週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(67)

(画像の説明は画像へのポイントで。大きな画像とリンクしています。)

2005年11月
とかく、天気というのはままならぬものだ。
晴れてほしいときには晴れず、作業は遅れに遅れ、かなり危機感を感じ始めていたところだった。
足場が濡れていると危険度が高くなるし、雨天続きはなによりも気分が滅入る。
12〜13日(土・日)は久しぶりに、二日ともが雨に見舞われない週末で、天気が落ち着いていると、作業は驚くほど進捗する。
破風と鼻隠しが付けられた 野迫川入りするやいなや、kiiさんは活動開始。
破風(はふ)と鼻隠しを取り付ける。
部材が一つ付け加えられる毎に、だんだん家らしくなってくる。
土曜日はログ東面の破風と鼻隠しの取り付けで作業完了。
朝の出立では作業に取り組める時間が限られるので、できるだけ金曜日の夜に野迫川に入りたいのだが、なかなか思うようにいかない。
山はもう、夕方は4時を過ぎると薄暗くなり、夜明けは遅い。
夜は外気温6℃。 流石に、ファンヒーターとホットカーペットのスイッチを入れなければ、寒くて居られない。
長い夜は映画を楽しんだり、本を読んだりと言いたいが、昼の作業に疲れ果てて、見ながら眠ってしまうことが多い。
翌朝の外気温は4℃。霧が出ていたので、気温は昨夜からはあまり下がっていない。

屋根に垂木を張っているkiiさん ブルーシートがもろくなっている部分もあるのだが、いまさら、新たに貼る手間が惜しい。なだめすかして乗り切りたいと思っている。
雪が降るまでにはなんとか、ルーフィングを貼るまでは辿りつきたいものだが...。
屋根に垂木を張っているkiiさん
←屋根に垂木を張っているkiiさん→

垂木と垂木の間には断熱材が入る。(勿論、下敷きになっているブルーシートはカットする。)
断熱材を入れた上にコンパネを貼り、その上にルーフィングが貼られ、最後に屋根材が乗せられる。
水切りなどの屋根部材の取り付けもある。屋根材が乗るまでには、作業工程がかなり多く、時間が掛かる。
何しろ作業人員は若干一名、一気に仕上がりというわけにはいかず、一面ずつコツコツと作業しているのだから仕方がない。
私は今のところ、屋根工事に関しては荷上げ係を甘受している...。
養生シートもしっかり留めて...。 ログ東面の垂木を張り終えたところで、本日は時間切れ。

垂木を張った上には養生のブルーシートを被せる。この作業にも一時間。
一回ごとのこの養生は面倒だが、ログ内が水浸しになったらと思うと疎かにできない。
焦らない、焦らないと自身に言い聞かせながら、kiiさんは黙々と作業をこなしている。
日も翳ってくる。私は早めに庭の作業を切り上げ、終いごとに精を出す。
道具をしまい、持ち帰る荷物をまとめ、飲料水を汲む...。
この所要時間の短縮はいつも課題だけれど、仮住まいのような山の家のこと、これでもずいぶん楽になったものだ。
鹿避けネットを張る 案件事項は幾仕事もあるのだが、優先順位でミズナのネットを張る。
鹿を想定して上部も側面も張ることにする。
美味しいミズナを口にするために、ここでは、こんな努力も必要なのだ。
ミズナは二面に植えてあるが、この面だけで時間切れになってしまった。
残された一面が、次回まで無事でありますように。
私はkiiさんを手伝ったり、ツルハシを振るってススキの根を起こしたり、しつこく蔓延った草を引いたりしている。
その合間には、草木の新しい命の芽生えに出合って感激したり、冬支度のマルチングをしたりと忙しい...。
買い置いてあった八重咲きの甘茶を4株、斑入り葉のアジサイ・恋路ケ浜1株、レモンウェーブ2株、シャクヤクなども植え込む。
花友達の妙子さんからいただいた、実のなるボケや白花シュウメイギクも...。
シュウメイギクは大好きなのだが、一重の白花は移植後弱って瀕死の状態になっていたから、とても嬉しい。
動く先々に作業が待っているので、必死になってもなかなか片付かない。
「庭の奴隷にはならない」と言いつつ、昨今、どうもその気配が濃厚な気がする。
もう数度、かなりきつい霜がきたようで、ギボウシの葉もとろけてしまっていた。慌てて木屑や藁を敷くが、どうだろうか。
猫には悪いが、毎年この季節にはその手でも借りたい心境になる。


山の斜面は今年の早春以来、一度も手入れに入っていないので気にかかっていた。
ナナカマドがあまりに元気がないのでススキや雑草を掻き分けて入ってみる。
株元に大きな穴がガッポリ...。カミキリムシだ。
針金で突き、薬剤を注入する。針金は12cmも下方に入った。
「ごめんね、気づかなくって...。なんとか生き残ってね。」と祈る思いである。
カミキリムシの餌食になっている木が今年は多い。
いつまでも暖かかったせいだとの声もあるが...。
確かに、例年ならとうに霙の一度や二度は降っている。まだセーターなしで過ごしているぐらいだから、今年は暖かい。

カミキリムシの幼虫退治用。 ←五條のホームセンターでこんな薬剤を見つけた。
大阪では見かけたことがなかったから、やはり樹木の多い地域の特性だろうか。
少し高価だが、カミキリムシの幼虫用と銘打っているのだから、きっと効能が高いのだろう。
いや、高いのだと思いたい。
早速、あの木、この木の虫穴に注入して回ったことは言うまでもない。
予備として数本、用意しておこう。
ログの中では、どこから入り込むのか、毎年テントウムシが大量に越冬している。
暖房が効いてくると、まるで主のように這い回るので、踏まないように気を使う。
冬場になるとログ内では、「オッ、トッ、トッ。」の片足立ちをしている二人の光景がよく見られ、その様子に笑い転げることもしばしば。アブラムシなどが少ないのは彼らのおかげだと、感謝して大事にしている。
テントウムシに比べると極めて少ないのだが、数種のカメムシの姿も越冬隊の中に見られる。これは相当の嫌われものだ。
でも、踏んだぐらいならまだ救われる...。
映画を観ながら半分寝ぼけて、首筋から頬の辺りにシカシカと触るものを、ピシャッと払った途端にあの厭な臭いが蔓延した。
最悪...。
kiiさんは鼻が弱いのでさほど影響はないのだが、私はまた反対に飛びっ切りいいときている。
手と頬からは、こびりついた臭いが洗っても洗っても消えない。
まるで首から上がカメムシになったような感覚に、私は一晩中悩まされる。
kiiさんは大笑いする。「カメ香水のシャワーを浴びて、いざ、デートに赴かん...。」(古いなぁ!)
カメムシは、嫌いだ...。

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久しぶりに、作業を目いっぱいにこなした充実感に包まれている。
  

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