つれづれなるままに

1999年|2000年1月2月3月4月6月7月8月9月10月11月12月

5 月

綾戸智絵、久しぶりのライブ・・。】 【価値観】 【硝子の世代

5/23 硝子の世代

前回の宿泊の時のこと、野迫川の長い夜に聴くつもりで用意していたCDを、そっ
くり町に忘れる。
高い山が周囲にあるせいか、天候の悪い日以外はラジオも入りにくい。
最近は綾戸智絵やジャズっぽい曲、ヨーヨー・マをよく聴いている私たち。
音楽がないとなぜか淋しく、置いてあったCDを聴く。

久しぶりの映画音楽やP.P.M、そしてさだまさし・・・。

私たちは彼のアルバムの中で、「グラスエイジ〜硝子の世代」が一番のお気に入り。
ある時期までの彼の曲はほとんどを持っているが、好きな1枚はと問われると、
躊躇なくこの1枚をあげている。

このアルバムは花がテーマ。「名もない花」から始まって「名もない花」で終わるま
で、全編に花が取り上げられている。

「そんなのありましたか?」という人もいるぐらいだから、メジャーな1枚ではなかっ
たのだろう。

詩がいいし、曲もいい。
kiiさんは中でも「虹の木」が好きである。弦が素晴らしいのだそうだ。
ウーン、確かに・・・。
私は「道の途中で
ON THE WAY」が好き。この曲にはリラ(ライラック)が出てくる。

好きな一曲はと言われると、「アドヴァンテージ」の中の「坂のある町」・・・。
情景が浮かんでくる曲なのだ。

彼の歌を聴くと、日本語がこんなに美しい言葉だったのかと、再認識させられる。
詩を味わえる、数少ない歌い手だと思っている。


5/15 価値観
野迫川村の土地を手に入れてから、私たちの価値観は180度変わった。
あるいは、変わったから終の棲家と定め得る土地と出会ったのか・・・。
生き方やものの見方、人との付き合い方、ずいぶん変化したように思う。

本や映画や音楽が好きで、アウトドアワークが大好きで、陶芸も好きでと、趣味に関してはあまり変化がないけれど、物欲に関しては相当な変わりようである。

まず、街の家に執着がなくなった。
田舎暮らしへの道を歩き始めた時に、第一にしたことは、小さな持ち家を処分してローンを清算し、退路を断つことだった。
そして、野迫川の土地だけが残った。
結構オシャレな家だったから、口では許してくれたけれど、娘のショックはかなりのものだっただろう。
でも、思い立った時に決断しなければ、必ず逃げ道を探すような気がした。
意気地なしの私たちだから尚更に・・・。
「仕事に失敗したみたいよ。」なんて噂も流れたらしい。

車にも執着がなくなった。
何しろ走ればよい。家が建つまでは、砂やセメントやブロックや材木などを放り込んで移動するのだから、どうせメチャクチャになる。
大阪で高い駐車場を複数確保するなんて、まことにもったいない話。
ならば、仕事兼用の移動車で沢山と、乗用車を手放してしまった。
したがって我らが愛車はオンボロの貨物車である。
オンボロになったのは、友人である奈良のT君に言わせると一言「運転が下手なんや・・・。」

衣服にはまったくもって執着がない。
衣裳ダンスの中に、袖を通したことのない服が、沢山ぶら下がっていた勤め人の時代を思い出すと、一人赤面する。「よう、あんなアホなことしてたもんや。」
今は、外出用の一張羅と、ワーキングシャツとジーパンがあればいい。


私たちは私たちなりの生き方をしよう・・・。
真心は失わないが、虚礼やしがらみはできるだけ簡素にして生きたい。
残りを数えたほうが早くなってきた人生を、もう自分の思うように生きてみてもいいのではないか。
どんな風に死を迎えたいか、それを考えて考え抜いたときに、見えてきたものがあった・・・。

野迫川倶楽部に4度目の春がきて、花々が咲き乱れる中で、ふっとこんなことを思っていた・・・。


5/1 綾戸智絵、久しぶりのライブ・・。
 
Zepp Osaka(大阪南港)で綾戸智絵さんのライブがあり、ほんとうに久しぶりでkiiさんと街へ出掛けた。
ジャズはまったく聴かなかったkiiさんと、少しかじったぐらいの私。

 
今はまだ、身体が揺れている感じである。
 
スリムで小柄な彼女の、どこにあんなエネルギーを秘めているのだろう・・・。
ある時は激しく、ある時は深く静かに、私たちを音の世界と融合させてくれる。
聴き入りながら涙ぐんでいる自分に、戸惑いを隠せなかった。
 
ライブが始まってからの、時間の速さに驚いているところを見ると、kiiさんもすっかり虜になったようである。
 
余韻を楽しみながらの帰路、
「煙草の煙が少し澱んでいる小さなホールの、壁にもたれて目を閉じて、この女性(ひと)の歌を聴いてみたいね。手には少し苦めのブラックか、ブランデーのオンザロックだね。」
と私がつぶやく。
「それじゃ、まるでボギーの世界だね。」とkiiさんがからかうこと・・・。

 


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