週末開拓民奮戦記

ハンドカット&セルフビルドのログハウス(26)
 
10月25〜26日 

自動カンナは、板を挟み込んで送り出す部分が劣化のために砕けていた。
熊さんが部品を手配してくださり、先週、指を二ヶ所切りながら何とか取り付けたのだけれど...。
何しろ専用の道具がないもので「これは無理かな?」と、私は一時諦めかけた。
取り付けたものの、その日は暗くなって時間切れ...。 試運転は今週に持ち越されていた。
見事試運転成功。木屑を撒き散らして材が流れてくる。 さて、自動カンナを置く場所を固定しておもむろにログ内
から引き出して...。

ちょっとドキドキしながらスイッチ・オン。 
「ヤッタネ!!
バンザーイ、バンザーイ!!

握手して飛び回った二人だった。
チェンソウでラフカットした丸太 ←1     ラフカットした丸太に電動カンナを掛けた所
2→
『上のはチェンソウでラフカットした面。はそれに電動カンナをかけた面。』
ラフカットしたものを自動カンナに掛けるのでは、何度も何度も通さなくてはならず手間が掛かりすぎるので、
私が寸法調節しながら電動カンナをかけ、それをkiiさんが自動カンナに通すことにする。
自動カンナはそれでも一面で4〜5度は通さなくてはならない。
通す回数が少なくなったとは言え手間はずいぶんかかるけれど、仕上がりの綺麗さはなんともいえない。
仕上げの自動カンナを戴いているけれど(これは一部欠陥があることは判っているし、まだ試運転もしていな
い。)、掛ける必要が無いほどの美しい木肌である。
ここに来て無垢の木の素晴らしさを再認識している。
電動カンナを掛けただけのものとは数段異なるのである。
「手間暇掛けただけの値打ちがあるねえ。」何度そう呟いたことだろう...。
木屑の山が幾つも出来る 木屑の山がいくつも出来る。
合間を見ては、庭の草引きが完了した部分に肥料をばら撒き
木屑を敷く。
丁度頃合いの木屑は、いずれいい土になるに違いない。
冬を迎える準備も着々...。

住まいだして漬物の準備が加わるようになると、遊んでいら
れなくなるだろうな。
もっとも、暮らしが丸ごと遊びのような私たちだから...。
その日自動カンナに掛けたのは、長さ1500mmの丸太を25本、2500mmのものを5本。
片面を4〜5度ずつ両面掛けるのだから相当の回数になる。
暗くなる頃には、kiiさんも私も腰を伸ばすのにギ、ギ、ギと音がするような気がして、つい手を当てる。

そういえばお茶もしなかったね。
走り回って、よく働いたなあ...。

材の面の雰囲気は、自動カンナの分解写真と合わせて『こちら』でどうぞ!!

次週からはこの材を20mm厚で天井板に挽く。
挽いた天井板はサネの加工をしなければならない。
L型のアイジャクリではなく凹凸のホンザネのほうが、後々、ソリなどの問題を起こしにくいだろうと本ざねの
加工をすることにしている。
枚数が多いので、これも根の要る作業になりそうである。

 
10月12〜15日 

ワクワクしながら楽しみに待っていたこの連休だった。
仲良しの富山のご夫婦が、片道8時間半をかけて野迫川に来られるのだ。
穏やかで温かくて大好きなご夫婦なのだ。
嬉しさで胸が詰った再会は、一年間の時の経過を一気に取り戻すものだった。

熊さんの今回の懸案事項は「薪オーブンのお嫁入り」と「建具作り」
素敵な薪オーブンが野迫川倶楽部にお嫁入りしてきた。
「薪ストーブがあるから、これはあまり使うことがないから...。」と言ってくださって...。
いつかは欲しかったキッチンストーブを目の前にして、ここで生活する夢がもう一つ広がる。
大切にして愛用させていただきます。
「下ろすのが大変な重量なのだから、積むのも大変だったろうな...。」
でも、事も無げな熊さんには恐れ入ってしまう。何しろシャイな心優しき夫婦なのである。
朝霧の中で作業が始まる 朝霧が晴れない早朝から熊さんとkiiさんの木挽き作業が
始まった。
建具を作るための材を用意しておきたかったのだけれど、
仕事の都合で間に合わなかったのだ。

