週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(50)

2004年7月(4)  
豪雨に猛暑、日本列島はいったいどうなっているのだろう。
被害を受けられた地域の皆様には、心からお見舞い申し上げます。

緑が極端に少ない町、道路という道路はアスファルトで覆い尽くし、空地にも土が少ない。
人はこらえ性もなく部屋や車を冷やし、気温はますます上昇する。
過剰冷房も何と多いことか、温度差で体調を崩すのも無理はない。
まとわりつくような暑さが一日中消えることがない町を逃れて、金曜日の夜に野迫川入り。
人工のものの力を借りずとも夜はゆっくり眠れる、だからこのパターンが今一番のお気に入りである。
ドリルでホゾ穴を掘る 前回の熱中症もどきに懲り、天気予報を睨みながら作業時間を相談。
kiiさんは6時から作業に取り掛かり、その間に私は朝食準備
7時から朝食をとり、その後は二人ともノンストップで11時半まで作業する。
11時半になると潔く作業を切り上げて二人で昼食準備。
3時まで昼食・休憩するのが今回のパターン。
潔く作業を切り上げてとはいうものの、かなり心残りでうらめしい心境だが、このパターンは結構体調がいい。
3時はまだ暑さがかなり残るけれど、体力が回復しているのでさほどにも感じない。夕方6時まで根を詰めて作業を続けるというのが予定。

←朝もやの中で作業するkiiさん。
【この画像は大きくなります。】
ノミでコツコツ...。 ホゾ穴開け機は桁の巾が規格より大きいために使えず、止むを得ず、ドリルで掘り(上の画像)、ノミで刻む。
きつい日差しの中で汗だくになりながら、コツコツと一ケ所ずつ仕上げていく。

昼にはすべてが完了。
これで桁が完成した。kiiさんお疲れ様。
次回はログとの接合点の調整に入る。
組み上げがだんだんに秒読み段階に入ってくる。

ノミでホゾ穴を刻む。【この画像は大きくなります。】
ところで、折角の新パターンだが、一日目は夕方、二日目は昼から土砂降りになり二日とも予定を大幅に狂わされる。山の天気は予測しがたい変化がある。
ショボショボの雨なら作業はできるのだが、稲妻・雷・ゴロゴロドカンでは恐くて外に出られない。
「午前中に目いっぱいの作業をこなしているのだからヨシとしよう。」と、意見は合致する。

雨が極端に少なく谷の水も細り、カラカラで干ばつ気味だったのだが、この雨で木々の緑が冴えてやっと蘇ったようだ。
降り過ぎて大災害をもたらす地域や、降らなくて水不足に陥る地域もありで、この極端すぎる状況は、自然のなすべきことと諦めざるを得ないのだろうか...。

うちの辺りは自転車部の訓練コースになっているのか、週末になると専用のユニフォームに身を包み、細身の自転車を駆る高校生ぐらいの若者たちをよく見かける。
走る若者たちは結構いい光景で、気がつくと作業の手を休めて見入っていたりする。
アップダウンのきついクネクネ道路が訓練にはいいのか...。
この日曜日は何か大会でもあったのか、いつもよりもかなり多い人数が長時間に渡って走行していた。
丁度うちの前でパンクしてしまった人は必死で修理をしているようで、再度走り出した時は密かに拍手を送る。
遅い組は多分土砂降りに遭遇したことだろう。

拾い上げるのか、トラックが2台最後尾を走ってフィナーレ。
それを見送って、私たちも小止みを見計らい引き上げる準備を始める...。

2004年7月(3)18日〜19日
このところkiiさんは雨や右肘打撲であまり作業ができず、私もブヨやチャドクガのおかげで作業意欲が湧かなかった。
今回の二人は暑さもなんのそので、意気軒昂に野迫川入りした。
桁作り(1) kiiさんは早朝から桁造りに取り掛かる。
たった二本だが、タイコに挽くにも7mの丸太はなかなか思うようにならない。
チェーンソーの音をBGMに私は庭中を走り回っている。
チェーンソーの音が途切れると、「どうしたのぉ?」と大声で叫ぶ。kiiさんからの返事は「何処にいるのぉ?」
お互いに確認しながらの作業は、ずっと変わらずに今も実行している。
【この画像は大きくなります。】
桁作り(2) ←タイコに挽きあがった桁。

