週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(59)

2005年2月
凛とした空気の2月は大好きな月である。
例年はもう庭の作業予定表が出来上がり、意気盛んに腕まくりを始める季節だけれど、今年はまだ白紙のままで一日一日と宿題を持ち越している。
昨年秋から暮れまでのイノシシの荒らしようは、庭仕事の愉しみを考えるより先に、気持を萎えさせてしまった。
あれほど積っていた雪は先週に数日続いた好天気で、かなり融けてしまった。土を見たのは久方ぶりである。雪が融けだすと、無残な有様がすぐに姿を表わすのだ。
先送りにしても目を逸らせようのない日々が、すぐそこに迫っている...。

そんな私を横目に、kiiさんの作業は地味ながら進んでいる。

kiiさんは先日から北の壁面に取り掛かっていた。
北壁面 南面と同様、窓位置を決め、筋交や間柱を入れていく。
窓は南面と形状は同じで、嵌め殺しと突き出し窓のコンビネーションになる。
流し台の関係で南側とは高さが少し変る。
南は椅子に座った位置で窓を決め、北側は水道の位置で決める。北側の窓辺には何を植えようか...。
半日陰でも耐えれるもの。
姫南天がいいか、椿にしようか..。
北壁面
晴れ間を見つけては、製材も始めている。
板の製材作業は久々なのだが、ロフトで体験済みのkiiさんは慣れたものだ。

板挽き準備 板用にと乾かしてあった丸太はかなり太くて、直径40cmほどもある。
「これ、太いから勿体ないね。何かに使えそう。」という私に、「片付かないから、使うよ。」とkiiさんは事も無げである。
板挽き準備
板を挽くまでの準備段階が一番手間が掛かる。
丸太を据え付けたところからが以下の画像。
ロフトの天井板のように長尺ものではないので、気分的にずいぶん楽だったのか、kiiさんはいかにも楽しげに作業をこなしていた。
お馴染みの製材作業の分解画像。

(1) (2) (3) (4)
(1)チェーンソーで平面カットする。
(2)平面カットの段階の面。
(3)平面カットした面をブラッシングしているところ。
(4)ブラッシングした面。
(5)ブラッシング面に電気カンナ(プレーナー)を掛ける。
(6)
仕上がり面。
(5) (6)
雪がハラハラと舞っている。
太陽が顔を出すと流石に紀州の日差しで、とても暖かい。それに倶楽部は日受けときている。
温もりが倍加するのか上着を脱ぎたいような暖かさなのだが、日が雲間に隠れると気温は一気に急降下する。そのせいかkiiさんは少々風邪気味である。
それでもやる気は満々で、次々と作業をこなしていく。
板挽き作業 板挽き作業が始まった。
この板はリビングキッチンの外壁になる。

木屑まみれになりながらも、一枚一枚増えていく様にご満悦のようだ。
板挽き作業
板挽き作業 2p厚の無垢材は、購入するとなると結構な価格である。
自家製というこだわりと愛着もさることながら、経済的にも大いに貢献していることになる。
たくさんの板が挽けた。
次回は材の仕上げの段階に入る。これまた久々の自動カンナのお出ましである。
これからはこれの出番が多くなる。
自動カンナに掛けるのは私の役目。
出来上がった材を壁に打ち付けていくのはkiiさんと、役割分担もバッチリ。
来週は壁面が見れるようになるだろう。
家の概要が掴めるようになるかと、今から心が弾む思いである。

土曜日の深夜、ビクッとして目覚めた。「ヴァギャー ヴァギャー
なんとも不気味な声が響いている。
しっかり寝入っていたkiiさんを叩き起こす。
「なんだろう...。ほんとに気持悪い声だね。複数ではないね。」
「仕掛け罠にでも掛かって、引きずっているかのような声じゃない?」
声はだんだんに遠ざかっていく。
見に出る勇気はなく、その間、推理は巡る。
違うもの】−絶対に熊ではないだろう。(これは希望的見解である。)イノシシではない。猿でも、キツネでもない。勿論鹿ではないよね。ところで、カモシカってどんな声?
手持ちの簡単な動物図鑑には声が載っていないのだ。
タヌキ、アナグマ、アライグマ、ハクビシン??
少し前、やはり真夜中に聞こえたのも間違いなくこの声だった。
その時は「聞こえない。」とkiiさんには却下されたけれど、空耳ではなかったと実証された訳だ。
身の毛のよだつようなその声が、今も耳元で聞こえるような気がする。


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