週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(46)

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2004年4月(3) 17日
日曜日には以前から約束していた所用があり、今回は土曜日の日帰り。
いいお天気で見る見るうちに桜が開き、多分日曜日は最高の花見になったのだろう。
かなり心残りの帰阪であった。

日帰りの時はあまり複雑できついことはできないのだが、流れで柱を立てる作業になってしまった。

柱も梁も作っては少しずつ組み立てる方針のようで、私はボツボツ形が見えてくるのもいいものだと喜んでいる。
丸太の曲面を一部利用しながらのデザインになるので刻みは複雑そうだが、
その分、野趣に富んだダイナミックな雰囲気になりそうである。
壁面の柱や梁を組む(1) 既存の小屋がまだ解体できないので作業はやりにくそうだが、それでも何とかD.Kとサニタリーを仕切る壁面の柱が組みあがった。
「フムフム、なかなかいい感じ...。」
D.Kの土台には仮の厚板を敷き、ドジな私が足を抜かないようにとの心遣いかな?
簡易台所との移動が楽になった。
壁面の柱や梁を組む(2)
友人に言わせると、露天の流し台に谷の水が音立てて流れ込んでいる、あそこで炊事をするのが好きだとのことだが、それは彼女達にとっては「滅多に体験しないこと」だから...。
毎度のことになると運ぶのが大変で、そう楽しいばかりでもない。
でも、食事は二人だけの時でも相変わらず外で取ることが多い。
「バーベキューにしても焚き火にしても、外を楽しんでいる間は田舎の人になりきっていない。それを証拠に、田舎の人は外で遊ばない。」と書かれた本もあったが果たしてそうだろうか?
何事にも頑迷に定義づけをしたがるのは、現代人の性なのかもしれない。 
田舎にも自然が好きな人がいるし、町にも町こそ全てだという人がいる。
そしてその逆もまたある。その比率が都市部と郡部では違うだけのこと。
人それぞれでいいじゃないか。だいたい、田舎人とか都会人とか、そんな垣根を何故作るのか?

暮れなずむ風景を眺めながら酒を酌み交わす極上のひと時は、屋外ならではこそと考える者もいるのだから...。好きなことは好き、多分、これはここで暮らすようになっても同じことだろう。

私は相変わらず山の斜面への移植作業を続けているが、斜面の作業は時間ばかり掛かって一向に捗らない。
それでも、荒れ果てた山が緑に変わる日を夢見て、「継続は力」だとコツコツ進めている。

2004年4月(2) 10〜11日
「これからは汗ばむし、作業の後に毎回ドラム缶風呂を沸かすのも時間が掛かって辛いだろう。ログハウスが完成するまで、間に合わせに使ったらどうか?」
村の知り合いの方がレッカー車で運んでくださったのは風呂&シャワーハウス
敷地内の道路にデンと鎮座ましましたハウスは通行の妨げになるので、ドラム缶風呂用だった広い洗い場を利用し土台を作る。
四方を太いロープで吊るし卜伝君に運んでもらう。私は揺れないように押さえながらの誘導役。
相当に重く、設置までかなりの時間が掛かったようだが、実際には二時間ほどの作業だった。
落ちかける場面もあってヒヤッとさせられたが、うまく設置できてホッとする。
慣れないことは疲れる...。これで二人ともグッタリになってしまう。
風呂&シャワーハウス 風呂&シャワーハウス
ネーミングがこうなっていた。
1400×1400×2000Hのスペースに、湯船と洗い場と脱衣場がコンパクトにまとまっている。
給・排水工事も完了。
最近、給・排水工事が多くて慣れたせいか、kiiさんは手早い。
以前は、この手の工事は水が使えなくなるかもという危機感から構えたものだが、最近は「アッ、そう...。」と気にもならない。
あとはガス釜あるいは灯油ボイラーをうまく繋げるかどうか...。
両方とも一緒に持ってきてくださったが、灯油のほうは古いもので使えないかもしれないそうな...。
取りあえずの間に合わせには費用を掛けたくないので、祈る思いである。
このハウスが使えるようになればずいぶん楽になる。
さて、ブラシや洗剤を買い込んで、暖かい日中にハウスの掃除をしよう。 

翌日は獲りたての岩ガキをお土産にHさんご夫婦が来訪。
天気よし、満開の梅(桜ではない。)を眺めながら、昼食は岩ガキと山菜の天ぷらで梅見の宴と洒落る。
梅見の宴は梅と岩牡蠣と山菜がメイン 岩牡蠣は締まってプリプリして味が抜群に濃い。
大好きな海の幸に舌鼓を打つ。
今回の天ぷらの材料はアザミ・ウルイ・ツクシ・ワサビの花、それに前日購入して調理を済ませてあったタケノコ。
タケノコの天ぷらは我が家の大好物。
サッと煮付けたものを揚げるのだが、美味しくて、いくらでも食べられる。
Hさんご夫婦にも大好評だった。
タラの芽はまだ固くて摘めない。
「もう少しだなぁ。」と見上げては楽しみにしている。
ウルイの天ぷらは、昔々、娘がまだ一歳半の時に信州で口にしたのが初めてだった。
それが食べたくて、野迫川にはオオバギボウシをたくさん植えたのである。
「風光る庭」にはギボウシのページがあるほど植え込んだ種類も多いが、斑入り葉のものは庭の彩りとして貴重で、食する気になれない。
裏山の一部にオオバギボウシの群落を作ろうと夢見て、セッセと増やしてきたものがようやく口にできるようになった。
オオバギボウシはたくさん増えてきたが、コゴミはなかなか増えない。
「増えないね。」「グズグズしてると抜いちゃうよと言ったら、危機感を感じて育ってくれるかな。」などとコゴミの傍らでいつも同じことを言っているような気がする。
コゴミは十勝の懐かしい思い出に繋がる。
裏山の一部にはコゴミのエリアも計画しているが、これは、実現までにかなりの時間が掛かりそうである。

