杉木立の中は吹き抜ける涼風で心地よく、アブとスズメバチの羽音さえ気に掛からなければ、最高のお昼寝タイムになるのだが...。
野迫川倶楽部の奥に上がって作業する卜伝君。 kiiさんは卜伝君を相手に、基礎コンの後に使用する材木の伐採に取り掛かる。
手回しウインチで伐採をするのがkiiさん流だったが、ウインチを回す役の私が現在頼りないので、卜伝君にそのお役をお願いした訳である。
「kiiさん、考えるものだね。」と、山暮らしは知恵暮らしを再認識する。

卜伝君の作業を見ているといつも思う。
野迫川倶楽部の最大の功労者であり、また私たちの一番親しき仲間だと...。
伐採作業中のkiiさん。 これから冬場にかけては、伐採のシーンが多々登場すると思う。何しろ38.13u(約11.44坪)に使用する材木は相当の量になる。
またまた全てを自家調達の予定。
(木挽き作業を考えると、今からゾッとするが...。)
アジサイの植え込みを如何に外して伐採するか、それも1メートルの間隔に落とし込まなければならず、そこはkiiさんの腕の見せ所だが、流石に経験がものを言う。(以後のアジサイ群への影響もないように、少し持ち上げておこう...。)
私はシャンシャンと動けないので、座り込んで草引き。
秋刀魚を焼く。 汗をかいた日の冷たいビールは、喉にしみいる美味しさ。
今夜は秋刀魚を焼いてスダチをギュッと搾る。
スルメイカのつっぽ焼きに、ナスビやエリンギも添えて...。
暑いので、湧き水で冷やした冷奴も一品に。
青物は畑から摘んできたモロヘイヤやエゴマの葉。
エゴマ(画像はこちら)は野迫川では今が旬。
醤油と胡麻油にサッと漬け込んで、熱々ご飯を包みながらいただく。これが絶品。食が進むことを請合う。
どれほど進むのか...。二膳は軽い。
競ってみるのも一興だろう。それぐらいに美味しい!!
モロヘイヤやエゴマ、チマサンチュ、アシタバ、オクラにネギなどが現在の収穫。
摘んですぐに食卓に上らせることができる幸せを満喫している。

「私たち少し(イエ、かなり...。)危機感を感じなければいけないわねえ。何か楽しんでいない??」
自分自身に少しばかり後ろめたさを感じながら、「今度からのkeiさん」は今夜もカンパイの声を張り上げる
のだった。


                                                                                  
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