熊さんとkiiさんの掛け合いを聞きながら、キーさんと顔を
見合わせては「何だか、いいね!!」
自動カンナの試運転。「変だなあ...。」 精度が要求される建具には、ハンドの電気カンナより自動カ
ンナがいいだろうと、以前に大工さんから貰った古い自動カ
ンナの試運転をする。
単純な道具なのにうまくいかない。
モーターは至極完璧な音をさせているのに、何故か
挽けないのである。
頭を捻ること数時間。
ローラーの劣化が原因だろうと結論。
新しい部品を調達することにする。
古いものだから部品があるかどうかが問題である。
O氏とkiiさんの作業風景 応援のO氏と、kiiさんの作業風景。
kiiさんは相変わらず、天井板を作る前段階の作業を続けて
いる。
私はキーさんにくっつき虫。
炊事当番糧食班を拝命していながら、お茶の時間を催促され
るほど、一年ぶりのオシャベリに花を咲かせる。
O氏の手が空いた時に手伝ってもらって、キーさんと山の斜
面にドングリや栗の木を植える。そういえば最初に来られた
時には、同じ斜面にシャクナゲをたくさん植えていただいたの
だった。そのシャクナゲもずいぶん大きくなり、花を咲かせる
ようになった。
昼食風景 この連休は快晴に恵まれて、秋の爽やかさを満喫。
昼食のビールが何とも美味しい。

夜は呑んで呑んで、しゃべって笑って歌ってよく寝た。
豪快な中年軍団に、O氏は目を白黒させるばかりだった。

以下は建具作りに取り掛かった熊さんのスナップ。
黙々と建具の材を刻む熊さん
黙々と建具の材料を刻む
熊さん。
                →
      
持参も道具で...。
      
ホゾ穴を開けている。

持参の道具でホゾ穴を開ける熊さん
ドアが組みあがった 組みあがったドア。
これはロフトからベランダへの出入り口に取り付けられる。

立派な出来栄えに感嘆しているkiiさん。
大きなガラスをはめ込む予定のガッチリしたドアは、何とも
いい雰囲気である。
別れの日の記念撮影 別れの日の記念撮影
楽しい時間を過ごさせて下さった熊さんご夫婦に感謝。
「今度はいつ会えるかな?」
キーさんと別れる前に、もうそんなことを考えている...。
「まるで中年になったアンとダイアナのようだね。」とkiiさん
が呆れている。
工事が進むにつれて落着かない状態になっているログ内。
そしていつも作業ばかり...。
「次に来てくださった時には、完成したログでゆっくり寛いで
いただきたいね。」と思うことしきりである。     
〈O氏撮影。〉

 
10月7日 

二週間ぶりの野迫川はすっかり秋の気配を漂わせていた。
今回はあまり時間が取れなかったので、進行状況に目覚ましいものはない。
天井板を挽く前段階の、丸太を縦引きするという地味な作業が続いている。
10月の連休までには天井板を張りたいと思っていたけれど、「11月の初めの連休までには...。」に
密かに修正した。
建具用の材作りをしている これは建具用の材を縦挽きしているところ。
チェーンソウを使ってのこの縦挽きは、見た目よりかなり
大変な作業だと、見ていてつくづく思う。

奥にあるのは天井板用に縦挽きしたもの。
天井板用の材が揃いはじめた 最初の頃から考えると、チェーンソウワークも相当上達し
てきた...。

「チェーンソウでここまで平らに出来たら上等だね。」
「外野席はお気楽だね。」とkiiさんのため息が聞こえる。

天井板用の木材はこれでやっと半分。
これの加工にも、思ったより時間が掛かりそうである。
地味な作業が続くと滅入るけれど、そんな時はログウォー
ルを積んでいた、気が遠くなるような時間を思い出す。
いつかは必ずゴールに到達するのだと...。
作業があまり進んでいなかった原因は、木挽き台の改良にもある。

妻壁の作業では2000mm以上の長さの材が要らなかったのだが、屋根板には最低3000mmが欲しい。
どうしたら長いものをあまり寸法を狂わせずに挽けるか...。kiiさんは相当に考えたようだ。
「ああでもない、こうでもない。」と知恵を絞って、やっと思うようになったらしい。

kiiさんの創意工夫は木挽き台に限らず大したものだと、その部分はかなり評価している。
土地を伐り開いて小さなログを建てる経過の中で、必要に迫られて知恵を使えば、より湧いてくるものなの
だと実感している。
でも、これは人間が本来持てる能力だと思う。
町の便利な生活の中では退化してしまった感覚を、山の暮らしでは必然的に発揮せざるを得ないということ
かもしれない。
「知識を生かすものは知恵なのだ。」と最近思うことしきりである。
木挽き台の改良を重ねるkiiさん
木挽き台の改良を重ねるkiiさん...。

僅かな材料費で、より使いやすい木挽き台に変身した。
なかなかの優れもの...。
 
8/15 棟上げ風景
  
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