週末開拓民奮戦記

周辺工事(5)

4月19〜20日
19日(土)の午前中だけが曇天で、あとはずっと雨の野迫川。
もうこれ以上は移植に時間を割けないので、雨の中の作業もいとわずになった。
ずぶ濡れになって泥だらけの、お互いの様子を見ては笑い転げる。
圧巻は雨が降り出す前の土曜の朝一番の一仕事だった。
高さ3mのブナ二本を掘り上げて10mの急斜面を登る。高さは3mだが、かなり年数を経ているブナは相当に重い。
二本を山に植え込んで力尽きた二人だった...。

今回はこのブナ以外にはウノハナ2株、白樺(ジャクモンティ)1本を移植。ナシ類12本を定植。
梅やスモモの移植は、花が咲いているのが可哀想で秋に持ち越す。
移植で樹木の間をだいぶすかしたので、ずいぶん風通しが良くなった。
間隔をかなり開けて植えたつもりだったが、僅か4年ほどで吃驚するほど成長するものだ。

今年の樹木の植栽計画はほぼ完了した。残る移植は私だけで充分間に合う。
「はっきり言ってログ造りより疲れる!!」とはkiiさんの感想である。

野迫川の夜は...。
kiiさんと二人、ひとしきり呑んでオシャベリした後は、CDを聴きながら静かに本を読む。
あるいはビデオで映画を楽しんだり、テーブルに頬杖をついてもの思いに耽ってみたり...。 
こんなひと時がもてる幸せをかみしめている。

最近は以前にも増して週末を待ちかねている。野迫川の暮らしが快適になればなるほど、心は町から離れていく。

4月12〜13日
11日(金)の夜に野迫川入りした。
ロフトで眠れるようになってから、夜のうちに野迫川に行けるようになったのが何とも嬉しい。
休日の前夜に到着していると、翌日の作業がぐんと捗るのでベストだと判っているのだが、今までは懐中電灯片手に
コンパネをはがしてログを開け、コードリールで電気を引いてきて、泥と木屑だらけのロフトを掃除して布団を敷きと、
少々臆するものがあったのである。
野迫川の暮らしも、まだ開拓途上ながらずいぶん文化的になってきたものだと目を丸くしている。

ストーブの火を、小さくつけっ放しにしなければ寝られなかった夜間の寒さが急に和らいで、野迫川にも春が訪れてき
た。梅の花が咲き出し、水仙もチラホラ...。
先週とのなんという違いだろう。
先週訪れた娘一家は、雪と雨と突風と、半袖でも過ごせるほどの暖かさとを全て体験して帰宅したのである。

例年この時期はどうしてもkiiさんを庭仕事に駆り出さねばならない。
大きな樹木の移植には、掘り方&植え方として彼は最適任なのである。植え付けた樹木は活性確率が非常に高い。
どうもこの作業に携わるようになってから、kiiさんは植物に開眼したらしい。
表土が凍らなくなって、しかも芽が動き出す前のほんのいっときが、植物の移植には一番ダメージが少ない。
二人とも寝食ならぬ食と休憩を忘れ、ヘトヘトになるまで作業に没頭する。
←先週のスナップから一枚
今回の帰省ではグミの木10本の移植を手伝ってもらったのだが、山の
斜面との往復は、慣れないこともあってさぞ疲れたことだろう。

この日(7日)は、ゆうちゃんが初めて野迫川に来た記念の植樹をした。
「クラブアップル・ゴージャラス」
嬉しそうに、植え込んだり土をかけたりしている様子は、もういっぱしの
ガーデナー。
ローマンカモミールの香りに「リンゴの匂いがしゅる。」と宣うた彼女。
「後継ぎができた!!」と相好を崩しっぱなしの私だった。
←4月12日朝から雨...。
風邪をひいて体調不充分の二人は、雨の中で移植作業をする元気が
ない。
雨が上がるまでの時間をkiiさんは川遊び。
数年ぶりに竿を握り、20cmほどの天然のアマゴチャン数匹とご対面。
私は持ち込んだビデオの分類整理。

早めに川から帰ってきたkiiさんは、たまたま野迫川に置いてあったサッ
シの窓をログに取り付ける。
娘が、ガラス替りにコンパネを利用したログ一階の簡易窓に、
「暗いね!!」とひとことポツリ。

「いくら仮でも暗すぎるよね。あるんだから、一時サッシを付けておこう。」
私がいくら「穴倉みたい。」と言っても聞く耳を持たなかったkiiさんだが、
娘のひと言は何よりも効くようだ。
今回はログに触れたのはこの作業だけである。

