つれづれなるままに

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2003年6月

マクブルームさんをご存知ですか?片隅にあったもの。
 
6/24  マクブルームさんをご存知ですか?

最近何もかも冷え込んでいて、ヒートアップしているのは気温と阪神だけという世間である。
確かに元気な阪神は久方ぶりなだけに嬉しい。
栄養ドリンク、気付け薬のお役は立派に果たしてくれているけれど、景気がこんなでは我々の元気のほうは目覚めたら消えてしまう。
潜在的失業者の数を含めたら、関西の失業率は公表されているようなものではない...。
最近は人に出会っても、「なんかいい話おまへんか??」ではなく「ちっともいいことありまへんなあ。」が挨拶代わりである。
ほんとうに暗い話ばかりが多い。

気持が萎えてだんだん元気がなくなり、「心が空しい病」にとり憑かれそうになったら、ちょっとばかり、マクブルームさんに会ってご覧なさいな。
とにかく威勢のいいおじさんで、沈んだ心もおじさんとサヨナラする頃にはすっかり晴れ上がってスカイブルー。
「山よりでっかいシシは出ん!!」という気持になってしまうから不思議。

元気になること請合います!!

マクブルームさんが奥さんのメリッサさんと11人の子どもを連れ、コネチカットから西部を目指すところから話ははじまる。(...???)
途中、なけなしの10ドルを叩いて買った土地は、なんと1エーカーの池だった。ダマサレタ!!
ところが、そこはとんでもない黄金の土だった...。という話。

マクブルームさんの口癖は「でまかせを口にするくらいなら、木の上で暮らすほうを選ぶわ。」
何しろ正直者で有名なおじさんのこと、正真正銘のほんまのほんま。

「おっちゃんら、なにも仕事ばっかりしてたわけやないで。いろんなもん植えて遊んだもんや。たまにカボチャレースなんていうのも、やってたなあ。」
カボチャレースってどんな遊びだと思われます?? とにかく楽しい御仁なのです。

「何でコネチカットの人が大阪弁を話すんだ? マクブルームさんって何者?」って?
実はね、私の愛読書の主人公なんです。
噴きださないでください。今やkiiさんもすっかり彼の虜なのです。
しばしば会話の中にマクブルームさんが登場する我が家の状況って、少しばかり異常かもしれないと思わないでもありませんが...。

マクブルームさんのすてきな畑」  あかね書房刊
シド・フライシュマン/作  クェンティン・ブレイク/画
金原瑞人
(かねはらみずひと)/訳  長滝谷富貴子(ながたきやふきこ)/大阪弁訳
     
6/04  片隅にあったもの。

ずっと心の中にあって、靄がかかったようにすっきりしない。誰でも一つや二つ、そんなものを持っているに違いない。(と思っているのは私だけかもしれないが...。)
私は二つ持っていた。
それは普段は記憶の底に眠っているのだけれど、時々ヒョイッと現れて私をひどく困らすのだ。

その日も柳田國男の「妖怪談義」を片手に、いつの間にか唸っていたらしい。
「何だっけ..。何だっけ..。ウーン。」
「何だっけ病を起こしているようだけれど、何を悩んでいるの??」とkiiさん。

キーワードは「教科書」「東北」「盆踊り」「柳田國男」
kiiさんがすかさず解答を...。という訳にはいかなかった。
「それね、なにやとやーれとかいう盆踊りが出てくるんだよね。」「エッ、知っているの?」
「そこまでしか知らない...。」
でも一歩前進。
それにしても、kiiさんの心にも引っ掛かっていたとは、同病相憐れむではないけれど妙に安心してしまう。健忘症も一人では寂しいというものだ。

答をみつけたいと図書館を訪ねるが、雲を掴むような話に館員を煩わせることしばし...。
止むを得ず、柳田國男全集の総合便覧を借り出したものの、膨大な項目をチェックするのは大変な作業で、時間の浪費でしかない。
しかも、朧な記憶を頼りに解答を引き出そうなどとは、無理な話である。
柳田國男をネットで検索してみるが、そんな頼りないキーワードで見つかる訳がない。
ただ、その検索の中で「小子内
(おこない)」という地名にひっかかるものを感じ、関連して「雪国の春」という項目が出てきた。
その語句を頼りに、筑摩書房の定本柳田國男全集(全28巻)の第二巻を図書館から借り出してみる。

読み進んでいくうちにいつしか東北を旅している気持になり、現在とは異なるゆったりした、時の流れに穏やかに包み込まれているのを感じる。
本を読んでいてこんな気持になったことは久方ぶりであった。
そして見つけたのである。懐かしい文章を...。
「清光館哀史」に辿り着くまでに長い年月を要したものだ。
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「清光館哀史」
6年前に訪れた小子内
の宿は清光館といい、盆の15日にもかかわらず親切なもてなしを受け
たこと。再び訪れた小子内にもう清光館はなかった。亭主が海で亡くなって、家族も散り散りに
なっていた。
そして、時を隔てて、女衆ばかりの盆踊りの単調な調べが流れる...。
「なにャとやーれ  なにャとなされのう」
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ずいぶん簡略したが、実際に文章に触れなければあの情景は浮かんでこないだろう。
深みのある文章だと思う...。

胸の痞えが取れて、ホッとしたことは言うまでもない。
昔は見えなかったものが、今僅かながらに見えるような気がするのは、歳を重ねたということかもしれない
第二巻を少しずつ読み進めているが、「この本、手元に置きたいなあ。」の私の呟きに、kiiさんはギョッとした面持ちを隠さない。「多分もう市販されていないと思うよ。」と力なく宣う。

一件はめでたく落着したが、もう一件ある。
キーワードは「小学校の教科書」「小熊」「雪(?)」「谷底」
これはどうにも判らない...。
     
      

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