週末開拓民奮戦記
ハンドカット&セルフビルドのログハウス(60)
2005年3月(2) 片道1時間半で、サンシュユが咲き出した明るい町の庭から、冬の世界に逆戻りする。 山の落葉樹はまだ裸木ばかり。 それでも、木々の枝先がなんとなく、そう、なんとなくだが、うっすらと染まってきたような気がする。 週末の天気予報は厳しかったが、土曜日はぽかぽか陽気で雪が解けだし、庭には土が多く見える。 雪解けのグジュグジュの地面は、少し乾かないと庭仕事も出来ないが、移植の予定を立てながら庭巡りをするのは楽しいものだ。明日は少しは作業ができるかな、寒くても雨や雪さえ降らなければどうということはないと、期待感がふくらむ。 ところが、である。昼過ぎから雪が舞いだし、気温は急降下する。 湿り気の少ないサラサラの雪が積もりだして、アッという間に真白の世界になってしまった。
ログで寝られるようになると、ここは道具小屋に変身した。ほんとうに長い間重宝したものだ。 「たかが小屋なのに、よくもこんなに頑丈に作ったものだね。」 しっかり組みすぎて、解体に梃子摺っているkiiさんに話し掛ける。 「解体する予定ではなかったでしょ。誰が勝手に図面を書き替えたんですかね。」 ‘やぶへび’だった...。
以前にひとりごと(「海ちゃんのこと」)にも書いたことがある、京都の海ちゃんご夫妻である。 彼女は畑作りにのめり込み、頑張っている。 電話では時折声を聞くけれど、忙しさにかまけてなかなか会えないでいた。 お互いに、雪の多いこの時期なら時間を合わせられると、二年ぶりの嬉しい再会である。 離れていても友は友、呑みながらは勿論だが布団に入ってからも話が尽きず、結局朝の4時まで話し込んでしまった。 山のこと、畑のこと、野菜にかける思いや肥料作りの楽しさ、野菜や果実の保存法(特に乾燥保存)、花たちの愛しさ、将来への夢(この年になって将来の夢もないものだが。)、植物を訪ねて山を巡ったあの日のこと、遠い日の昔語りやと...。 海ちゃんの連れ合い殿とkiiさんは呆れ返っていたけれど、おなご二人の意見は一致した。 「まだ話し足りないねぇ。もっと時間が欲しいよ!!」 車窓から手を振る友を見送りながら、また海ちゃんから元気をたくさん貰ったと、ほのぼの温かい気持に包まれる私たちだった。 |