2004年4月(1) 3〜4日
今回は斜面の補強用にと、強度の樹脂杭を52本搬入した。
腐蝕に強いという栗の木で作った杭を使っていたが、経年によってやはり腐蝕があり虫もかなり入る。
土留めの杭を作るのには今は時間が惜しいし、崩土は待ってくれないということで、半永久的な樹脂杭の使用に踏み切った。
というのは、「なるべく自然に帰結しないものは使わない。」との私たちの意思から、取り入れることには今までかなり抵抗があったのである。
硬質で太さも長さも4段階で選べる樹脂杭は、かなりの優れもの。今回購入したのは一番小さいもので長さ900mm直径60mmである。価格も手頃だったのが助かる。

なるべく見ないようにしていた裏山の斜面は荒れ果てて、見るに耐えられないものになっていた。
樹木の移植で山に入ったkiiさんも、早急に何とかしなくてはと思いつつ、家造りに急かされてそこまでの時間が取れないと思い悩んでいた。
杭が手に入ったおかげで、kiiさんを頻繁に煩わさなくても斜面の補強に着手できそうだが、仕事が増えるなあとため息ついて山を見上げている。
庭の管理部分が大幅に増えて、もう限界だと言いながら「やるしかないよね。」

今回搬入した樹脂杭の一部 →(1)
搬入した樹脂杭
大引きを組み込んでいる
→(2)☆
大引きが入る
kiiさんは大引きを組み込む。微調整しながらも快調である。
一本納まるごとに、だんだん家らしくなってくる。

日曜日は早朝からきつい雨。半日はもつということだったが...。
「移植した後に雨って、植物にはベストだったのにね。これで、段取りがまるっきり狂ってしまうよ。」
「大引きを全部納めたかったなぁ。」kiiさんも、いかにも残念そうである。
仕事に燃える二人は、空を見上げながら、なす術なく帰路についたのでありました。

2004年3月(5) 27〜28日
この週末、天候はおだやかに落着き最高の作業日和と意気軒昂だったのだが、私がドジをして少々怪我をした。
まだ朝晩はマイナス気温になる野迫川なのだが、日中の暖かさに気が緩み、外部階段が凍結していることを失念していた。
移植作業は佳境に入っている。
たかが120cmの高さから滑り落ちたぐらい、どうということはないと、湿布を貼って何とか作業はこなしてきたが、kiiさんにはずいぶん負担を掛けてしまった。
「それにしてもよくこれだけ移植したね。」最後の一本を植え終えて、しみじみと呟く。
天候を睨みながら、3月初旬から着手した今年の移植作業は完璧だった。
後には草花や小さな木の移植がたくさん残されているが、これは私一人でこなせる。
kiiさんはようやく庭作業から解放され、28日には嬉々として家造りに復帰した
土台を組み込んでいる ←(1)☆
うまく合うな。
ヨシ、ヨシ...。
カケヤで打ち込む
→(2)
カケヤで打ち込む
カケヤで打ち込む音が静かな山に響いて、「いいなぁ、この音。」「ウン...。」
小屋をぶち抜く ←(1)☆
既存の小屋を抜く
防蟻・防腐剤を塗布する
→(2)
防蟻・防腐剤を
塗布する
勝手に図面を書き足して少し張り出しにしたD.Kの北側は、既存の小屋を抜く大作業。(上1の画像)
この小屋の手前三分の一はトイレ部分。一応簡易水洗になっているので、給排水工事も伴う。
トイレだけは新規に作るまでナシという訳にはいかないので、既存のものをいかに活かして使うか、それがkiiさんの悩みの種だったらしい。
「いいじゃない。上手く考えたものだね。」「もう図面の変更はナシにしてよね。」
小屋をぶち抜いた(表現が悪いが、いかにもピッタリ。)6.6mの土台は、なかなか壮観である。

今回、土台は4本納まりあと1本...。
コツコツと地味な工程を続けて冬場に作りためてきたものを、取り付けていくこの作業は、kiiさんにとってはとても楽しいものらしい。何しろ顔がほころんでいる。
残りの土台(防蟻・防腐剤を塗布している分)を1本入れたら、大引きが5本。それで土台工事が完了する。
「柱を作ったら棟上げだね。」簡単に言ってのける私に、kiiさんはずっこける。
「母屋や棟木も作らなきゃならないでしょ!!」
それらがまた数が多いので大変だけれど、だんだん形が見えてくるのはほんとうに嬉しい。
燃えている薪オーブン、美味しそうな料理の匂い、食器の擦れ合う音、かすかに聞こえる音楽...。
工程をあれこれと考えるkiiさんをよそに、私は楽しげにそんなことを思い浮かべている。



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