つれづれなるままに

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2005年|1月2月3月4月5月10月11

2005年9月
  
【ジブリ美術館】
 
9/27  ジブリ美術館
9月の12〜15日にかけて、所用で埼玉に行っていた。

以前からジブリ美術館は憧れだったけれど、埼玉に行くときはお手伝いさんが主な用事だから、娘の住まいから電車で1時間の近さにあると聞くものの、なかなか時間を作ることができずにいた。
「いつも忙しい思いばかりさせてきたから、今回はゆっくりしてね。」という娘の言葉に甘えて、帰阪を一日延ばし、ジブリのある三鷹の森やその周辺を巡ろうということになった。
ゆうちゃんさっちゃん、娘と私の女4人連れである。
たまたま、夏の最後のあがきと思わせるような暑い日で、付き合う娘たちには気の毒だったのだが・・・・・。
ジブリ美術館 トトロとはガラス越しのご対面 ジブリ美術館
木立の中にある美術館ではトトロがお出迎え♪
残念ながら、受付の中に鎮座ましますトトロ殿にはガラス越しのご対面。
それでも「ワアッ、キャッ」と子供のように大喜びの私だった。
建物の内部は撮影禁止なので、心の目に焼き付ける。
電動のカラクリ小窓やパノラマBOX、立体ゾートロープなど動きのある部屋から始まって、映画が生まれる場所へ

部屋の雰囲気や膨大な書物に魅了され、、憧れていた映画のたくさんの資料に出会い動きたくないほど。
丹念に書き込まれて
いるジブリ作品の中の草花は、これほどの資料を基に生み出されているのかと感嘆したが、娘に言わせると、その間唸りっぱなしの私だったらしい。
念願の猫バスは、「さっちゃんの付き添い」という名目でも乗車は無理。
猫バスの背中に登ったり滑り降りたり、乗り込んだりと楽しげに遊ぶゆうちゃんを羨ましげに眺めながら、隅っこでさっちゃん相手に真っ黒くろすけと遊ぶ。
ミニシアターで映画を見たり、図書室で絵本や児童書を手に取ったり...。
盛りだくさんの楽しさに、息つく暇もないほどである。

パティオで可愛いポンプを見つけたゆうちゃんは、初体験に大はしゃぎ。
水が出てくることが不思議でたまらない様子。
ポンプを知らない世代の娘も、懐かしさに浸りきる世代の私も、楽しむゆうちゃんを間にして、共有できる時間があることが素晴らしいと思う。そのさりげない演出に脱帽である。
建物の細部に渡って行き届いたデザインが施され、建築物の好きな私は、トイレや物置、建具などのデザインにも心惹かれて、kiiさんに伝えなければとしっかりインプットする。
ジブリ美術館に併設のレストラン「麦わらぼうし」 付属のレストラン「麦わらぼうし」はストローがほんものの麦わら。
そんな心遣いも嬉しい。
夏休みも終わり、比較的ゆっくりできると想定して出かけたのだったが、なぜか平日にも係わらず満員で、レストランの前には長蛇の列。順番を待つ人のために椅子が設置され、真ん中には絵本の箱が置かれている。絵本を読んでいる人の顔は、どうしてこんなに優しいのだろう。そんなことを考えながら、私たちも列の中に加わっていたのだが...。
パティオにあった可愛いポンプ
レストランが長蛇というほどには館内の混雑も凄いもので、今回が三回目の娘もこんなことは初めてだと吃驚していた。
この日は外国からのツアー客や修学旅行生が特に多かったようである。
中年のおば様たちのグループ「土産物ってこんなんだけ?食べるものって何にもないじゃない!!」
修学旅行生「こんな所で一時間もどうやって時間を過ごしたらいいのさぁ...。」
外国の人たちは真剣に展示を眺め、楽しみ、不満そうな表情の人はまったく見かけなかったが、その対比がなんとも哀しく感じられたことである。
ジブリ美術館の図録とポストカード 娘とkiiさんのためにポストカードを、自分のためにジブリ美術館の図録を買い(?)、楽しかった晩夏の思い出とした。
「静かな時にまた来たい」。との思いを残しながら...。
             
この日の出来事には追記がある。

三鷹周辺には、絵本や児童書を扱っている書店が多いのだと、以前から聞き知ってはいたのだが、折角の機会だから気になる数軒だけでも行ってみようと、娘がネットから検索しておいてくれた。
彼女も私以上の絵本好きだから、楽しみにしていたらしい。
一緒に本屋さん巡りをするなんて、いったい何年ぶりのことだろう....。

一軒目は三鷹駅から近いところ。
入って驚いた。自然素材の生活用品や有機の野菜が場所を占め、その中に絵本がチョロリとある。
「ウーーーン、なんだか違うよね。」「この雰囲気にはちょっと馴染めないよね。」と、がっかりして店を出る。
そういえば大阪にもあった。
絵本の専門店というから楽しみにして訪れたのだが、教材を販売する店の片隅の小さな本棚に、僅かばかりの絵本が並べられているだけだった。
絵本の解説書に記載されていた記事を参考にして行ったのだが、当てにならないものだと相当に落胆したものだ。

もう一軒は、数年前から気になる存在だった絵本の古本屋さん。
在庫数4000点あまりというから、欲しい絵本もリストアップしておいた。
三鷹の森からは電車の接続が悪く、子連れでもあるので奮発して、三鷹台駅までタクシーを利用する。

で、結論が先になるが、「行かなければ良かった。」なのである。
「狭いけれど子連れ歓迎。」とのことだったが、子供が本を手に取ろうとすれば飛んできて、勝手に取らないでという態度。
思わず泣きべそのような表情を見せて振り向いたゆうちゃんに、その瞬間、来たことを後悔していた。
書架に絵本が並べられ、その本の前にも横積みされているから、狭い通路をカニさん歩きにしてもウッカリすると身体が本に当たる。
当たって数センチゆがんだ本を即座に直しにくる。
娘は「母さんゆっくり見てきて...。外で待っているから。」と、子供を連れてさっさと店外に出てしまう。
本は多くが透明のカバーでガードされ、開けて見れないようになっている。
カバーの掛かっていない本を手に取りかけたら、「掛かっていない本は見てもいいけど、掛かっている本は声を掛けてください。こちらで外しますから..。」
客の動向をじっと伺っているかのように、背後から声が掛かる。
いかにも剣のある表情の女店主の顔を見やり、本を元に戻すと、私は黙って再び訪れることはない店を後にした。
振り返りたくないから、入り口の戸も後ろ手に閉めて...。店内に居たのは僅か5分ほど...。

「ご免ね、こんなところに連れてきてしまって...。あの人、ほんとうに絵本が好きなのかしら??」
娘が日暮れの道を辿りながらポツリと言う。
「どんな所かは来てみなくては判らないじゃない?それよりも、ゆうちゃんが可哀相だったわね。」
子供が好きで絵本が好きで、そして絵本屋さんになった人もいれば、絵本は好きだけれど、それは商品としてしか見ていない人もいるのだろう。
「オーナーご夫婦は絵本にとても詳しく、お話をするだけでも楽しい。」とあったが、知識と人格は違うものなのか。
それにしても当てにならないのはネットの紹介。
ひょっとして別人ではなかったのかと疑ってしまう。

ジブリで昼食の順を待ちながら、絵本を手にして和やかだった人々の表情を思い浮かべ、その違いに唖然とさせられたひと時だった。

   
                                           
                 
   

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