週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(47)

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2004年5月(1) 1〜5日  (画像は大きくなります。)
1日の午前中には所用があり、食材などを調達して野迫川入りしたのは午後。
まとまった休日は、作業に掛けられる時間が大きくなるので嬉しい。
街に帰らなくてもいいんだと思うと呼吸も楽なのだから、気持はもう山の住人になっているのだろう。

先日から補強していた資材置き場だったが、それを完遂するのが今回一番の懸案事項。
家造りに取り組みたいのは山々なのだが、山の作業は家造りだけにはとどまらず、実に広範囲なのである。
この資材置き場は12m×5mなのだが、
杉の倒木で半分バラバラになっていた上に、先の突風で、飛ばされていない波板もバラバラ事件になりかけていた。
搬入した荷物を下ろすと、kiiさんは待ち兼ねたように早速作業に取り掛かる。
波板は新しいものではなく、貼ってあったものを再利用。外して貼るのだから二重の手間が掛かる。
波板を貼っている(1) 波板を貼っている(2)
左の画像で、写ってはいないがkiiさんの背後にはタラの林がある。
「落ちたら痛いよ。落ちないでね。セリも被害に合うしね...。」私は横から激励の嫌言を掛ける。
「それって、タラとセリが大事だと言っているだけじゃないの」「やっぱり??
二人で爆笑しながら、連休のせいか心が弾んでいる。
資材置き場の整理前 2日の昼前には遠来の友が到着。
今は福島県に住む「おのっち君」である。
「連休には手伝いに行きますよ。」と有り難い申し出をいただいていたのである。
一休みして昼食を済ませると、早速作業に駆り出される。
丸7年を経過した野迫川の作業は、資材置き場の整頓もままならず、資材も廃材かと思えるほど乱雑になっていた。
おのっちとkiiさんは、整理に汗だくになる。
←整理前
整理後 ←整理後
「こんな道具が出てきたよ。」
「鹿沼土が4本、牛糞も1本出てきたよ。」
整理整頓されて積み上げられた資材は、一見すれば所在が判り、とても使い勝手がよくなった。
いつまでこの状態がもつかしらね...。
今度おのっちが来た時には、「ありゃま...。」と唖然としないように心掛けよう。
その夕方、汗を流しに行った大塔村の「夢の湯」の帰路、アクシデントあり。
往きには点いていたヘッドライトが、急に両目とも点かなくなった。
とにかく帰らなくてはと、薄暗くなりかけた山道をスモールライトのみで走行する恐さに、kiiさんもおのっちもヒヤヒヤだったらしい。
私は、晩御飯が遅くなるだろうとそればかり案じていた。
「あと5分遅かったら帰り着かなかったね。」
暮れて見えなくなった道路の白線に目をやりながら、胸を撫で下ろす。

翌3日は余計な作業で時間を費やすことになった。
4日に友人達が寄って、春の山菜を楽しみましょうということになっていたが、予報で天気は下り坂。
雲行きが怪しい上に、風にもかなり湿り気を感じる。
当たらなくてもいい時に限って、天気予報は当たるものだ。

ステージ作りも楽しげなおのっちとkiiさん おのっちとkiiさんは、ログと簡易台所の間に厚板を敷きステージを作る。
雨よけのためのシートも張り、テーブルや椅子の設置におおわらわ。
雨でなかったら必要の無い作業だけれど、急ごしらえのステージもなかなか気分がいい。
そうこうしているうちに第一陣組が到着。
その日は総勢8人でログに宿泊。
山菜パーティの前夜祭で夜更けまで盛り上がる。

