つれづれなるままに

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2004年8月
  
【料理するということ】
   
8/27  料理するということ

「ひと手間かけるということが、料理なのですよ。」ある本にそんな文章があった。
ということは、私の作るものは料理とはいえない。
いかに手を抜くか、そして、手を抜きながらも美味しくいただくのが家庭料理だと、開き直っている私である。
食事の準備に何時間も掛けてはいられないし、またそんな時間があれば本を読んでいたい性分なのだ。

そんな私だが、調味料にはうるさいほうかもしれない。
「丸中醤油」「三河味醂」「富士酢」「千鳥酢」、「影山さんの菜種油」「宮本さんの柚子酢」などは長年愛用している。
鰹節はkiiさんの出身地の志摩半島から取り寄せている。
大概の調理は薄味で、いい素材といい出汁さえあれば、塩と醤油と味醂で美味しく仕上がると思っている。
砂糖はほとんど使わないが、使う際は黒砂糖やマスコバド糖が多い。
だからうちのお寿司は少し黒いめで、はじめての人はかなりギョッとされる。

素材のよさを求める中で野菜を自分で作ることにいきつき、それが山の暮らしを選択させたのでもあった。
野菜と共に海の幸も大好きな二人だが、家造りに忙しい身では釣りに行くことは時間が許さず、美味しい魚を食べたくなると、早朝に起きて魚市場の某鮮魚店を訪ねる。
使う素材は野菜が一番多く、次いで魚。
歳とともに鶏肉以外の肉系は食卓から消えつつある。
鶏肉は行きつけの鶏屋さんの地鶏が好物である。
なるべくよい素材を手に入れること、調味料と出汁には拘ること、それに負ぶさっているのが我が家の食生活といえる。
自分自身の努力はあまりしていないと、台所に立つたびにいつも苦笑いする。
努力は怠るくせに食べることが好きな私たちは、二人で動きやすいようにと山のリビングキッチンを図面の上で簡単に広げ、それがこの夏の‘難儀な棟上げ’に繋がることにもなった。
「町の食事は生きんがため、山の食事は楽しみながら。」これが今の私たちの図式である。

ひと手間をかけない私は、料理という言葉はあまり好きではないけれど、いつの間にか山には食に関する本の箱が山積している。手に取って楽しめる日も近いと夢見ている。
ただ、どれほど食に関する本が増えても、自分がいつも傍らに置いておきたい本というのは限られるものだ。
私の場合はこの二冊である。
◇「野草の料理」甘糟幸子著
◇「私の健康料理」丸山光代著
「野草の料理」などは、もうボロボロになりかけている。
もう何度も目を通した本なのに、読むたびに新鮮な気持になるのが不思議である。
心が少し疲れた時など、この二冊の本を何気なく捲っている自分がいる。
意識して手にしているのではなく、自然に手が伸びているらしい。
長時間乗り物に揺られる時なども、この二冊は手元に忘れない。

そんな風に自分を預けられる本、皆さんはどんな本でしょう??
                  

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