つれづれなるままに

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2001年3月
  
 植物の話・3《ダリア》植物の話・2《ハリエンジュ》雛(ひな)の家 
  
3/26  植物の話・3《ダリア》・・・私の庭にダリアがない訳・・・

宿根草の花苗のカタログを楽しげに眺めている私を見て、「そういえば・・・。」とkiiさんが不思
議そうに問いかける。
「うちの庭にはどうしてダリアがないの?」
言葉に窮して、私は一瞬視線を宙に泳がせる。
「ダリアは好きじゃないの?」再び問いかける彼に返す言葉は詰まり、声は少しかすれている。

私の庭にはダリアは一株もない。決して嫌いなのではない。
ただ、この花を見るのは悲しいから・・・。

北国の青い空の下でダリアの花群が揺らめいている様はほんとうに美しい。
それは瞼の底に残っていて、時折色鮮やかに蘇る。
花作りが得意だった亡母が、一番好きで上手に咲かせていたのがこの花だった。
それなのに何故かいつも、この花とともに思い浮かぶのは悲しげな母の姿である。
今のように矮性のものは少なく、昔のダリアは花丈が高かった。
家庭的に安定していた時期の少なかった亡母は、この花影で人知れず涙していたのだろうか。

ダリアを見るとき、まだ母から独り立ちしていない自分を感じる。
私はいまだに、この花を正視できないでいる。

Dahlia
花言葉は華麗、優雅、威厳、不安定、移り気。 

3/08  植物の話・2《ハリエンジュ》
 
数日前の日本経済新聞に、「国土交通省が外来種駆除の方針」という記事が載っていた。
リストにはバス、ブルーギル、ハリエンジュ、オオブタクサなどがあがっているらしい。
以前から国外外来種が大きな問題になっていたけれど、植物に限って言えば確かに河川の
土手などで幅を利かせているのは外来種が多い。
今後外来種の使用規制・地域の在来種の使用を求めるとあるが、今を予測できなかったもの
だろうか・・・。

《ハリエンジュ》
豆科ハリエンジュ属・別名ニセアカシア。通常アカシアと呼ばれているものはこの種である。
日本には明治に入ってきたそうである。15メートルを越える高木になる。
5月頃、とてもよい香りの房状の白い花を咲かせる。
庭木、街路樹、砂防樹、材は器具用、船舶材、薪炭用に利用され葉は家畜の飼料として重宝
された。   
(山と渓谷社刊「日本の樹木」講談社刊「四季花ごよみ」保育社「原色日本樹木図鑑」による)

町の我が家の周辺には、昔、街路樹としてたくさんのハリエンジュが植えられ、かなりの老木に
なっている。
生育が旺盛な木で、至るところに根を伸ばして芽を出し、知らぬ間に若木に育っている。
これほど根が走る木も少ないのではと思う。
北海道に住んでいた頃は、自然樹形の美しい姿や花を楽しんだものだが、街では嫌われ者の
木で、枝も幹も切り詰められ無残な姿を晒している。
そんな状態だから、無論花など見たことはない。
数年前、車で走行中に河原で一本すくっと立つアカシアの木を目に留め、花盛りのその木に
声を呑んだ。離道して以来、はじめて目にしたアカシアの花だった。
あの木も伐られる運命なのだろうか・・・。

野迫川には数本移植したが、一本がしっかり根付いている。
野迫川で同じように自然を楽しんでいる少し年上の友は、幼い頃を中国で過ごした・・・。
アカシアの花を村の娘達が摘みに行ったこと、「甘くておいしかった。」と懐かしげに話す。
この話を伺ってから、アカシアを思うたびに見たこともない大蓮の情景を脳裏に浮かべるように
なった。広い野原を駈けていく編み籠を手にした少女たちを・・・。
差し上げたアカシアは友の土地にも数本根付いているが、いつかは厄介物になるのかもしれ
ない。
そんな時、あの柔和な友はきっと哀しい表情をすることだろう。

厄介物のようなアカシアを何故野迫川倶楽部にわざわざ植えたのか・・・。
それはひとえに私の食い意地の張った性格による。
アカシアの花はサラダに、そして若い葉とともに天ぷらに美味だとか・・・。
花はいろいろなお酒に漬け込んでみたらどうだろう。お茶にはできないかしら。
お菓子には??
そんなことをとりとめもなく考える時間は楽しい。
野迫川には、バラアカシアと呼ばれる園芸種の薄紅のハリエンジュも二本植えているが、それ
が食用に適するかどうかは定かではない。


3/04  (ひな)の家
 
雨上がりの日曜日、すっきりと晴れた空に気持ちも弾み、kiiさんを誘って散歩に出かける。
「ひな祭りは過ぎてしまったから、もう終ったかもしれないけれど・・・。」
記憶を辿りながら訪れた先は、閑静な一画にある古い屋敷。
その屋敷の持ち主が蒐集した沢山の雛人形を、ひな祭りの頃に一般公開していたことを思い
出し、道を数本間違えながらウロウロ・・・。
「アッ、よかった。今年も公開されている。まだ拝見できる・・・。」
年月を経た数え切れないほどの雛人形に、圧倒される思いで拝見させていただく。

「もっとアップで写したらよかったのに・・・。」とのkiiさんの言葉どおり、これでは素晴らしさが
伝わらないかもしれないけれど、雰囲気の多少は味わえるかしら??
今年は3月5日まで公開される。しかも無料で・・・。

昨日は3月3日雛の節句。
kiiさんの誕生日だった。







  

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