週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(55)

【一部画像は大きな画像にリンクしています。】

2004年10(2)
23号台風による「災害復興支援」の車が行き交う中を、ハラハラしながら野迫川入りした。
この台風は、倶楽部に関しては、予測よりは比較的被害が少なく通り過ぎて行ったようだが、それでもそこここに爪痕は残している。今回はその処理に時間を取られた。
でも、まぁ、これぐらいで済んで良かったと思うことにしている。
台風と異常な暖かさが続いていたが、朝晩の気温が急降下しだして、山の秋は一気に深まってきた。

雨水がかなり流れたらしく、敷地内のこの道路の上半分が、ガッポリとえぐれて掘れていた。
一輪車で土を17台、バラスを2台入れ、kiiさんはフウフウ。
卜伝君が突き固めて、道路の補修に時間が掛かった。
山や谷からは相当量の水が流れ込んだらしい。
敷地内のあちこちに水の道を作ってしまい、至るところにその痕跡を見る。
秋色が一気に深まる野迫川倶楽部。
敷地内にせせらぎのあることが夢だった。
「クレソンやセリ、ワサビが育てられるし、植物たちにとっても環境がいいでしょ!?」
水の恐さを知らない人だと、kiiさんはまったく取り合わなかった。
倶楽部の敷地はその夢が叶わず、裏山の際に伏流水になった小さな谷があるだけ。
その小さな谷でさえ、今回はガンになった。
細流も時として牙を剥く。
野迫川への道中に、濁流と化した細流を多く見て、「敷地内に小さな川が欲しい。」などとは浅はかだったと考えを改めた次第である。
プロパン小屋を製作中。 冬が来る前に片付けなければならない作業は多い。

懸案だった風呂ハウスのプロパン小屋が出来上がった。
何れ撤去するものなので、有り合せの材料を使った簡単なもの。
有効利用した工夫の跡が見受けられ、微笑ましい。
予備のガスが置けることになったので、ガスが切れてお風呂に入れない、ということがなくなって嬉しい。

この風呂ハウスを、私は【極楽の湯】と呼んでいる。
浴槽を洗い水を張り湯を沸かし、「沸いたから入っていいよ。気温が下がってきたから、窓は閉めておいたよ。」とkiiさんが声を掛けてくれる。
こんなお風呂タイムを、極楽と言わずして何と言おう。
私も何度かは風呂をたてるお役をしたのだが、何しろ最低限の設備だけを備えた風呂ハウスである。
谷の水を引き込むパイプに泥除けの袋を被せ忘れ、浴槽を泥だらけにしたり、タイムオーバーで沸かし過ぎたりが続いて、kiiさんにお役ご免を言い渡されたのである。

「ア〜、気持がいい!!」
風呂から上がった私は、kiiさんが入ってくる間に夕ご飯の下ごしらえを済ませておく。
その図式がkiiさんにとっては一番くつろぐらしく、いつの間にかそのパターンが我が家流になった。
皆が言うのだが、山の風呂は確かによく温もる。身体の芯からホコホコとして冷めにくい。
それに、肌はスベスベとして気持が良い。これはきっと、天然水のおかげなのだろう。
「この風呂に入るようになってから、カラスの行水だったkeiさんが変ったね。」とkiiさんが笑う。
今夜のメニューは、久しぶりにニンニクたっぷりのモモ肉のステーキ。明日の荒仕事に備えて、英気を養おうという訳である。
でも、私はやっぱり野菜&魚が好きかな...。
「小さめに切ってね。」と160グラムにして貰ったステーキが、ズシリと堪えるようになってきた。
ステーキよりニンニクが美味しかった...。
さて、倶楽部ではいよいよ垂木作りが始まった。
垂木や壁板、天井板、床板など、たくさんの種類の材をセッセと作らなければならない。
気が遠くなると言いつつも、やらねばならぬ、頑張ろう!!
私たちは冬中、木屑にまみれることになるのだろう。
垂木作り(1) 垂木や板は今回も原始的な方法で手作りする。
丸太を二面カットして、木挽き台に接面しやすくしているの図。

こんな作業が、長い冬の間、延々と続く...。
垂木作り(2)
「春迄にはリビングキッチンの壁ができるかな? できたらいいな! 嬉しいな!!
歌う私に、「ノーテンキだなぁ。」と呆れ顔のkiiさんである。


相次ぐ台風の影響で、緑黄色野菜の高騰が激しい。
根菜類ばかりを食べる訳にもいかず、途方に暮れていたのだが、
雨が多く、いつまでも暖かったせいか、三つ葉がまだ収穫できるのに気付いた。10坪以上に広がった我が家のミツバ畑は、実に青々としていて、いかにも美味しそうである。こんな季節に地場のミツバをいただけるなんて、今までなかったことなのだ。

うちのミツバは葉も丈も大きい!!
倶楽部のミツバは大きいよ!!
いつもよく育ち、ほとんどが特大(カゴの右側)になる。店で売っているのは左側ぐらいの大きさだから、一見してミツバとは信じない人が多い。香りを確かめて、やっとミツバだと認めてくれる。
これはもう薬味というより、立派に野菜の役目を果たすというもの。

これぞ天の恵み、貧困者への福音だと、嬉々としてミツバ摘みに精を出す。
「7段目に自生のリンドウがあったよ。ツルリンドウも可愛い赤い実をつけているよ。」とkiiさんに聞かされていたが、そんなことはスッポリと抜け落ちて、一本一本摘むのは面倒だと言いながら、青み野菜の確保に懸命になっていた。
お浸し、鶏の酒蒸しで辛し和え、和風春巻にスープ、いろいろ使えるなぁ...。
カゴいっぱいのミツバを眺めながら、ニコニコ顔の私だった。


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