週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(70)
一部を除いて、大きな画像とリンクしています。

2006年2〜3月
開拓民は休業していた訳ではないのですが、この冬は週末の悪天候が多く、また日帰りの週も結構ありで、作業は遅々として進まず...。
目立った活動もないので、HPの更新も遅れていました。

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暖かい日には外部の作業に掛かれる様になってきたけれど、まだ凍てているので足場に上るのはためらわれている。
あと一ヶ月もしたら、屋根工事にも安心して取り組めるようになるだろう。
庭の作業が始まっている 4月は例年、樹木や草花などの移植作業で大忙しの時期である。
「今年の移植計画は比較的少なめでよかったね。」とkiiさんに言ったら、「大きなものは少ないけれど、無節操にブスブス挿すものだから、活着した苗木の多さにはうんざりする。」とヤブヘビだった。
剪定した枝を、可哀想だと言っては挿すのだからいけない。それがまたよく根付く。

確かに「コレハ、エライコトダ。」と多少は自覚しているのだが...。
ブルーベリーの剪定をしているkiiさんの横から、こっそり枝を一抱え。
地面にまたブスブス挿している私を、彼は冷ややかな目で一瞥する...。

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取水権のある谷から700mを引き込んでいる水が、ずっと届かないでいた。

飲料水にしている湧き水よりも、谷の水のほうが風呂水にはなぜかいい。
湧き水も、町の水に比較することを憚られるほどの抜群のよさなのだが、それでも温もり方とすべすべ感がまったく違う。
マイナス10度の中、風呂ハウスからログまでの10mを裸同然で歩いても、湯冷めすることがない。
飲料には湧き水、風呂には谷の水が二人の一致した意見である。

ポトリと滴さえ垂れないのはあまりにも妙だと、kiiさんは谷の奥へ調査に出かける。

本日は水道屋さん 凍結していると思い込んでいたのだが、原因は、倶楽部から100mほど先でジョイントが半ば外れていたのである。
水源地には枯れ葉や土砂が詰まり、パイプは外れかけて凍結し、そんな諸々の条件が重なってストップしてしまったようだ。
このジョイントが一番弱くて、以前にも外れたことがあるが、頭の痛いことである。
オオ、水がきた!!
それにしても700mを藪こぎしたkiiさん、お疲れ様。
あちこちに擦り傷を作っている様子に、つい吹き出してしまったことはお許しあれ!
おかげさまで、ぬくぬくお風呂に入れるようになった!!

丸太の加工 1月から取り掛かっていた「大黒柱に丸太の筋交い4本、大黒柱と交差する梁に同じく丸太で火打ち12本を付ける」作業用の加工をしている。
機械や道具類の店開きは晴れた日しかできないので、貴重である。
加工さえしておけば、後は雨の日に取り付けられる。
その晴れ日が、この冬はほんとうに少なかった。
丸太の加工
家造りがある程度終わったら、納屋と作業場を作らなくてはならないと考えてはいるのだが...。

ふきのとうを摘む 天候不良の時は、フキノトウを摘んでフキ味噌を作る。
昨年フキを取りすぎたせいか、今年はフキノトウがあまり芽生えず、味噌はとりあえず3キロにする。
フキ味噌はkiiさんの大好物。
晩生のものが出てきたら、もう一度作れるかな?
簡易台所にほんのりとフキの香りが漂って、自然の恵みを戴く作業はいつも心楽しい。

パソコンコーナーができあがる 娘がパソコンを買い替えたので、不要になったものを送ってもらった。再利用バンザイである。
私の古いマシンより上等で、まだ充分使える。
最近は手書きで文章を作ることが苦手になってしまい、PCを野迫川に持ち込めたのは嬉しい。
基本ソフトしか入っていないのが実にいい。サクサク動いて実に快調である。
大体が今のPCは不要なソフトのてんこ盛りで、また、そのほうが安いというのが困りものだ。
これまた友人から頂戴したおニューのパソコン台を据えて、簡易のPCコーナーが出来上がった。
電話と電気を本架設したら山でのネットも可能になる。取り敢えずは、屋根の完成が待ち遠しい...。
山の家のお隣さんはTさんご夫婦である。お隣といっても1キロ離れている。
ひょいと声をかけれる距離ではないので、冬の間はついご無沙汰になってしまう。
そのTさんが、晴れた土曜の午後にひょっこりと立ち寄ってくださった。
「電線にかかる木を切ってほしいと言われたんで、その始末に行くんだが、久しぶりにあんたらの姿を見たんでな。」
Tさんには、山の土地を手に入れてから、あれこれとお世話になっている。
85歳になられたが、山歩きをご一緒したら、若いものが完全に悲鳴をあげるほどかくしゃくとしてお元気で、今なお、多くの持ち山を独りで管理されている。
山のこと、村のこと、動物のこと、いろいろ最近の出来事など、陽だまりでコーヒー片手に話が弾む。

山では買い物や用足しなどの移動の手段に厳しい。
Tさんはずっと単車を利用しているが、免許の更新に行ったら「まだ乗られますか?」と聞かれたと苦笑いされていた。
「はぁ、もう一回だけ更新します。」と言ったら、「気をつけなさいや。」と係官が案じ顔だったそうな...。
Tさんはほんとうに安全運転である。特徴のある音がポコポコと静かに聞こえると、「アア、Tさんだな。」と判る。
「でも、もう5年ごとの切り替えじゃなくって3年なんだよ。それで返そうと思っている...」
少々寂しげな顔を横で眺めながら、いい齢を重ねられて、いい表情をされていると今更のように感じる。
心臓の持病を持ち、それでもひるむことなく常に前向きな姿勢に頭が下がる。
「長年使ってきた身体なのだから、あちこち痛みがきても当たり前...。」と穏やかに笑っておられるが...。
公明で清廉な考えを持ち、私たちも「老年はかくありたい。」といつもお手本にしたい方なのである。

「早くおいでんさいや。」の言葉も温かく心に沁みる...。
私たちが山で暮らせるようになるまで、どうか元気で待っていてくださいと願わずにいられない。

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