明るさには感激!!
こんなことなら先週までに付けておくべきだったが、手も回らなかった。
それにしても木の建具を作るのと異なり、サッシの何と楽なことか...。
12日午後2時過ぎに雨が上がる。長靴を履き、シャベルとツルハシを抱えて「ソレッ!!」と庭に飛び出す。
それから翌日のお昼までの、二人の作業状態をお見せできないのが残念である。
(泥まみれで疲れ果てて、デジカメを構える余裕がなかったのが本音...。)
まずは一番の懸案事項から取り掛かる。
10本のうちまだ6本しか植え込めていなかった
リンゴ(紅玉)の、残りの4株を移植して、リンゴ
並木はやっと完璧な形になった。
育樹エリアでかなり大きく育っていたので、移動
には難儀した。
既植樹のリンゴはもう花芽をつけるほどに成長
しているが、この4本はウドの大木状態。
締まらない成長振りを見るにつけ内心焦ってい
たのだが、植付け場所が整地できたのでやっと
移植できることになった。ホッとしている。
株元にはアップルミントやパイナップルミント、ヒ
ソップ、ラビッジ、オレガノなどのハーブ類を多数
植え込んだ。

頭の中には咲き乱れるリンゴ並木が絵になって
いるが、果たして思い描いた通りになってくれる
かな?
リンゴを移植し終え、町から移動させた大株の梅や酔芙蓉を定植する。
この日はこれで時間がいっぱいになり、後は園芸用の黒いパレット三枚分の花苗や小さな苗木を植え付けて日没になる。
マツカサアザミ、ドイツアザミ、寺岡アザミ、ルリタマアザミや、スミレ類、ワサビ、椿も多数植え付けた。
軍手やゴム手袋をはめているとまだるっこしく、つい素手で土に触るので、この時期の私の手は人前に出せないほど悲惨で
ある。
翌日に備え、食事もソコソコでぐっすり眠り込む。

13日は午前6時から動き出した。
気力、体力がなくなる前にしんどい仕事を片付けなければと、大きなクルミから手をつける。
クルミは邪魔にならない山の斜面に移植。
仮植えのつもりで日が経ち、大きくなってしまった木々を次々と移動させる。
ハンカチの木、ヒトツバダコ、桜が二本、ミモザも二本、萩、ハシバミ。
種から自生して大きくなっているものは桃色ナツツバキ、山桜二本、ユキヤナギ多数。
ほとんどを山の斜面に植え込んだので、重い樹木の移動や水運びで二人ともゲッソリになる。

圧巻は紅花エゴ。
ヨシノ桜の間で小さくなっていた二本の紅花エゴの一本を、ベースキャンプサイトに移動させた。
掘り上げた後には直径100cmの穴が開いた。ということは植付け場所にも100cmの穴掘り...。
急にメインの日の当たる場所に移されて、彼女は戸惑いを隠せない。
ケヤキや桂と共に、夏の木陰を作ってくれるだろう。
一時も休まず動きつづけて、昼前にはここまで完了。育樹エリアも大分スッキリしてきた。
木々を移植する合間には山野草類も植付けし、庭中を走り回りながら、目は花たちの芽吹きを探すのに真剣である。
イノシシやカモシカに荒らされた辺りは、特に注意力を集中させている。

お昼には「昼食出前慰問」のご夫婦が見える。バテかけた身に冷たい缶ビールが美味しかった。
そのビールが災いしたのか、テラスで半袖で昼食を取るほどの上天気が午後の移植を断念させたのか...。
今回の作業はここで打ち切りになった。

育樹エリアにはまだカリンやマルメロ、梅、杏、プラム、洋ナシが残っているが、それも2日間ほどで終りそうである。
後は私一人で何とかなる。というか、何とかしなければ...。
kiiさんを早く家造りに開放してあげなければならないから...。
図面を変更してしまった台所の、追加の基礎工事に早く取り掛かりたいとの思いがヒシヒシと伝わってくる。
コンクリート打ちは二人でするが、それ以前の作業はkiiさんの一人舞台。
水盛りを出し、遣り方をし、穴を掘り、ランマーで地を締め、鉄筋を組む。
でも一日だけ、桜を楽しみたいなあ。

今回は帰阪の際大ドジをしてしまった。終いごとを急ぐあまり、kiiさんは私が積んだと思い、私はkiiさんが積んだと思い込ん
でいたもの多数。その中で一番困ったのがクーラーボックス。中には食料が残っている。
パンや卵や野菜が入っている籠も忘れた。異臭悪臭に出迎えられることを考えると、ゾッとしている。
  
                                                                                  
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