つれづれなるままに

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2001年11月
 
 【イカにも...。】
  
11/20  イカにも...。

お助けの食材は家庭によっていろいろあるだろう。
ある人はシーチキンの缶詰と言い、またある人はキャベツと言う。
我が家の一番のお助けはイカ。それも一番手頃なスルメイカである。
イカは低脂肪、高たんぱくでコレステロールも多いそうだが、それを下げるタウリンも豊富
で優れた食材と言えるだろう。

今スルメイカがとても安い。麦の穂が稔る頃旬になるので「麦イカ」とも呼ばれるそうだ。
晩秋までの長い時期にかけて漁獲がある。
函館の朝、イカを売りに来るおばさんの声が「イガー」と聞こえて、あののどかで安らいだ
ひと時がふっと蘇ってくる。
キラキラに発光して新鮮で安価なイカを見つけると、私はトロ箱で買い込んでしまう。
大ぶりのものをいくつか、イキがいいうちに刺身や塩辛にする。
小ぶりのものはイカ飯に。
亡母直伝のイカ飯は美味しい。
料理好きだった母の工夫は、イカ飯の中に三度豆やニンジンを入れる。筒切りにしたとき
の切り口の美しさは花が咲いたようで、母の手元を飽きずに眺めていたものだった。
50年も前にこんな工夫を凝らしていた人は少なくて、母の周囲には手料理を食べたがる
人がよく集まっていた。

大きめの身が厚いものを3〜4ハイ、kiiさんの出身地、志摩半島の郷土料理の味噌和え
にする。
ヒタヒタの水にお酒を注ぎ入れ、ワタが入ったまま丸ごとコトコト煮る。
煮あがったワタを砂糖や味噌と練り合わせて、刻んだイカを混ぜる。
これは独特の風味があり、ワタの好きな人でないと苦手なようである。
我が家の来客でも好む人は3割ぐらいしかいない。
私たちは大好きな一品で、イカを買い込むと必ず作る。

ワタを抜いたイカを輪切りにしてニンニクと醤油味で煮付け、片栗粉でとろみをつけた
一品も好物である。
一夜干しにしてサッと炙り、生姜醤油を添えてもいい。
残りのイカはフリッター、お好み焼き、ブイヤーベース、イカと梅肉のスパゲティ、炒め物
用などにエンペラーと足を外し皮を剥いて冷凍庫へ。
こんな時は、kiiさんが冷凍庫を開くたびに「ウワッツ!!」と叫ぶ声を聞くことになる。
抜いたワタは、蒸して先の味噌和えに入れる。
ゲソとエンペラーはイカジャガになる。
我が家では肉ジャガよりも、イカジャガの登場頻度がダントツで多い。
三度豆やキヌサヤを添えて、これは冷えても美味しい一品である。

全てを余すことなく利用できる、何と優れものの食材であることか。
これだけイカを触ると身体中に匂いが染付く。
でも冷凍庫いっぱいのイカに心豊かになる、イカにも得な性分である...。
 


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