週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(62)

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2005年5月(2)
昨年は春が早すぎて、御所市の高鴨神社の日本桜草展は旬を見逃したけれど、今年は今年でQWは妙に慌しく、また旬を見逃してしまった。
昨年購入した桜草の苗は山の庭でとても元気に育ち、今年も気に入ったものがあれば数株を購入したいと内心楽しみにしていたのだが、もう5月も半ばですっかり諦めていた。
山への道中の道筋が違うことに気付き、「どうしたの?違うんじゃない?」と言ったときも、まさか高鴨神社に寄り道をしようとkiiさんが考えているとは気付きもしなかった。
「お気持は嬉しいけれど、もう開催は終っているんじゃないかな。」
神社の周囲には人影もなく、一瞬やっぱりと思ったけれど、桜草はまだひっそりと展示されていたのである。
もう後半の花たちが盛りを過ぎてしまったとのことだったが、それでも目の保養には充分な数と美しさである。期間中は、花の美しさを保つための努力を、ずいぶんされているのだろうと思う。
高鴨神社・日本桜草展 好きな花形は限られてくるもので、似通ったものが多くなる。
今回もまたその傾向だが、二種のお気に入りを見つけられたのが嬉しかった。残念ながら、その二種は共に苗が手に入らなかったが...。
しっかり三種の苗をゲットして、抱きかかえるようにして神社を出る。
「夕栄」「原種・岩木山」「赤蜻蛉」
好きな花を眺めた後は、夢見ごこちになるから可笑しい。
土曜日は、先のQWに忙しい思いをさせた奈良のT君が、友人夫婦と共に訪れた。
その友人夫婦(TAさん)の奥さんが作るお寿司は絶品である。
今回も沢山の柿の葉寿司をお土産にしての訪問である。
柿の葉寿司は、はっきり言ってどの店で売られているものよりも、加減が私たちの好みである。
昨年の秋には秋刀魚寿司も戴いたのだそうな...。私が娘の出産で関東に行っていた際の、kiiさんへの陣中見舞いだったとか。従って私の口には入っていないが、これもとっても美味しかったと聞く。
TAさんご夫婦は陶芸をされるので、たちまち私たちも陶芸の話に熱中する。
穏かな春の日に...。 新緑の中、柿の葉寿司や山菜料理で、ゆっくりとお昼を楽しむ。
食事を済ませて一休みしたら、散策をしながら山蕗摘み。
今回の主目的の一つが山蕗を摘むことだった。
「敷地の中で山菜を摘めるのは何と素晴らしい。」と驚嘆される。
あちこちにバラバラに生えたものをセッセと移植してまとめ、育てている努力はあまり表には見えないもので、大方の人は自然に生えていると勘違いして、手荒くダダクサに扱うが、山菜さえも大切に扱ってくれる人は嬉しい。
ところで、土曜日も日曜日も朝は7時から作業していた。
遊びは遊びでそのひと時を楽しむが、その他の時間は集中して作業をしている。
板壁に化粧釘を打つkiiさん 半端な時間には板壁を化粧釘で留めたりする。
まとまった時間は板作りなどに費やしている。
屋根を仕上げるための垂木作りが今回完了した。
垂木は40×70mmである。
それも300mm間隔で打つというから、相当にガッチリして、風に飛ばされることはまずないだろう。
屋根の垂木を作っているkiiさん
日曜日の昼過ぎに私がドジをした。
粗忽ものの私は山でよく怪我をする。大きな怪我はないが、小さなものをチョコチョコしている。
ナタで脛を直撃したり(ムカデらしきものが視野の端に入って、ナタを持つ手を滑らせてしまったのだ。この時は、救急で五條まで走った。)、スズメバチに刺されたり、勢いよく草を刈ったはいいが、刺が入っていたことを病院も気付かずに化膿したり、凍っていた屋外の階段から滑り落ちたりとか...。
今回は左足首の捻挫。
草がボウボウだから、山に一週間ほど単身赴任したいと言う私に、毎回断固拒否の姿勢を見せるのはこんなことがあるからだとか...。
一人居る山で怪我をしたら、命を失うこともあるかもしれないとのkiiさんの懸念は、今回いっそう強いものになったようで、私の草引き滞在希望は今や風前の灯火
(ともしび)である。