一本につきホゾ穴は7個、梁との接合部分の相欠き(アイガキ)が6個
もいるのだそう。
墨付けには細心の注意を払う。
間違ったら「オジャン」だものね。
組む過程での「アッ、違う!!」などという不吉な場面を、つい想定してしまう。
【この画像は大きくなります。】
桁造りに草引きとそれぞれの作業に精を出していたのはいいが、この日、野迫川も朝からピーカンで気温は急上昇。
日陰は涼しいけれど、あいにくなことに作業は日向のものが多い。
ブルーシートの下で34度なのだから、日向はいったい何度になっていたのだろう。
気がついたら二人とも青い顔をして、手が震える、心臓の動悸が激しい、脱力感、めまい...。
ひょっとして、これが噂の熱中症??
「こりゃ、いかん。」と頭から水を被り、ログの中で身体を冷やす。
ログ内は木材の吸湿効果で湿度が低いせいか、カラッとしていてひんやりと涼しい。
冬暖かく夏涼しいというログの特性を再認識しながら、しばし身体を休める。
〈皆様、暑い折柄、無理は禁物。どうぞお身体大切に...。〉
ミョウガ畑にて。 休憩時間にはコーヒーを飲みながら庭や畑巡り。
これが楽しい...。
庭も畑も、ヤブマメの蔓が走り回り、地面を覆い尽くすばかりの悲惨な状況になっている。
ミョウガ畑も然り。
分け入ったものの、唖然呆然として立ち尽くすkiiさん。
この季節、私はいつも思う。
「タコの足が欲しい。」(一瞬想像してゾッとする。)
【この画像は大きくなります。】
昨年は長雨と冷夏のせいで収穫が極端に少なかったミョウガは、今年はどうだろう。
どっさり収穫できたら嬉しいなぁ。
来年はこのミョウガも間引いて移植し、エリアを広げたいと計画中。言うは易しである。
それに要する時間と労力を考えると、一瞬気が遠くなるような思いが心を過ぎったが、先のことを考えるのはやめておこう...。
作業を早目に切り上げて(といっても、5時は過ぎていた。)風呂に入り、いつものように冷たいビールを飲みながら夕食準備。
収穫したズッキーニは早速フライに...。
冷えたキュウリやトマトは鶏の酒蒸しを添えて胡麻だれで。
西吉野の上辻豆腐店の木綿豆腐は冷奴でいただこう。
(ここの豆腐は固めの田舎豆腐。大きくて吃驚する。美味しくて評判である。)
茄子は炒めて酢醤油に漬け込む。
ニンニクバターライスも作ろう。
勿論大好きな枝豆も忘れない。
アラメの炊いたん、小鯵の酢漬け、それにキュウリの糠漬けも。
本日は、あれこれ少しずつの居酒屋風。
支離滅裂のメニューだけれど

こんな夕食も大好き!!
最近は糠漬けのカメをお供にして移動している。
「割れたらどうするの?悲惨な状況になるから、やめてよ」とkiiさんは悲鳴を上げるけれど、暑い盛りの少し酸いめの糠漬けは元気の素なのである。


平日の町では粗食に徹している。
「生きるために食べるという食生活だね。」と苦笑しあっている。
そのかわり、山で泊れる日はゆっくりと食事を楽しむ。
この時間が何よりも嬉しくて、二人で週末を待ちわびているのだ。
BGMはヨーヨー・マ「リベルタンゴ」。
「ヨーヨー・マの演奏には男の色気を感じるんだなぁ。」と呟いたら、kiiさんは細い目をパチクリとさせた。


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