つれづれなるままに

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2003年7月
  
ゆうちゃんのこと。ヤマブドウ騒動
 
7/31  ゆうちゃんのこと。
金時豆や切干し大根をコトコト炊きながら、ゆうちゃんの表情を思い出しては温かい気持になる。

7月の中旬の一週間ほど、娘が子連れで帰省していた。
ゆうちゃんは4月に一家で帰省したときよりもずいぶん成長して、幼い頃の三ヶ月は大きいものだと今
更のように感じる。仕草がまるで違うので目を見張ることばかりだった。
鸚鵡返しではなく、会話がどんどん広がっていくことにも吃驚した。

そのゆうちゃん、食べ物の好き嫌いがない。
中でも〈ヒジキの炊いたん〉〈切干し大根〉〈豆さん〉〈野菜の炊いたんが大好き。
およそ子どもらしからぬ好みに、唖然とするやら可笑しいやら...。
豆類には特に目がなくて、金時豆や大豆、枝豆やスナックエンドウに至るまで、あっぱれな食べっぷり
である。保育所では隣りの子のおたふく豆を取ってしまうほどなのだそうな...。
ニンジンもニンジンくさいものほどお好みで、青物野菜の青臭さも好きらしい。
食べず嫌いの癖
(へき)は持ち合わせていないようで、何でも食べてみようの精神は頼もしい限り。
「食に対する旺盛な好奇心はkeiさんの家系ですな。」とkiiさんが笑う。

からかい半分で、ゆうちゃんに「一番の大好きはなに?」と尋ねると困った顔をする。
「難しいことを聞くのね。選択するのは難しいわ。」という表情を浮かべて、「ハンバーグとエビフライが好
きなの!!」と叫ぶところなどはやはり現代っ子か...。
そのエビフライも、じつに美味しそうに口にする。
あまり美味しそうに食べるので、大人たちはつい余分な食欲が湧いてきて、ウェイトオーバーに苦慮す
ることになる。
食事をしっかり摂るからおやつを欲しがることもない。
いい食生活の習慣をつけているものだと感心する。

「缶詰やレトルトがあるから離乳食も簡単よ!!」との風潮に逆らって、なるべく手作りを心掛け、苦手
なものがない子どもに育ててきた娘を誉めてやりたいと思う。
自分の子育てを振り返ると、ずいぶんしっかりお母さんをしているように見えるけれど、それでも、助ける
ものが傍らに居ない土地での、働きながらの子育てはなにかと大変だろう。

今回はゆうちゃんにとっての初体験がたくさんあった。
初めての花火、初めてのホタル、初めてのシャボン玉。
スナックエンドウも摘んだしアマゴも初めて見た。ヒグラシの大合唱も聞いたし、蝶たちとも遊んだ。
ユンボを操縦するkiiさんには「じいじ、すごい!!」と目を輝かせて手を叩く。
絶大な評価を受けて、kiiさんも満更ではなさそうである。
そのkiiさんを眺めながら、こんな日が来てよかったと娘と顔を見合わせる...。
圧巻は外の景色を眺めながらゆったりとおまるに座るの図。(上段左の画像)
この初体験はなんとも気分がよかったらしく、野迫川で過ごした三日間はここを定位置にした。

娘が私を呼ぶときの「おかあさん...。」という調子がいとも気に入ったようで、ゆうちゃんがママを呼ぶ
言葉が、いつの間にか「おかあさん...。」に変った。
そっくり同じ抑揚の優しい呼びかけには、つい笑ってしまう。
呼びかけられる娘も何だか照れくさそうで、まだしっくりしない。

「ゆうちゃんが山の家を好きになってくれるように...。」とのkiiさんの願い通りに、彼女の心には、山
で過ごす休日の楽しさがしっかりインプットされたに違いない。

彼女達がお土産の絵本を抱えて生活の場に戻り、ひっそりと静けさを取り戻した我が家でkiiさんが呟
いた。
「頑固さはkeiさん譲り。母娘孫と三代続いての頑固振りには呆れるなあ...。」
でも、参った、参ったと言いながら、なぜか口許は笑っている。
山を眺めながらの排泄は気分爽快。 シャボン玉が上手にできるようになったよ。 最初は恐かった花火も、もう平気だよ。綺麗だね!!
これはじいじのお顔だよ。丸もシッカリ書けるでしょ!! じいじ、かっこいい!! すごいねえ。
  
7/03  ヤマブドウ騒動。
以前から我儘を言っては困らせていた知り合いの園芸関係者から、忘れるほど昔に頼んでいたヤマブドウの苗が入ってきたと連絡があった。
仕事の都合で先週末にやっと引き取りに行ったのだが、それが吃驚したのである。
斑入りのヤマブドウなんて見たことも聞いたこともない。
「果実を食べられるヤマブドウよ!!」と、あの時確かに何度も念を押したはずだった。
「これがヤマブドウ??」の問いに「斑入りなんて珍しいでしょう?いいのが手に入ったでしょ!!」
葉っぱが大きくて緑色の、山にあるヤマブドウしか頭の中にはなかったから、私は怪訝な面持ちを隠せ
ない。

どこかの園芸店でトレリスに絡ませていたのを見たような気がするが、あれは何だったろう。
心に引っ掛かるものがあり、その夜も遅くにやっと園芸誌から見つけ出したのが「斑入ノブドウ・エレガン
ス」。 斑入りのヤマブドウになんと似ているではないか。

最近、出荷の段階で名板が違っていることに多く遭遇して疑心暗鬼になっている私は、翌日、時間を待
ちかねて電話する。
「昨日のヤマブドウね、斑入りノブドウと似ているけれど...。ほんとに、ほんとにヤマブドウ??」 
呆れたような彼の声が受話器から響く。
「間違いありませんよ。野ブドウではありません。出所はしっかりしていますから安心してください。親は
れっきとした山ブドウですからね。」
まだ名前も付いていないような、市場には出ていない改良種を手に入れてあげたのにと、彼は彼で些
か憤慨しているようにみえる。
「違っていたら責任をとります。」と言い切る言葉の端にそれが感じられるが、もし違っていたら...。
裏山全体を覆ってしまった後に、じつは野ブドウだったなどと言われた日には泣くに泣けない。
野ブドウは食用には出来ないのだから、念を入れて過ぎることはない。

「今まで信用できないことは何一つなかったのでしょう?もう少し大きくならないと、判らないかもしれな
いじゃないの。信じて育てようよ。」とkiiさんはあっさりしたものである。
プロがヤマブドウだという以上そうなのかもしれないが、これに関してはどうも信じがたいものがある。
葉の大きさがヤマブドウよりずっと小さいうえに、ヤマブドウ特有のクモ毛がない。
葉の切れ込みが大きいのはいかにもノブドウに似ている。
葉裏の毛が少なく葉裏が緑色だというタケシマヤマブドウと、アマヅルなどの交配種か、と推理は巡る。
何しろ実るまでに数年は掛かるのだから容易に結論付けられないのがつらい。
斑入りヤマブドウと言われているが...。(1) 斑入りヤマブドウと言われているが...。(2)
斑入りの葉はいかにも涼しげで、夏の庭を彩ってくれるだろう。
秋の紅葉も楽しみである。おまけに収穫の喜びも味わえるときたら...。
でも、心の奥底にまだスッキリしないものを抱えている。
手に入れて意気揚揚としていた彼には申し訳ないが、内心、いつかはきっと野迫川倶楽部に純正の緑
葉のヤマブドウを仲間入りさせたいと考えている。
            

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