「でも、湿布を貼って草を引いた根性は凄いでしょ。」とkiiさんに言ったら、倍ほどに腫れあがった足首を見やり、アホかと一喝された。アホとバカの言葉の違いについてが、その瞬間に頭を過ぎったことを考えると、私はまだ完全な関西人には成り切っていないと実感したものだ。
だが自分の足首には自身で仰天して、それから以後はひたすら大人しくしていた。
ウルイを摘むkiiさん。左奥はやっと環境に馴染んでくれたコゴミ。 大人しくしていた分、kiiさんは終いごとを引き受けて大忙し。
荷物をまとめて積み込み、持ち帰る水を汲み、戸締りをし、持って帰りたいと懇願した山菜を摘む...。これはウルイを摘んでいるkiiさん。
ウルイはたくさん増やしてきたが、今まであまり使っていなかった。
今回いろいろ調理して、一番評判がよかったのがウルイだった。
「増えるに任せて放置していたけれど、使えばよかったね。」 昨年は天ぷらで少し戴いただけだった。
この美味しさを、今までほとんど体験していなかったことが悔やまれる。

2005年5月(1)
QWは前半が仕事だったので、後半に休みをまとめた。
3日、食材を調達しながら山に向かう。
今回の山行きは、献立も道中の車の中で立てる有様で、忘れ物だらけである。
庭の桜はすっかり散ってしまい、今年は満開を見られずじまいでガックリする。
3日午後には奈良のT君がトラックでコンテナ材を運んで来てくれた。T君、いつもありがとう!!
11枚の大きなコンテナを車から下ろし、早速バラシに掛かる。
丁度来合わせていたSさんもバラシ作業に参加。
晴れ上がって、日向は汗ばむ暑さである。
コンテナをバラシている男性陣 11枚のコンテナは、バラスとなると結構手間が掛かる。何しろガッチリ組んである...。はるばると海を渡って来るのだからさもありなんだが。
この材がログの床に敷かれて根太の代わりを務めたり、書棚の棚板などになる。
ちょっと休憩。おやつはヨモギ餅。
釘抜きが完了して積み上げられた材 厚くてガッチリした板が、次々と積み上げられていく様子に目を細める。
その日は皆さんがお泊りで、野迫川倶楽部「極楽の湯」で汗を流したあと、遅くまで酒宴を楽しむ。勿論主役は各種山菜である。
日中の暑さに比べ、朝晩の冷え込みには、Sさんご夫婦の驚きようといったらなかった。
夜更け、星空を見上げて大人たちは、まるで子どものように歓声をあげる。
翌日は順次帰路に着くのを見送り、平生の山のペースに戻ろうとするのだが、作業は多く一気に暑さに当ったせいかバテてしまい、二人ともノロノロ。(あくまでも年のせいだとは思わない頑固さ...。)
翌日は、kiiさんは材の釘を抜き軒下に運び込むみ、私はログ内の片付けが終ると庭に飛び出す。
何しろ4月は日帰りばかりだったので、庭にはほとんど触れていない。
雑草だらけの庭は花も埋まるほどになっている。今年も訪れてくれたオオルリの美しい声を聞きながら、セッセと草抜きに励む。
暑いけれど、木陰は爽やかである。ただ、問題がひとつある。
早々とブヨが登場してきたのである。例年、オダマキの咲く頃というのがひとつの目安になっていたのだが、今年は早い...。
木々の下に潜り込む格好の私は、早速、数箇所の洗礼を受けたことは言うまでもない。

6日、7日はしっかりとした雨。7日の昼前には上がるという予報だったが、野迫川で天気予報が当った試しはないとラジオに向かって毒づく。
「山の雨はまだかなり冷えるもの、濡れて風邪を引いたらつまらないよ。」と言い訳しながら休養日にする。こういう決断が早いのは私で、kiiさんはかなり後ろめたそうに、空を仰ぎながらしぶしぶ同意する。
そういえば今回は映画をまったく観なかった。
音楽を聴きながら本を読み、夜は蛙(一種類はモリアオガエル)の大合唱を聞きながら眠りにつく。
8日はkiiさんは屋根仕事の段取りを考え、私はふうふう言いつつ山の斜面へアジサイを植え込みに入る。あちらもこちらも、手を掛けなければならないことだらけなのだが、手は2×2。
どのように計算しても増える気配がない。
ふっと猫の顔を思い浮かべてしまう。

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意気込んで迎えた連休で、作業予定表はビッシリ書きこまれていたけれど、作業はまったくこなせなかった。(マッ、こんなこともありで...。)
ただ、二日間雨に降り込められて、じっくりと山菜料理を楽しむ余裕が出来た。
タラ、山ウド、コシアブラ、コゴミ、ウルイ、アザミ、ハナイカダ、アケビの新芽、ミツバ、セリ、山蕗、スギナやコンフリー、ヨモギ...。
コシアブラのバターライスなるものに出会えたのも雨のお蔭。
これは絶品で、kiiさん一押しの、我が家の春の定番になりそうである。
山菜に向ける気持がまた大きく育ったこの連休は、それなりに意義があったのだと解釈している。


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