週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(52)

【☆印の7枚は大きな画像にリンクしています。】

2004年8月11日夜〜16日  
かなり意気込んで、この休暇を迎えた。
なんとかこの期間中にある程度の形をつけたいと、常々考えていたのである。
お互いに内心逸る気持はあるけれど、表面は淡々と平常心を装っている。
ビールサーバーに通電する。 まずはビールサーバーにスイッチを入れて、いよいよ夏期休暇が始まる。
古い型のビールサーバーは、樽を丸ごと冷やすタイプ。
丸一日通電して冷やさなければ、美味しく呑めないのだ。

五泊ともなると、持ち込んだ食材も少なくない。
何しろ周囲には、足りないからといって買いに走れる店はないのだ。
コンビニへは歩いて一分、スーパーへは歩いて三分、町のそんな便利さは山では何処の世界のものかと思うほど...。
不便が当たり前なのが山の生活。
あるもので間に合わせる、そんな応用もだんだん上手になってきた。
12日10時半「道中えらい混んでいた。」と少々疲れた顔で奈良のT君夫婦が到着。
いつもは2時間ちょっとの所要時間で済むところを、3時間半も掛かったのだそうな。
休憩して早めの昼食を終え、「サァ、頑張っていこう!!」のT君のかけ声。
天気よし、いよいよ棟上げ第一期工事に取り組む。
カケヤの乾いた音が山々に響く 南面の桁と柱を組む。カケヤで打ち込んでいるのはT君。

電動のウィンチのリモコンは和ちゃん(T君の奥さん)にお任せ。
梁と6本の柱はスイスイとスムーズに組まれ、こんなに簡単でいいのかなと
少々油断をさせておいて、そのあとにきた大黒柱の設置にはかなりてこずらされた。


←☆
てこずった大黒柱 直径28cmの大黒柱は重すぎて、滑車を吊るしたパイプ足場が歪む。
足場を補強して組みなおし、再度チャレンジ。まだ足場が歪む。
この状態から4人で力を合わせて押し上げる。
その重量たるや、どっしりとしてさすがに大黒柱。
大黒柱が建った時点で、全員がバテバテになる。
日も暮れてきて、今日の作業はここまでとする。

←☆
たっぷり汗をかいた日のビールは美味しい!! 汗を流しさっぱりしたあとは、皆で夕食の準備。
何しろ大黒さんが建ったのだもの、気持が弾んでいる。
明日は今日以上にきつい作業が待っているけれど、そんなことはもう横に置いている。
気心の知れた友と呑む酒は、ほんとうに美味しい。
生ビールもよく冷えて呑み頃、肴はあれこれいろいろ並んで、まるで居酒屋。
←☆
そこらに赤提灯を出しておこうか。」「タヌキが化けて呑みに来るかな。」たわいもない冗談がまた酒の肴になる。快晴の夜は倶楽部の中空を天の川が走り、時折、流星も流れる。
電気を消しては満天の星を楽しむ。
長い尾を引いてX字に星が流れ、4人で大歓声を上げる。
「願い事をした?」「ボーゼンとしていて、忘れた!」子どものようにはしゃぎ、首が痛くなると言いながら灯り一つない夜空の美しさを堪能する。
昼とはうって変って涼風が吹く野迫川では、もう秋の虫たちが賑やかだった。
快調だなぁ 翌13日、前夜さんざん呑んだのに、全員目覚めヨシ。
早朝から始まったのは大黒柱に梁を繋ぎこむ作業。
四方から梁を入れ込むためのキザミはなかなか旨く仕上がっているが、問題は果たして入るかどうか。
kiiさんが一番神経を使った肝心要の部分である。
西面と大黒柱の繋ぎの梁は無事に納まった。

←☆
これもうまく納まればいいけれど...。 大黒柱とログ側を繋ぐ作業では大いに手間取った。
ログ側の切り込みが浅かったようで、何度も微調整。
何しろ素人のこと、スムーズに行く訳がない。
T君イワク
「これが当たり前だ!」
まだアカンぞ!!
作業をしている男二人は必死だったろうが、下から見上げている私たちも案じながら相当に疲れた。
一時間ほどを要してうまく納まった時には、思わず全員から「ホーッ!!」と安堵のため息がもれる。
オウッ、ここはバッチリいったなぁ。 大変だったのはここまでで、
北面、南面の桁と大黒柱を繋ぐ梁はわりとスムーズに納まった。
作業に乗ってきた男たちは、休憩もせず、午前中にすべての梁を桁に納めてしまう。
←☆              ☆→
なんだ、うまくいきだしたらもう終りかい?
すべて完了、記念撮影。 私たちは下でサポートしながら、男二人の軽やかな動きにあっけに取られている。「さっきのてこずりは、なんだったんでしょうねぇ。」

昼食後は柱と桁や梁を羽子板とボルトで締めつける。
飛んでも跳ねてもびくともしない頑丈さである。
すべて完了して、大黒柱を中に記念撮影。

お疲れ様でした!!
帰路につく彼等を見送り、ガードレールにもたれながら暫し会話することも忘れてログを眺める。
「来てくれてよかったね。」「二人で頑張ろうと思ってはいたけれど、二人だけだったらかなりしんどかったね。」
夕焼けの中にすっくと立つ大黒柱に、感無量の私たちだった。
次回の作業のために足場を作る 14日は棟上げのための足場作り。
棟木や母屋、束(ツカ)20本はこれからキザミに入るのだが、順次組み立てていこうと考えているらしい。
15日は天候が落ちの予報で、雨避けのシートを張るなどの作業もこなして一日を要した。
私はこの日は、草刈り機で敷地内の通路を刈り回った。
流れる汗を気にもせず一心不乱に草を刈り、通路は見事に綺麗になったけれど、気付かぬうちにアブの洗礼をたくさん受けていた。
第一期工事に要した足場を外す 15日、kiiさんは今回使用した足場を外す。
パイプや丸太の足場を撤去するとスッキリして見た目がとてもよくなった。こんなにも違うものかと吃驚している。

    
             ☆→
足場が外れてスッキリした
「建物が綺麗になっってきたのだから、周囲もね。」と、私は建物の周囲に落ちた木切れなどを集めて燃やす。
手を掛けられずにきた諸々の作業の一つだった。結局集めた木切れを燃やすのにも4時間。
まだまだ山積している。それでも時間は無駄には過ぎず、手を掛けただけのことはあるものだと、成果を眺めながら自画自賛している。

15日の午前中に雨が降っただけで天候に恵まれ、週末開拓民は休む間も惜しんで働き続けた。
CDも本もビデオも今回は手にしなかったと、町に戻ってから気付いた。
日中はいい汗をかき、夜は涼しさの中でぐっすり眠った夏期休暇だった。


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