つれづれなるままに |
2002年2月 |
02/17 | いいえ、どういたしまして!! |
少し早目に帰宅した日、多忙で放りっぱなしにしていた近隣の所用を片付けるために、自 転車で出かけた。 太陽はもう衰えて風の冷たさが肌を刺す。 それにしてもずいぶん日が長くなったなあ。春はもうすぐそこだね...。 「春は名〜のみの...。」ふっと口ずさみながら、勢いよくペダルをこぐ。 目の前をチョロチョロ、右に左にと振れながら走る一台の子供用自転車に、男の子が乗っ ている。まだ7〜8歳ぐらいだろう。 身の丈に小さすぎる自転車は、足をもてあますような乗り方しかできないのだろう。 このぐらいの年齢では、大きな自転車との境目なのかもしれない。 危なくて追い抜くに抜けず、急ぐ身はなんともイライラさせられる。 帽子を目深に被り直し、「よし!!」と思い切りスピードを出したところに強い風が吹き、帽 子ははるか後方に飛んでしまった。 「あらら...。」 戻ろうとすると、くだんの男の子がすでに方向転換して拾っているではないか...。 「ありがとう!!」 「いいえ、どういたしまして!!」 聞き覚えた言葉を、いつか使ってみようと思っていたのだろうか。 それにしてはスッと口から出た様子をみると、家庭の躾の良さだろうか。 大人びた口調が何とも可愛らしくて、思わず口元がほころぶ。 抜き去られた時彼は何を考えただろうと、苛ついて辛抱が足りなかった自分自身を反省 したことである。 心がぽうっと明るくなった冬の夕暮れの出来事だった。 |