詳細はパーティしましょ!!
延べ35人と、大変賑やかな5日間の野迫川倶楽部でございました。

2004年4月(4) 24〜25日
五條市に10時頃に所用があり、いつもより少しゆっくりめに大阪を出る。
週末だが行楽の車も少なく、GWを睨んで出控えているのかもしれない。
おかげで予定より早めに着き時間に余裕があり、途中、御所市の高鴨神社に寄ってみる。
例年GWの頃に日本桜草展があるとは知っていたが、いつも先を急ぎ、今まで立ち寄ったことがなかったのだ。
運良く開催中で、暫し目の保養をさせていただく。
野迫川への道中に野菜を仕入れて行くJA牧野直売所に寄ると、ラッキーなことに地場の野菜を使った試食会。
ここでkiiさんは、私がたっぷり楽しむだろうと諦めたらしい。(詳細はひとりごとへ

所用を足して野迫川入りしたのは昼だった。
仮のドアを作る。 小屋の撤去をするためには、小屋内に置いてあるものを移動させなくてはならず、簡易台所に壁や仮の扉をつけるのが今回のkiiさんの案件だった。
戸枠作りや間仕切り壁、ドア作りなどは時間が掛かる作業で、思うようにいかないと言いながら何とか完成。
家を造るということは、しかも自分だけで
造るということは、たくさんの作業をこなさなければならず、予定通りには進まないものだと慰める側の私である。
壁とドアで仕切られて少し家らしい雰囲気。
☆この画像は大きくなります
翌日は、連休を睨んであちこち整備を進める。
私たちは慣れているけれど、それでもたまに滑ったり落ちたりする。
(慣れからの油断ということも多いだろうけれど...。)
たまにしか来ない人にとっては、ウッカリすれば危ないかもしれないという箇所も結構あるものだ。
なにしろ開拓途上、建設中である。
自己責任で気を付けてはくれるだろうが、できるだけ安全に過ごせるようにと願っている。

今回、とても嬉しいことがあった。
天然絞りが入っていた杉 不足分の杉を伐採、皮を剥いていたkiiさんが大声で呼ぶ。
「keiさん、早く!!」
慌てて飛んでいくと、そこには丸太を指差して破顔のkiiさんがいた。
怪訝な面持ちで近寄って、マジッと眺める。「何なの?」
「ウーン、じれったいな。 この杉、天然絞りが掛かっていない?」
「ほんとだぁ...。」暫し沈黙。
「綺麗だねぇ。」
☆この画像は大きくなります
だいたいが、天然の絞りがかかっている杉などあるとは思っていなかった。
何百本も伐ってきて、初めての体験なのだ。
絞りは軽いけれど、この地で自然にできた貴重品だ。
「どうする?」とkiiさんが尋ねる。
「そりゃあ、決まっているでしょう。リビングキッチンの大黒柱用に伐ってしまったヒノキがもったいないけれど、大黒柱はこれに変更しましょう。」
いつも変更には渋い顔をするkiiさんが、今回はいかにも嬉しそうに頷いたのである。

4月29日
27日に突風が吹いたため、ログの養生シートが気に掛かって仕方が無いkiiさん。
野迫川まで一人旅をしてきた。
被害は大したことがないが、資材置き場のトタンの波板が外れ、数枚は飛んでいるものもあったらしい。他所に飛んだら大変だからと、補強も兼ねてその後始末に追われたようだ。

夕方、Hさんご夫婦がフラッと立ち寄られて、そのときの話。
隣地に入って山菜を摘んでいた(スカンポが出だしていたが、まだ小さくて摘めるようなものではなかったのに...。)夫婦連れが、Hさんが車を停めていると近寄ってきて、我が地を指差して言ったそうな。
「あっちは土筆なんかも出てるかな?」
ギョッとしたHさんが「あちらは私有地ですから入られませんよ。入ったらダメですよ。」
その返答が「なんで??」だったとか...。
「居るんですね。こういうのが...。」Hさんご夫婦は呆れて唖然としていたらしい。
顔が引き攣るような、笑えない笑い話である。

これからの期間は、人の敷地だろうが育てているものだろうがおかまいなしのこういう輩が時々出現する。
今年もまた、声を荒げなければならない場面があるだろうか。不愉快な出来事には遭遇したくないものである。
緑の風が心地よい季節は、また憂鬱な季節でもある...。


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